美術史ナナメ読み撰集
こんにちは。
昨年の検定でアートナビゲーターになったばかりの、杉山と申します。
よろしくお願いいたします。
今回は、美術史やアートを楽しくナナメ読みできるような本をご紹介いたします。
昨年の検定でアートナビゲーターになったばかりの、杉山と申します。
よろしくお願いいたします。
今回は、美術史やアートを楽しくナナメ読みできるような本をご紹介いたします。
『巨匠に教わる絵画の見かた』
早坂優子 著 視覚デザイン研究所(1996年)
おすすめ:3~2級
本書では、アーティスト自身の言葉や、その周辺のアーティストからのリスペクト・批判の言葉を紹介しながら、西洋美術史をたどってゆくのですが、そのひと言ひと言が楽しい一冊です。
たとえば。ルノワールはミケランジェロに対して “こんな筋肉ムキムキの女、いるかよ!”という趣旨の悪口を言っている一方で、ラファエロのやわらかな肉体表現を褒めちぎっていたりします。 ……いやぁ、女好きは世紀を超えて通じ合うものなんですねえ。
独自の視点が光る見開きコラムも面白く、読めば歴史上のアーティストが、今よりもっと身近な存在になること請け合いです。
※ アーティストの言葉をもっと知りたい!という方には、こちらの2冊もオススメです。
『アーティストの言葉 美の創造主たちの格言』 関田理恵 編 ピエ・ブックス(2009年)
『美術手帖』 2011年5月号「特集:現代アートの巨匠 先駆者たちの〈作品・ことば・人生〉」美術出版社
『日本美術応援団』
(ちくま文庫)
赤瀬川原平・山下裕二 著
筑摩書房(2004年)
おすすめ:4~3級
美術館に行った時、ちょっと詳しそうなお客さんが作品を前にあーだこーだと議論していると、思わず聞き耳を立ててしまうこと、ないですか?
できれば横に張り付いて聞いていたいけれど、そういう訳にもいかず。
でもこの本なら、ハイレッド・センターの赤瀬川さんと室町美術の山下さんが誌上で繰り広げる「あーだこーだ」を、思う存分立ち聞きできます。
いちおう美術史のベースを踏まえつつも、「歴史的に見ない」「作品の生の力を生の言葉で応援する」のが本書のコンセプト。
“「別に贋作でもいいんですよ、絵として面白ければ。」”(注) ……だそうです。
掲載作品はジャンル・時代ともに偏りのないよう、かなり気を配ってセレクトされており、脚注も丁寧に付されてますので、意外と日本美術の入門書としてもイチオシです。
※注 『日本美術応援団』(ちくま文庫)p178、15行目より引用
『私の中の自由な美術―鑑賞教育で育む力』
上野行一 著 光村図書出版(2011年)
おすすめ:どなたでも
たしか、山種美術館がリニューアルオープンしたばかりの頃のことです。
実は自分、近代日本画ってあまり好きではなくて、その日も山口華楊の「生」という仔牛の絵を、「やっぱりあまり面白くないなあ」などと思って眺めていたのですが……母子連れが傍にやってきて、お話を始めました。
お母さん 「可愛いね」
男の子 「かわいいね~」
お母さん 「生まれたばっかりだから、立てないのかな?」
男の子 「早く立てるといいね!」
お母さん 「もう名前付けてもらったかな?」
……なんかゴメンナサイ。ちょっと感動で泣きそうでした。
本書は、テクスト論なども引き合いに出しながら、知識にとらわれない美術鑑賞教育のありかたを探る本ですが、好き嫌いや経験や、価値観を超えて、自分自身の美術とのつきあいかたを見つめ直すきっかけにもなるかと思います。
今回ご紹介した本が、みなさまのなかで何かしら新しい発見につながれば幸いです。
*****
プロフィール
美術館での活動経験は残念ながらありません……。
絵が好きになった最初のきっかけは、中学の修学旅行で行った大原美術館だったと思いますが本格的に美術館に通い詰めるようになったのはここ2~3年くらいのことです。
美術検定受験のコツは、超ベタですが、まず『公式テキスト』などで美術史をひと通り押さえたあと、級別『速習ブック』(旧『傾向と対策』)『練習問題』で穴を見つけるのが効率的ではないでしょうか。
あとは、苦手なジャンルのアートも、良いところを見つけて「好きになる」ことが案外 大切かもしれないです。
早坂優子 著 視覚デザイン研究所(1996年)

