「風景画の誕生」展 キヤノン・ミュージアム・キャンパス レポート
皆様こんにちは。アートナビゲーターの中嶋ひろみです。10月5日(月) に、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「ウィ―ン美術史美術館所蔵 風景画の誕生」展関連イベントとして実施された、キヤノン・ミュージアム・キャンパスでのアートナビゲーターの活動をレポートいたします。
この「キヤノン・ミュージアム・キャンパス」は、大学生(大学院生・短期大学生・専門学校生を含む)の方々に、アートナビゲーターによる作品解説などを通じ、新たな発見や美術鑑賞の楽しさ、芸術への親しみなどを感じていただくことを目的として、「ウィ―ン美術史美術館所蔵 風景画の誕生」展に特別協賛しているキヤノン株式会社により企画されました。大学生の方々に世界屈指の芸術作品に触れる機会を提供したいという考えのもと、「大学生のための無料観覧日」とし、Bunkamura、読売新聞社と共同で開催されました。
本展では、ウィーン美術史美術館所蔵の膨大なコレクションのうち、風景を切り口に厳選した風景画70点の作品が展示されています。今回4回目となるキヤノン・ミュージアム・キャンパスでは、美術検定1級を取得したアートナビゲーターが、その魅力や見どころを解説しながら、風景画誕生のドラマをたどるガイドツアーを行いました。
会場は、第1章「風景画の誕生」、第2章「風景画の展開」という展示構成で、聖書、神話などの物語や人間の営みの背景として描かれた風景から、自立した風景画に至るまでが展示されています。「さまざまな風景から画家の表現を楽しんで、その変遷をみてほしい」という企画者からの言葉を受け、6人のアートナビゲーターが一人ずつ順に、30分毎に20分間のガイドツアーをしていきました。
限られた時間の中で風景画の変遷をどう解説したらよいか、アートナビゲーターの悩みどころだったようですが、それぞれに解説の仕方や重きを置く点、取り上げる作品などに違いがあり、個性があふれていました。ほとんどのガイドツアーに、10名以上、多い時は20名以上の学生が参加し、アートナビゲーターの解説に熱心に耳を傾け、メモを取るなどしていました。
またアートナビゲーターは、会場内で待機している際に個別に学生からの質問、疑問に丁寧に答えていきました。聖書や神話の詳しい話から展示室の壁の色など、質問の内容は様々だったようです。
参加した学生の方々からの感想としては、
「大学の授業の一環で来たが、ガイドツアーに参加し勉強になった。」
「風景画について知識なしで来たが、ガイドさんの説明を聞いて良くわかった。」
「普段、風景画は鑑賞することがなく、今回無料なので来てみたが、デザインを勉強している者としてもとても参考になった。」
「ウィーン美術史美術館所蔵の作品を日本で観ることができてうれしい。」
「タッチ、空の色がきれい。モチーフもたくさんあって、美しい風景に感動。」
「バラエティーに富んでいて、風景画の流れがつかめた。」
といった声がありました。
また興味を持った点、好きな作品などお伺いしたところ、
「《聖母子と聖カタリナと聖バルバラ》は、ガイドによって背景の意味がわかり印象に残った。ポストカードを是非買って帰りたい。」
「《月暦画》は絵だけで何月かわかるのが面白い。星座が描かれているのも面白い。」
「《風景のなかの古代の神々》は、描かれている神々が五感を表していることに興味を持った。」
などなど様々な感想がありました。学生の方々がそれぞれに今回の展示やガイドツアーにおいて収穫があったことが感じられます。
アートナビゲーターの方々からは、
「学生の皆さんが熱心にメモを取り、質問をするなど意欲的に鑑賞しているのが感じられた。」
「ガイドツアー20分という短い時間ながらも、展覧会全体をツアーできるということで、アートナビゲーターの個々の特徴をより出せた。」
「改めて多様な作品が来ていたこと、それをいろんな楽しみ方をそれぞれのアートナビゲーターがしていたことが勉強になった。」
「フレンドリーな雰囲気で楽しくガイドすることができた。」
などの感想が寄せられました。
Bunkamuraザ・ミュージアムは、前回までのキヤノン・ミュージアム・キャンパスの会場だった、国立西洋美術館のある上野や国立新美術館のある六本木のように、美術館が集中した場所ではありませんが、今回500名以上の学生が来場されました。「風景画の誕生」というテーマが親しみやすかったのも、その理由と言えるでしょう。
今回のイベントでは、学生の方々の学ぶ意欲の高さに驚きました。会場の光景は、ガイドツアーに参加し熱心に聞く人、メモを取る人、質問をする人、キャプションやパネルの解説をじっくり読む人、作品を食い入るように観る人などで埋め尽くされていました。テーマの趣旨や絵の意味を理解した上で作品を鑑賞したい、作品から何かを感じ取りたい、学びたいという熱意がひしひしと伝わってきました。アートナビゲーターは、このような学生の思いに充分応えることができたのではないでしょうか。またアートナビゲーターも、このような学生との触れ合いで充実した一日になりました。
これからも、アートナビゲーターの活動を通して、美術と人びとをつなぐ架け橋になっていきたいと思います。

