新春にふさわしい澄み切った青空が広がる2016年1月9日、参加者はイベント第一部の会場である東京・上野の
東京国立博物館前に集合しました。新春のイベントにふさわしく、着物で参加される方も数名いらっしゃり、一段と華やかな空気に包まれました。
東京国立博物館こと東博では、2名のアートナビゲーター、安藤陽子さんと五十嵐絵里子さんがガイドを務められました。まずは本館の前で、東博でのボランティア経験もある安藤さんが、東博の建物についてクイズを出題されました。
ガイドを務められた二人のアートナビゲーター、安藤さん(左)と五十嵐さん(右)「東博には数々の重要文化財がありますが、本日はその中でも一番大きな重要文化財をご覧いただきます。それではその一番大きな重要文化財は長さ何メートルでしょうか?選択肢は3つです。①は3メートル、②は10メートル、③は100メートル以上、さて答えは3つのうちのどれでしょう?」
参加者の皆さんが「彫刻?絵巻?何だろう」と頭をひねらせながら解答を考える中、安藤さんが正解を発表されました。「正解は③の100メートル以上です。何が一番大きな重要文化財かというと、この皆さんの前にある本館そのものなのです。この本館は、屋根瓦から天井や階段まで細部が非常に凝ったデザインとなっています。そんな東博の建物も楽しみながら、展覧会を観に行きましょう」と、いよいよ本館に入場です。
本館では新春特集として、国宝の長谷川等伯筆『松林図屏風』や葛飾北斎の『冨嶽三十六景』、また今年の干支にちなんだ猿をモチーフにした作品などが展示されている
「博物館に初もうで 猿の楽園」展が開催されていました。参加者は2つのグループに分かれ、安藤さんと五十嵐さんが代表的な展示作品を解説したり参加者からの質問に応えながら、展覧会の見どころをガイドしました。新春ということで他にも多くの方々が鑑賞されていたこともあり、このツアー以外の人からも質問を受けるというハプニングもありましたが、そんな質問にも安藤さん五十嵐さんは丁寧に対応されていました。何よりご自身がガイドを楽しんでいらっしゃる姿が、とても印象的でした。
その後自由鑑賞時間を経て、東博を楽しむ第一部はあっという間に終了。イベント第二部は場所を移し、東京駅前の
Tiki Bar TOKYOで日本酒の飲み比べを兼ねた交流会が開かれました。
「鶴鈴」でおなじみの青木酒造の方がこの日のために新潟から持参された5つの種類の日本酒を飲み比べながら、参加者の方々は各テーブルで味の違いを話し合ったり、それぞれの日本酒の作り方を学んだりしました。お酒の酔いも手伝って交流会も盛り上がり、美術と食を通し日本文化を楽しむイベントはあっとあう間にお開きとなりました。
「鶴鈴」をはじめ5種類の日本酒を飲み比べる参加者。美術と食で日本の新年を堪能した。今回ガイドを務められたアートナビゲーターの安藤さんは、「東博はボランティアをしていたこともある思い入れのある博物館なので、このような機会をいただけて嬉しかったです。今回は誰もが知っているような有名な作品が多く展示されていましたので、その見どころや東博の楽しみ方のヒントを伝えさせていただければと思ったのですが、参加されている皆さんが笑顔で頷きながら話を聞いて下さったので、話しているこちらまでとても楽しい気持ちになりました。」、そして今回のイベントでガイドデビューされたアートナビゲーター&アートエバンジェリストの五十嵐さんは、「今回のガイドを通して、私自身がより東博を詳しく知り、さらに日本美術を深く学ぶ良い機会になりました。これを機に、参加された方が東博を身近に感じて下さると嬉しいです。」と、このイベントがアートナビゲーターとしてのよき活動機会となったようです。
アートエバンジェリスト協会では今後もこうしたアートイベントを実施していくとのこと、「美術検定」実行委員会事務局も引き続き協力していく予定ですので、アーエバンジェリスト協会のこれからの活動にご注目下さい!
※アートエバンジェリスト協会 →
http://artevangelist.jp/※アートエバンジェリストの講座・イベントプログラム →
http://ae-salon.com/取材・文=高橋紀子(「美術検定」実行委員会事務局)
写真提供=青木酒造(株)、AE-Salon