本書では、アーティスト自身の言葉や、その周辺のアーティストからのリスペクト・批判の言葉を紹介しながら、西洋美術史をたどってゆくのですが、そのひと言ひと言が楽しい一冊です。
たとえば。ルノワールはミケランジェロに対して “こんな筋肉ムキムキの女、いるかよ!”という趣旨の悪口を言っている一方で、ラファエロのやわらかな肉体表現を褒めちぎっていたりします。 ……いやぁ、女好きは世紀を超えて通じ合うものなんですねえ。
独自の視点が光る見開きコラムも面白く、読めば歴史上のアーティストが、今よりもっと身近な存在になること請け合いです。
※ アーティストの言葉をもっと知りたい!という方には、こちらの2冊もオススメです。
『アーティストの言葉 美の創造主たちの格言』 関田理恵 編 ピエ・ブックス(2009年)
『美術手帖』 2011年5月号「特集:現代アートの巨匠 先駆者たちの〈作品・ことば・人生〉」美術出版社

(ちくま文庫)
赤瀬川原平・山下裕二 著
筑摩書房(2004年)

美術館に行った時、ちょっと詳しそうなお客さんが作品を前にあーだこーだと議論していると、思わず聞き耳を立ててしまうこと、ないですか?
できれば横に張り付いて聞いていたいけれど、そういう訳にもいかず。
でもこの本なら、ハイレッド・センターの赤瀬川さんと室町美術の山下さんが誌上で繰り広げる「あーだこーだ」を、思う存分立ち聞きできます。
いちおう美術史のベースを踏まえつつも、「歴史的に見ない」「作品の生の力を生の言葉で応援する」のが本書のコンセプト。
“「別に贋作でもいいんですよ、絵として面白ければ。」”(注) ……だそうです。
掲載作品はジャンル・時代ともに偏りのないよう、かなり気を配ってセレクトされており、脚注も丁寧に付されてますので、意外と日本美術の入門書としてもイチオシです。
※注 『日本美術応援団』(ちくま文庫)p178、15行目より引用
『私の中の自由な美術―鑑賞教育で育む力』
上野行一 著 光村図書出版(2011年)

たしか、山種美術館がリニューアルオープンしたばかりの頃のことです。
実は自分、近代日本画ってあまり好きではなくて、その日も山口華楊の「生」という仔牛の絵を、「やっぱりあまり面白くないなあ」などと思って眺めていたのですが……母子連れが傍にやってきて、お話を始めました。
お母さん 「可愛いね」
男の子 「かわいいね~」
お母さん 「生まれたばっかりだから、立てないのかな?」
男の子 「早く立てるといいね!」
お母さん 「もう名前付けてもらったかな?」
……なんかゴメンナサイ。ちょっと感動で泣きそうでした。
本書は、テクスト論なども引き合いに出しながら、知識にとらわれない美術鑑賞教育のありかたを探る本ですが、好き嫌いや経験や、価値観を超えて、自分自身の美術とのつきあいかたを見つめ直すきっかけにもなるかと思います。
今回ご紹介した本が、みなさまのなかで何かしら新しい発見につながれば幸いです。
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美術館での活動経験は残念ながらありません……。
絵が好きになった最初のきっかけは、中学の修学旅行で行った大原美術館だったと思いますが本格的に美術館に通い詰めるようになったのはここ2~3年くらいのことです。
美術検定受験のコツは、超ベタですが、まず『公式テキスト』などで美術史をひと通り押さえたあと、級別『速習ブック』(旧『傾向と対策』)『練習問題』で穴を見つけるのが効率的ではないでしょうか。
あとは、苦手なジャンルのアートも、良いところを見つけて「好きになる」ことが案外 大切かもしれないです。
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