本州最南端のアートスポットへのお誘い
はじめまして。和歌山市在住のアートナビゲーター、むろけいすけと申します。
今回は私のふるさと、和歌山県の南端に位置し、本州最南端でもある串本町周辺の小さなアートスポットをご紹介します。
今回は私のふるさと、和歌山県の南端に位置し、本州最南端でもある串本町周辺の小さなアートスポットをご紹介します。
私は仕事のため、2014年3月まで4年間串本に住んでおりました。気候温暖で自然豊かな串本は住み良い場所ですが、なんといっても私の心を捉えたのは「無量寺」という小さな禅寺です。この寺の創建年は不明ですが、南北朝時代虎関禅師の開山による臨済宗京都東福寺派の別格寺院と伝えられています。
無量寺は、JR紀勢線串本駅で下車し、駅前の道を1kmほど南下した市街地の中にあります。細街路の奥まったところにあるのでなかなか見つけにくいと思いますが、地元の人々はみなさんやさしい人ばかりなのでお気軽におたずね下さい。きっとしっかり道案内してくれると思います。車だと道が細いので難儀すると思いますが、寺の前には4、5台分の駐車スペースがあります。串本駅にはレンタサイクルもありますので、自転車は無量寺への訪問をはじめ周辺観光には便利です。
南国らしい門前のフェニックスをみながら門をくぐると、境内右手に「串本応挙芦雪館」が現れます。ここに江戸時代の画家・円山応挙とその弟子・長沢芦雪らの力作が展示されています。応挙の「山水図」「波上群仙図」や芦雪の「龍図」「群鶴図」など重要文化財の宝の山です。
もとの無量寺は1707年の宝永地震による津波で流されたのですが、天明6年(1786年)に再建されました。当時の住職である愚海和尚と応挙が京都時代に友人であったという縁から、応挙が新築祝いのため本堂を飾る障壁画12面などを描き、そしてそれを弟子の芦雪に託しました。師匠の障壁画を携えて串本にやってきた芦雪も、無量寺で腕をふるうことになりました。彼は、付近の寺や旧家のために約270点もの作品をわずか1年未満の間に描き上げました。

「無量寺」の境内
境内には、この串本応挙芦雪館以外にも、本堂にはデジタル化された応挙の「方丈障壁画」などが当時の配置で展示されています。そして門を出た外側の収蔵庫には、芦雪の「龍図」「虎図」原画などが展示されています。特に収蔵庫は厳重に管理されており、雨天時は中に入れてもらえませんので、天気の良い日にお越し下さい。なお、収蔵庫の展示は、本堂の畳に座って鑑賞する時の視点の高さにあわせているそうです。
重要文化財の「虎図」は圧巻です。私はイラストや漫画を趣味としており、地元のキャラクターデザインなども手掛けていますが、愛くるしさが感じられてしかたがないこの「虎図」がお気に入りです。収蔵庫に一人こもってスケッチし、色付けしたイラストをお恥ずかしながらお見せいたします。誰もいない収蔵庫では、芦雪としんみり話し合っているような気持ちになりました。

筆者が描いた「虎図」
無量寺の他には、串本駅から新宮方面に向かって2つ目の古座駅で下車し駅裏の道を数分ほど歩いたところに、「成就寺」という寺があります。ここにも長沢芦雪の「観音図」が残されています。芦雪の「魚」の落款を見つけると、ついうれしくなります。

成就寺の入口
蛇足ですが、串本町にある天然記念物「橋杭岩」前の道の駅の看板やスタンプ、串本町のお隣の古座川町の道の駅「一枚岩」、「瀧之拝太郎」、「虫喰岩」それぞれのスタンプデザインは私が手掛けさせていただきました。イラストも展示していますので、お時間があれば是非お立ち寄り下さい。

