東京都写真美術館でのスクールプログラムレポート
アートナビゲーターの高村啓子です。2015年6月より、東京都写真美術館のボランティア・スタッフとして活動を始めました。今回はその活動をレポートいたします。
東京都写真美術館のボランティア・スタッフ制度は、今年で15年目となり、現在67名が登録し美術館事業のサポート活動をしています。現在、美術館は大規模改修工事に伴い休館中のため、スクールプログラムとワークショップは美術館から学校へ出向いて行う出張形式をとっています。
美術館のスクールプログラムというと、鑑賞プログラムが多いように思いますが、東京都写真美術館は写真と映像に特化した美術館であるだけに、写真やアニメーションへの導入となるような実技を伴うスクールプログラムを行っています。今年度の内容は「青写真」、手作りアニメーション体験としての「おどろき盤」「コマ撮りアニメーション」、対話しながら作品を見る「作品鑑賞」の4つとなっています。ワークショップも、写真・映像の実技系のものです。
ボランティアである私達は、美術館と参加者の間に立って、学芸員やスタッフの方々のサポートを行う一方、参加者の方々と対話しながら、作業の流れが滞らないよう補助します。
私が参加したスクールプログラムは「青写真」のワークショップです。
小学生の頃、青写真にワクワクし神秘的なものさえ感じたあの感覚を、ゲームで育つ今の小学生にも感じてもらえるのだろうか。
最初のプログラム実施先の小学校の門をくぐる時、少し不安な気持ちもありました。しかし、子供は本質的には何も変わっていない、と今では言えます。ワークショップでは、多くの子供達が作業に興味を持って集中していました。この体験をきっかけに、将来写真家や映像作家が誕生するかもしれません。子供達が、青写真の仕上がるまでの過程をスポンジのように吸収していく様は、見ていて気持ちのよい体験でした。
「青写真」の制作工程はこのようになっています。
まず、感光液をローラーで画用紙に塗って印画紙を作り、その上に、レース、木の葉、定規などのモチーフをレイアウトします。印画紙ではなく、先生が事前に用意された布を使用した小学校もありました。それらをガラスに密着させ、太陽光での露光をします。雨まじりの天候の中では15分位、晴れていれば5分位で色の変化が見られました。
その後水洗いをし、オキシドールで漂白します。オキシドールに浸すと鮮明な青色に変化し、見事な仕上がりとなりました。布は紙とは違う質感で、仕上がった作品は藍染めのような風合いでした。布巾として使えるので、子供達にとっても印象深いものとなったようです。
この「青写真」のワークショップで、カメラがなくても写真が写せることがわかった、太陽の光でできるのでエコだと思う、オキシドールにつけると濃い青に変化することがわかった、など、子供達が楽しんでいる様子を見て、豊かな時代になっても、ものを作る喜びというのは変わらないと実感しました。
次は、関連施設の東京都美術館で行われた、大人向けの「ステレオ写真」のワークショップです。講師は写真家の高島圭史さん。
「ステレオ写真」とは、人間の知覚を利用して擬似的に立体に見せる写真です。
通常どおり1枚撮影し、右に両目間隔程度平行移動させてもう1枚撮ります。その2枚を並べてプリントしたものを、バルサ材で手作りしたステレオビューワーという装置で見るのです。ステレオ写真の面白さは、写真としての奥行によるのではなく、何枚かのレイヤーの使い方によって立体感が出るところです。

この装置で様々な写真を見比べ、意外に立体的に撮れている、思ったように撮れていない、など感想が飛び交っていました。大人が楽しめるものづくりの体験、思いがけない立体感を味わうことができる魅力的な体験となりました。
ボランティア・スタッフには写真への情熱を持った方が多く、今後も皆さんと共に、写真や映像を通して豊かな体験学習のための補助をしたいと願っています。
プロフィール/建築・インテリアにかかわりながら、2013年美術検定1級取得。ボランティア活動は始めたばかりですが、今後様々な活動に積極的に取り組みたいと思います。美術館は建築としても面白い建物が多いので、鑑賞に楽しみは尽きません。
美術館のスクールプログラムというと、鑑賞プログラムが多いように思いますが、東京都写真美術館は写真と映像に特化した美術館であるだけに、写真やアニメーションへの導入となるような実技を伴うスクールプログラムを行っています。今年度の内容は「青写真」、手作りアニメーション体験としての「おどろき盤」「コマ撮りアニメーション」、対話しながら作品を見る「作品鑑賞」の4つとなっています。ワークショップも、写真・映像の実技系のものです。
ボランティアである私達は、美術館と参加者の間に立って、学芸員やスタッフの方々のサポートを行う一方、参加者の方々と対話しながら、作業の流れが滞らないよう補助します。
私が参加したスクールプログラムは「青写真」のワークショップです。
小学生の頃、青写真にワクワクし神秘的なものさえ感じたあの感覚を、ゲームで育つ今の小学生にも感じてもらえるのだろうか。
最初のプログラム実施先の小学校の門をくぐる時、少し不安な気持ちもありました。しかし、子供は本質的には何も変わっていない、と今では言えます。ワークショップでは、多くの子供達が作業に興味を持って集中していました。この体験をきっかけに、将来写真家や映像作家が誕生するかもしれません。子供達が、青写真の仕上がるまでの過程をスポンジのように吸収していく様は、見ていて気持ちのよい体験でした。
「青写真」の制作工程はこのようになっています。
まず、感光液をローラーで画用紙に塗って印画紙を作り、その上に、レース、木の葉、定規などのモチーフをレイアウトします。印画紙ではなく、先生が事前に用意された布を使用した小学校もありました。それらをガラスに密着させ、太陽光での露光をします。雨まじりの天候の中では15分位、晴れていれば5分位で色の変化が見られました。
その後水洗いをし、オキシドールで漂白します。オキシドールに浸すと鮮明な青色に変化し、見事な仕上がりとなりました。布は紙とは違う質感で、仕上がった作品は藍染めのような風合いでした。布巾として使えるので、子供達にとっても印象深いものとなったようです。
この「青写真」のワークショップで、カメラがなくても写真が写せることがわかった、太陽の光でできるのでエコだと思う、オキシドールにつけると濃い青に変化することがわかった、など、子供達が楽しんでいる様子を見て、豊かな時代になっても、ものを作る喜びというのは変わらないと実感しました。
次は、関連施設の東京都美術館で行われた、大人向けの「ステレオ写真」のワークショップです。講師は写真家の高島圭史さん。
「ステレオ写真」とは、人間の知覚を利用して擬似的に立体に見せる写真です。
通常どおり1枚撮影し、右に両目間隔程度平行移動させてもう1枚撮ります。その2枚を並べてプリントしたものを、バルサ材で手作りしたステレオビューワーという装置で見るのです。ステレオ写真の面白さは、写真としての奥行によるのではなく、何枚かのレイヤーの使い方によって立体感が出るところです。

この装置で様々な写真を見比べ、意外に立体的に撮れている、思ったように撮れていない、など感想が飛び交っていました。大人が楽しめるものづくりの体験、思いがけない立体感を味わうことができる魅力的な体験となりました。
ボランティア・スタッフには写真への情熱を持った方が多く、今後も皆さんと共に、写真や映像を通して豊かな体験学習のための補助をしたいと願っています。

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