アートナビゲーター・美術館コレクションレポート「府中市美術館」
皆様こんにちは、アートナビゲーターの吉岡です。本日は私の住む東京都府中市にあります府中市美術館をご紹介します。
府中市といえば、ダービー開催の東京競馬場や、夜に提灯を灯してお神輿が練り歩く大国魂神社の例大祭「くらやみ祭り」等、賑やかな街のイメージがありますが、遡っては大化の改新で武蔵の国の国府が置かれ、鎌倉時代そして江戸時代と歴史を刻んできた緑豊かなまちでもあります。
府中市美術館は、副都心新宿から京王線特急で20分ちょっと、府中駅からバスで10分程の都立府中の森公園の一画に、「生活と美術=美と結びついた暮らしを見直す美術館」をテーマに、2000年10月に開館しました。豊かな森と丘と水辺があり、テニスコートやサッカー場を有する府中の森公園は、四季折々の美しさでいっぱいです。その一角に、光と緑溢れる公園との一体化を目指して、府中市美術館の建物が建っています。

緑豊かな府中の森公園にある府中市美術館。四季の変化も楽しめる
吹き抜けの明るいエントランスロビーを入ると、こじんまりとしたミュージアムショップ、左手奥には美術図書室があります。図書室には、近現代の美術に関する資料を中心に約5万冊の図書、雑誌が収納され、いつでも閲覧できます。
展示室は2階ですが、ホールを右手に曲がると左側には講座室があり、企画展関係の展示をはじめとして、公開制作室で創作中の作家によるワークショップや、学芸員等によるレクチャーなどが開催されます。ちょうど取材中には、開催していた企画展「おかえり 美しき明治」関連講演会が行なわれており、「帰ってきた日本の美」について大原美術館館長の高階秀爾氏の貴重なお話を聞くチャンスに恵まれました。
講座室の隣は、作品発表の場所として利用できる天井高4メートルの市民ギャラリー、廊下を挟んで反対側には、前面総ガラスの公開制作室があります。 ここは、プロの作家が美術館に通い作品を創作する、その活動を生で見る事が出来るまさにライブな空間です。時には直接作家と話ができたり、またボランティアガイドからの説明を聞くことも可能です。その奥の創作室では、様々なワークショップが行われています。10代の子供達を対象に土曜日の午後開かれる「アートスタジオ」土曜工房では、若手作家・学芸員と一緒に美術の表現と鑑賞を体験できます。
他にも、常に季節・展覧会・公開制作等とも連動したタイムリーな企画がいっぱいです。小学校4年生から6年生と中学1年生を対象にした美術鑑賞教室も行われています。
2階は展示室です。企画展示は、年5回(新聞社等と共催する巡回展などを含む)開催されます。常設展示は、江戸後期から現代に至る、絵画を中心とした2000点以上のコレクションの中から常時約60点が展示されています。親しみ易い近代以降の日本の美術に焦点をあて、西洋美術との相互関係、伝統的美意識の展開等を通して、日本近代美術の流れや特質を展望できるコレクションです。
主な所蔵作家としては、江戸後期洋風画の司馬江漢、明治初期洋画の五姓田義松、ロマン派日本近代明治洋画の青木繁、大正の個性画家・村山槐多、山と水の画家・吉田博、戦前の個性的画家昭和モダンの長谷川利行、池袋モンパルナスの松本竣介、府中ゆかりの小山田二郎、抽象絵画の先駆者・山田正亮、などです。

司馬江漢から松本竣介、山田正亮まで、日本の近現代美術が総観できるコレクション
また美術館内の一角には、20世紀の洋画家・牛島憲之の作品を展示するコーナー「牛島憲之記念館」があります。世田谷区在住であった作家は生前、府中近郊の風景を好んで写生していました。97歳で亡くなった折、ご遺族から約100点の寄贈を受け「牛島憲之記念館」として常設展示し、年3回ほど作品の入れ替え展示を行っています。
さて美術館ひとめぐりの後は、1階奥にあるミュージアムカフェでカレーなどの軽食やお茶を頂く事ができます。晴れた日には、テラスのパラソルの下で緑あふれる公園を見ながら素晴らしいひと時が過ごせますよ。皆様のご来館をお待ちしています!
■府中市美術館
〒183-0001 東京都府中市浅間町1-3
開館時間:10:00〜17:00(最終入場時間 16:30)
定休日:月曜日
入館料・観覧料:
【常設展観覧料】 一般 200円(150円) 高校生・大学生 100円(80円) 小学生・中学生 50円(30円)
【企画展観覧料】:その都度決定
TEL:042-336-3371 FAX:042-335-7576
URL:http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/
プロフィール/もともと美術館巡りが趣味でした。検定準備の段階で、作品だけでなく作家自身やその時代背景等を学んだことから、美術に関する奥行きが深まりました。アートナビゲーターがガイドを務める展覧会関連イベント「キヤノン・ミュージアム・キャンパス」では、他者に伝えることの楽しさと難しさを感じています。府中市美術館で公開制作ガイドを手伝っています。2012年1級取得。
府中市美術館は、副都心新宿から京王線特急で20分ちょっと、府中駅からバスで10分程の都立府中の森公園の一画に、「生活と美術=美と結びついた暮らしを見直す美術館」をテーマに、2000年10月に開館しました。豊かな森と丘と水辺があり、テニスコートやサッカー場を有する府中の森公園は、四季折々の美しさでいっぱいです。その一角に、光と緑溢れる公園との一体化を目指して、府中市美術館の建物が建っています。