疲れた時は、前出の道の駅「くしもと橋杭岩」2階休憩室より絶景の橋杭岩を眺めながら、1階でテイクアウトした軽飲食で一休みして下さい。
最後に、地元の言葉で締めくくりたいと思います。
「やにこう えーさか また見に来てくらんしよ」(とても良いので また見に来て下さいね)
*****
プロフィール/和歌山県串本町を中心に、地域おこしのためのキャラクター作り、その他デザインやヒトコマ漫画を趣味的にやっております。美術検定は、美術鑑賞や美術史が好きで美術関係のテレビ番組もよく見ていたので、自然に受験しようと思いました。
勉強方法は、特に1級対策はとにかく美術関連書籍を読みまくりました。楽しく勉強したかったので、市販の平明な美術関係の紹介書や入門書を何種類も何度も読むことで、知識が身に付きました。学問に王道なしです。
無量寺は、JR紀勢線串本駅で下車し、駅前の道を1kmほど南下した市街地の中にあります。細街路の奥まったところにあるのでなかなか見つけにくいと思いますが、地元の人々はみなさんやさしい人ばかりなのでお気軽におたずね下さい。きっとしっかり道案内してくれると思います。車だと道が細いので難儀すると思いますが、寺の前には4、5台分の駐車スペースがあります。串本駅にはレンタサイクルもありますので、自転車は無量寺への訪問をはじめ周辺観光には便利です。
南国らしい門前のフェニックスをみながら門をくぐると、境内右手に「串本応挙芦雪館」が現れます。ここに江戸時代の画家・円山応挙とその弟子・長沢芦雪らの力作が展示されています。応挙の「山水図」「波上群仙図」や芦雪の「龍図」「群鶴図」など重要文化財の宝の山です。
もとの無量寺は1707年の宝永地震による津波で流されたのですが、天明6年(1786年)に再建されました。当時の住職である愚海和尚と応挙が京都時代に友人であったという縁から、応挙が新築祝いのため本堂を飾る障壁画12面などを描き、そしてそれを弟子の芦雪に託しました。師匠の障壁画を携えて串本にやってきた芦雪も、無量寺で腕をふるうことになりました。彼は、付近の寺や旧家のために約270点もの作品をわずか1年未満の間に描き上げました。

「無量寺」の境内
境内には、この串本応挙芦雪館以外にも、本堂にはデジタル化された応挙の「方丈障壁画」などが当時の配置で展示されています。そして門を出た外側の収蔵庫には、芦雪の「龍図」「虎図」原画などが展示されています。特に収蔵庫は厳重に管理されており、雨天時は中に入れてもらえませんので、天気の良い日にお越し下さい。なお、収蔵庫の展示は、本堂の畳に座って鑑賞する時の視点の高さにあわせているそうです。
重要文化財の「虎図」は圧巻です。私はイラストや漫画を趣味としており、地元のキャラクターデザインなども手掛けていますが、愛くるしさが感じられてしかたがないこの「虎図」がお気に入りです。収蔵庫に一人こもってスケッチし、色付けしたイラストをお恥ずかしながらお見せいたします。誰もいない収蔵庫では、芦雪としんみり話し合っているような気持ちになりました。

筆者が描いた「虎図」
無量寺の他には、串本駅から新宮方面に向かって2つ目の古座駅で下車し駅裏の道を数分ほど歩いたところに、「成就寺」という寺があります。ここにも長沢芦雪の「観音図」が残されています。芦雪の「魚」の落款を見つけると、ついうれしくなります。

成就寺の入口
蛇足ですが、串本町にある天然記念物「橋杭岩」前の道の駅の看板やスタンプ、串本町のお隣の古座川町の道の駅「一枚岩」、「瀧之拝太郎」、「虫喰岩」それぞれのスタンプデザインは私が手掛けさせていただきました。イラストも展示していますので、お時間があれば是非お立ち寄り下さい。

疲れた時は、前出の道の駅「くしもと橋杭岩」2階休憩室より絶景の橋杭岩を眺めながら、1階でテイクアウトした軽飲食で一休みして下さい。
最後に、地元の言葉で締めくくりたいと思います。
「やにこう えーさか また見に来てくらんしよ」(とても良いので また見に来て下さいね)
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勉強方法は、特に1級対策はとにかく美術関連書籍を読みまくりました。楽しく勉強したかったので、市販の平明な美術関係の紹介書や入門書を何種類も何度も読むことで、知識が身に付きました。学問に王道なしです。