アートナビゲーター美術館コレクションレポート 「古川美術館」
皆さまはじめまして。アートナビゲーターのおおまえです。2017年に美術検定1級を無事に取得し、このレポートが初仕事となります。今回は、私が住んでいる愛知県名古屋市の地元の歴史に根付いた美術館で、かつ美術検定応援館でもある古川美術館をご紹介いたします。
■古川美術館って?
名古屋駅から地下鉄東山線で約3分、池下駅近くにあります。池下地区での主要な施設の一つとなっており、駅から歩く際も案内表示があり、道に迷うことなく訪れる事ができます。

古川美術館の外観
古川美術館は、初代館長の故古川為三郎氏が長年にわたって収集してきた美術品をもとに開館されました。この古川為三郎氏、昭和の名古屋の発展に欠かせない方です。一説によると「西の松下幸之助、東の古川為三郎」と言われたほど。映画、飲食、娯楽産業で財を成し、名古屋地区を中心に実業家として活躍されました。そんな方が日本芸術を愛し収集し、その作品を「私蔵することなく皆さまに楽しんで頂きたい」という思いが美術館に込められています。
所蔵品は近代日本画を中心として、油彩画、陶磁器、工芸品、また西洋15世紀の手書き彩色写本など、約2800点に上ります。今回私が訪れた際は企画展が行われており、所蔵作品を直接目にすることはできませんでしたが、横山大観、前田青邨、安田靫彦、上松松園などビッグネームの所蔵品は、AVルームにてハイビジョンで鑑賞することができました。横山大観の『三保之富士・松原』など、圧巻の作品です。
■展示作品の楽しみ方、そして古川美術館の役割
今回訪れた際に開催していたのは「日本画家 木村光宏~山紫水明を描く~」という特別展でした。残念ながらアーティストトークやギャラリートークに参加することはできませんでしたが、展示している各作品に丁寧なキャプションがついていて、非常にわかりやすかったです。美術館の皆さんの人のぬくもりを感じます。
また、この特別展に併せていろいろなイベントを開催していました。日本芸術の理解を深めるための茶道の講座や和菓子作り、お茶会など。美術館での展覧会だけでなくこうした地道な取り組みが、名古屋の文化に貢献しているのですね。ちなみに木村光宏さんの作品、初めて鑑賞しましたが、思いがけず素晴らしい作品に巡り合うことができ、やはりこの美術館の「日本の素晴らしい作品を広めたい」という思いを感じることができました。
■そして、為三郎記念館を満喫
古川美術館から歩いて3分ほどのところに、分館である為三郎記念館があります。昭和9年に茶事を楽しむことを目的として建てられた数寄屋建築で、初代館長の古川為三郎の終の棲家となった場所です。広間や小間の茶室として使用できる部屋を配した邸内は、細部までこだわった意匠の欄間や床の間があり、お茶事の庭として作られたお庭とともに和の魅力にあふれた空間です。

数奇屋建築の為三郎記念館。庭も美しく手入れされている
ここでは「数寄屋カフェ」を楽しむことができます。建物内を巡って、しつらえや床の間の芸術作品を楽しんだ後、好きな場所でお茶を楽しむことができます。お抹茶セットやコーヒーなどいくつかのメニューがありますが、どれも料金700円!(入館券の種類によってさらに値下げあり)。美しく整えられたお庭を見ながらお抹茶セットを楽しみました。お抹茶セットに限っては、瀬戸焼や信楽焼などの作家の茶器を楽しむことができます。私の本日のお抹茶セットは瀬戸焼の加藤令吉先生の作品でした。個人的に今日の気分にぴったりな器でした!

ちなみに、和装(着物・浴衣・甚平など)で来館すると入館料が半額になるとのことです。確かにこの日も和装の方が何名かいらっしゃいました。
なお、この為三郎記念館は、このたび国の登録有形文化財として登録されました!
古川美術館で日本芸術作品を目で楽しみ、為三郎記念館で建物の中に入って日本の文化を体験するという本当に充実したひと時を過ごすことができます。東海地方にいらっしゃる方は一刻も早く、またそうでない方も、2019年開催の「あいちトリエンナーレ」で来名いただき、その際にぜひ足をお運びください。
写真提供=古川美術館(外観、分館写真)
■古川美術館
〒464-0066 愛知県名古屋市千種区池下町2丁目50番
開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで)
休館日 月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、展示替期間、年末年始
入館料 1・古川美術館、分館爲三郎記念館2館入館券
一般1000円、高校生・大学生500円、小学生・中学生300円
2・古川美術館のみ入館券(一般のみ有効) 一般800円
3・爲三郎記念館のみ入館券(呈茶付)
一般700円、高校生・大学生700円、小学生・中学生700円
※団体は8名以上
※美術検定合格者は、合格認定証を提示すると1の入館券200円割引の特典
TEL 052-763-1991
http://www.furukawa-museum.or.jp/
プロフィール
普段は会社員ですが、休日にあちこちの美術館、芸術祭めぐりをしたり、時にはガイドをして楽しんでいます。地元のあいちトリエンナーレと瀬戸内国際芸術祭で現代アートのおもしろさに目覚め、モーレツ勉強中!
名古屋駅から地下鉄東山線で約3分、池下駅近くにあります。池下地区での主要な施設の一つとなっており、駅から歩く際も案内表示があり、道に迷うことなく訪れる事ができます。