ガイドツアーを担当下さいましたアートナビゲーターの皆さん、ありがとうございました!
(写真提供=©Canon INC.)
※「ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生」展はBunkamuraザ・ミュージアムで12月7日(月)まで開催中です。お見逃しなく!
プロフィール/2014年に美術検定1級に合格しました。川崎市市民ミュージアムで、美術館展示部門のガイドやワークショップのボランティア活動をしています。
本展では、ウィーン美術史美術館所蔵の膨大なコレクションのうち、風景を切り口に厳選した風景画70点の作品が展示されています。今回4回目となるキヤノン・ミュージアム・キャンパスでは、美術検定1級を取得したアートナビゲーターが、その魅力や見どころを解説しながら、風景画誕生のドラマをたどるガイドツアーを行いました。
会場は、第1章「風景画の誕生」、第2章「風景画の展開」という展示構成で、聖書、神話などの物語や人間の営みの背景として描かれた風景から、自立した風景画に至るまでが展示されています。「さまざまな風景から画家の表現を楽しんで、その変遷をみてほしい」という企画者からの言葉を受け、6人のアートナビゲーターが一人ずつ順に、30分毎に20分間のガイドツアーをしていきました。
限られた時間の中で風景画の変遷をどう解説したらよいか、アートナビゲーターの悩みどころだったようですが、それぞれに解説の仕方や重きを置く点、取り上げる作品などに違いがあり、個性があふれていました。ほとんどのガイドツアーに、10名以上、多い時は20名以上の学生が参加し、アートナビゲーターの解説に熱心に耳を傾け、メモを取るなどしていました。
またアートナビゲーターは、会場内で待機している際に個別に学生からの質問、疑問に丁寧に答えていきました。聖書や神話の詳しい話から展示室の壁の色など、質問の内容は様々だったようです。
参加した学生の方々からの感想としては、
「大学の授業の一環で来たが、ガイドツアーに参加し勉強になった。」
「風景画について知識なしで来たが、ガイドさんの説明を聞いて良くわかった。」
「普段、風景画は鑑賞することがなく、今回無料なので来てみたが、デザインを勉強している者としてもとても参考になった。」
「ウィーン美術史美術館所蔵の作品を日本で観ることができてうれしい。」
「タッチ、空の色がきれい。モチーフもたくさんあって、美しい風景に感動。」
「バラエティーに富んでいて、風景画の流れがつかめた。」
といった声がありました。
また興味を持った点、好きな作品などお伺いしたところ、
「《聖母子と聖カタリナと聖バルバラ》は、ガイドによって背景の意味がわかり印象に残った。ポストカードを是非買って帰りたい。」
「《月暦画》は絵だけで何月かわかるのが面白い。星座が描かれているのも面白い。」
「《風景のなかの古代の神々》は、描かれている神々が五感を表していることに興味を持った。」
などなど様々な感想がありました。学生の方々がそれぞれに今回の展示やガイドツアーにおいて収穫があったことが感じられます。
アートナビゲーターの方々からは、
「学生の皆さんが熱心にメモを取り、質問をするなど意欲的に鑑賞しているのが感じられた。」
「ガイドツアー20分という短い時間ながらも、展覧会全体をツアーできるということで、アートナビゲーターの個々の特徴をより出せた。」
「改めて多様な作品が来ていたこと、それをいろんな楽しみ方をそれぞれのアートナビゲーターがしていたことが勉強になった。」
「フレンドリーな雰囲気で楽しくガイドすることができた。」
などの感想が寄せられました。
Bunkamuraザ・ミュージアムは、前回までのキヤノン・ミュージアム・キャンパスの会場だった、国立西洋美術館のある上野や国立新美術館のある六本木のように、美術館が集中した場所ではありませんが、今回500名以上の学生が来場されました。「風景画の誕生」というテーマが親しみやすかったのも、その理由と言えるでしょう。
今回のイベントでは、学生の方々の学ぶ意欲の高さに驚きました。会場の光景は、ガイドツアーに参加し熱心に聞く人、メモを取る人、質問をする人、キャプションやパネルの解説をじっくり読む人、作品を食い入るように観る人などで埋め尽くされていました。テーマの趣旨や絵の意味を理解した上で作品を鑑賞したい、作品から何かを感じ取りたい、学びたいという熱意がひしひしと伝わってきました。アートナビゲーターは、このような学生の思いに充分応えることができたのではないでしょうか。またアートナビゲーターも、このような学生との触れ合いで充実した一日になりました。
これからも、アートナビゲーターの活動を通して、美術と人びとをつなぐ架け橋になっていきたいと思います。


ガイドツアーを担当下さいましたアートナビゲーターの皆さん、ありがとうございました!
(写真提供=©Canon INC.)
※「ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生」展はBunkamuraザ・ミュージアムで12月7日(月)まで開催中です。お見逃しなく!

| 美術検定関連イベント告知&レポート | 11:59 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