緑豊かな府中の森公園にある府中市美術館。四季の変化も楽しめる
吹き抜けの明るいエントランスロビーを入ると、こじんまりとしたミュージアムショップ、左手奥には美術図書室があります。図書室には、近現代の美術に関する資料を中心に約5万冊の図書、雑誌が収納され、いつでも閲覧できます。
展示室は2階ですが、ホールを右手に曲がると左側には講座室があり、企画展関係の展示をはじめとして、公開制作室で創作中の作家によるワークショップや、学芸員等によるレクチャーなどが開催されます。ちょうど取材中には、開催していた企画展「おかえり 美しき明治」関連講演会が行なわれており、「帰ってきた日本の美」について大原美術館館長の高階秀爾氏の貴重なお話を聞くチャンスに恵まれました。
講座室の隣は、作品発表の場所として利用できる天井高4メートルの市民ギャラリー、廊下を挟んで反対側には、前面総ガラスの公開制作室があります。 ここは、プロの作家が美術館に通い作品を創作する、その活動を生で見る事が出来るまさにライブな空間です。時には直接作家と話ができたり、またボランティアガイドからの説明を聞くことも可能です。その奥の創作室では、様々なワークショップが行われています。10代の子供達を対象に土曜日の午後開かれる「アートスタジオ」土曜工房では、若手作家・学芸員と一緒に美術の表現と鑑賞を体験できます。
他にも、常に季節・展覧会・公開制作等とも連動したタイムリーな企画がいっぱいです。小学校4年生から6年生と中学1年生を対象にした美術鑑賞教室も行われています。
2階は展示室です。企画展示は、年5回(新聞社等と共催する巡回展などを含む)開催されます。常設展示は、江戸後期から現代に至る、絵画を中心とした2000点以上のコレクションの中から常時約60点が展示されています。親しみ易い近代以降の日本の美術に焦点をあて、西洋美術との相互関係、伝統的美意識の展開等を通して、日本近代美術の流れや特質を展望できるコレクションです。
主な所蔵作家としては、江戸後期洋風画の司馬江漢、明治初期洋画の五姓田義松、ロマン派日本近代明治洋画の青木繁、大正の個性画家・村山槐多、山と水の画家・吉田博、戦前の個性的画家昭和モダンの長谷川利行、池袋モンパルナスの松本竣介、府中ゆかりの小山田二郎、抽象絵画の先駆者・山田正亮、などです。



司馬江漢から松本竣介、山田正亮まで、日本の近現代美術が総観できるコレクション
また美術館内の一角には、20世紀の洋画家・牛島憲之の作品を展示するコーナー「牛島憲之記念館」があります。世田谷区在住であった作家は生前、府中近郊の風景を好んで写生していました。97歳で亡くなった折、ご遺族から約100点の寄贈を受け「牛島憲之記念館」として常設展示し、年3回ほど作品の入れ替え展示を行っています。
さて美術館ひとめぐりの後は、1階奥にあるミュージアムカフェでカレーなどの軽食やお茶を頂く事ができます。晴れた日には、テラスのパラソルの下で緑あふれる公園を見ながら素晴らしいひと時が過ごせますよ。皆様のご来館をお待ちしています!
■府中市美術館
〒183-0001 東京都府中市浅間町1-3
開館時間:10:00〜17:00(最終入場時間 16:30)
定休日:月曜日
入館料・観覧料:
【常設展観覧料】 一般 200円(150円) 高校生・大学生 100円(80円) 小学生・中学生 50円(30円)
【企画展観覧料】:その都度決定
TEL:042-336-3371 FAX:042-335-7576
URL:http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/

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