古川美術館の外観
古川美術館は、初代館長の故古川為三郎氏が長年にわたって収集してきた美術品をもとに開館されました。この古川為三郎氏、昭和の名古屋の発展に欠かせない方です。一説によると「西の松下幸之助、東の古川為三郎」と言われたほど。映画、飲食、娯楽産業で財を成し、名古屋地区を中心に実業家として活躍されました。そんな方が日本芸術を愛し収集し、その作品を「私蔵することなく皆さまに楽しんで頂きたい」という思いが美術館に込められています。
所蔵品は近代日本画を中心として、油彩画、陶磁器、工芸品、また西洋15世紀の手書き彩色写本など、約2800点に上ります。今回私が訪れた際は企画展が行われており、所蔵作品を直接目にすることはできませんでしたが、横山大観、前田青邨、安田靫彦、上松松園などビッグネームの所蔵品は、AVルームにてハイビジョンで鑑賞することができました。横山大観の『三保之富士・松原』など、圧巻の作品です。
■展示作品の楽しみ方、そして古川美術館の役割
今回訪れた際に開催していたのは「日本画家 木村光宏~山紫水明を描く~」という特別展でした。残念ながらアーティストトークやギャラリートークに参加することはできませんでしたが、展示している各作品に丁寧なキャプションがついていて、非常にわかりやすかったです。美術館の皆さんの人のぬくもりを感じます。
また、この特別展に併せていろいろなイベントを開催していました。日本芸術の理解を深めるための茶道の講座や和菓子作り、お茶会など。美術館での展覧会だけでなくこうした地道な取り組みが、名古屋の文化に貢献しているのですね。ちなみに木村光宏さんの作品、初めて鑑賞しましたが、思いがけず素晴らしい作品に巡り合うことができ、やはりこの美術館の「日本の素晴らしい作品を広めたい」という思いを感じることができました。
■そして、為三郎記念館を満喫
古川美術館から歩いて3分ほどのところに、分館である為三郎記念館があります。昭和9年に茶事を楽しむことを目的として建てられた数寄屋建築で、初代館長の古川為三郎の終の棲家となった場所です。広間や小間の茶室として使用できる部屋を配した邸内は、細部までこだわった意匠の欄間や床の間があり、お茶事の庭として作られたお庭とともに和の魅力にあふれた空間です。


数奇屋建築の為三郎記念館。庭も美しく手入れされている
ここでは「数寄屋カフェ」を楽しむことができます。建物内を巡って、しつらえや床の間の芸術作品を楽しんだ後、好きな場所でお茶を楽しむことができます。お抹茶セットやコーヒーなどいくつかのメニューがありますが、どれも料金700円!(入館券の種類によってさらに値下げあり)。美しく整えられたお庭を見ながらお抹茶セットを楽しみました。お抹茶セットに限っては、瀬戸焼や信楽焼などの作家の茶器を楽しむことができます。私の本日のお抹茶セットは瀬戸焼の加藤令吉先生の作品でした。個人的に今日の気分にぴったりな器でした!

ちなみに、和装(着物・浴衣・甚平など)で来館すると入館料が半額になるとのことです。確かにこの日も和装の方が何名かいらっしゃいました。
なお、この為三郎記念館は、このたび国の登録有形文化財として登録されました!
古川美術館で日本芸術作品を目で楽しみ、為三郎記念館で建物の中に入って日本の文化を体験するという本当に充実したひと時を過ごすことができます。東海地方にいらっしゃる方は一刻も早く、またそうでない方も、2019年開催の「あいちトリエンナーレ」で来名いただき、その際にぜひ足をお運びください。
写真提供=古川美術館(外観、分館写真)
■古川美術館
〒464-0066 愛知県名古屋市千種区池下町2丁目50番
開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで)
休館日 月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、展示替期間、年末年始
入館料 1・古川美術館、分館爲三郎記念館2館入館券
一般1000円、高校生・大学生500円、小学生・中学生300円
2・古川美術館のみ入館券(一般のみ有効) 一般800円
3・爲三郎記念館のみ入館券(呈茶付)
一般700円、高校生・大学生700円、小学生・中学生700円
※団体は8名以上
※美術検定合格者は、合格認定証を提示すると1の入館券200円割引の特典
TEL 052-763-1991
http://www.furukawa-museum.or.jp/

普段は会社員ですが、休日にあちこちの美術館、芸術祭めぐりをしたり、時にはガイドをして楽しんでいます。地元のあいちトリエンナーレと瀬戸内国際芸術祭で現代アートのおもしろさに目覚め、モーレツ勉強中!
| 連載「アートナビゲーター・美術館コレクションレポート」 | 11:02 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