週末はアートフェア~アートフェア東京2019みどころ、速報!
まいど、アートナビゲーターのあづまっくすでございます。恒例となりましたアートフェア東京レポート、みどころを速報でお届けいたします。

アートフェア東京とは、国内外の160のギャラリーや企業が参加する、日本最大のアートフェアです。会場は有楽町の「東京国際フォーラム」、2019年の今年は3月8日(金)から10日(日)までの開催です。アートフェア東京の特徴は、古美術から近・現代美術、工芸やジュエリーといったかたちで幅広いジャンルの作品を取り扱っている点です。
昨年は初めて参加ブースが160を超え華やかな雰囲気でしたが、今年は少し違います。質実剛健というか、もちろん、それぞれの展示は色彩豊かで空間演出もすばらしいのですが、そぎ落とした部分が多い、と感じました。
まず気づくのはチケットブース。昨年まではアーティストがペインティングした車の展示とあわせ、東京国際フォーラムの地下1階に大きなスペースを設けていましたが、かなり縮小し、代わりにギャラリーなどの展示スペースとしています。そこでは新たな企画『Crossing』が行われています。アートフェア東京の運営母体であるアート東京が、毎年フェアにあわせ発表している「日本のアート産業に関する市場調査」でも、美術作品購入の場として大きな位置をしめる百貨店や、アートフェア東京の常連となった工芸などが、こちらに出展しています。その結果として、全体の出展は160と昨年並みの規模ながら、地下2階の『Galleries』は昨年に比べて平均120%の広さ(主催者発表)というゆったりした展示空間が広がります。

西武・そごう百貨店のブースは『Crossing』エリアに
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ここ数年のアートフェア東京の傾向は、出展者のジャンルを分けないことです。古今東西を問わず、古美術や中近代・現代美術を意図的にシャッフルして展示することで、現代美術における古典の引用や、美術史自体が引用や模倣を繰り返してきた面もあることに改めて気づかされます。
またブースが広くなったことでギャラリーも工夫を凝らし、あえて壁を設け異なるジャンルの作品を展示し、まるで別の出展者のように見えるところもいくつかありました。たとえばNUKAGA。これまで扱ってきた近代絵画作品とは別に、海外の現代美術作家を紹介されていました。会場マップには書かれていない個々のブース内での試みもぜひお見逃しなく。

NUKAGAのステファン・ブルッゲマン作品「headlines&Last Line in The Movies」
会場マップは、フェア会場入口ほか、配布される冊子にも掲載されています。この冊子がすぐれもので、会場マップからおすすめの食事処まで情報満載。会場マップも自分のいる場所が分かるように5色に分けられ、会場でもギャラリー名とセットで分かるようになっています。

会場で配布されている冊子
そんな中、シュウゴアーツのイケムラレイコ作品が目にとまりました。一見何の変哲もない置物に見えますが、よく見ると…ベルリン在住で、現在乃木坂の国立新美術館で個展「イケムラレイコ 土と星 Our Planet」を開催中の作家ですが、美術館とは違った形で、自分の部屋に飾ってみるという感覚で作品と向き合えるのもアートフェアならではですね。

シュウゴアーツのイケムラレイコ作品(右)。ぜひじっくり観察を!
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そして一番気になるのはチケット料金です。2500円(2017年)→3500円(2018年)そして今年は5000円!(いずれも当日料金、今年は前売り4000円)それでも、最近ビジネスにおけるアートの効用や、経営者のコレクションが話題になっている影響なのか、会場内はいつもより熱気に満ちていました。ブースが広くなったことで作品にじっくり向き合える場ができているのも、そう感じた一因かもしれません。
その他無料エリアには、ご紹介した『Crossing』以外にも、歴史の浅いギャラリーがイチオシ作家を展示する恒例の『Projects』、昨年から引き続き、各国大使館推薦の作家を紹介する『World Art Tokyo』や、美大生を美大生がキュレーション展示する『Future Artists Tokyo』などが昨年より規模を拡大する形で開催されていて、先週京都で行われたARTISTS' FAIR KYOTO2019のように、作家自身が来場者に熱くプレゼンする姿も見られました。
今年は後援の大使館が100カ国を超え、昨年よりも参加国が増えた『World Art Tokyo』の展示周辺をはじめとして、国際色が豊かなオープニングとなっていました。『World Art Tokyo』はサテライトとして、天王洲や六本木にも展示されていて、無料バスでの巡回も可能です。東京の空の玄関口、羽田空港も今年初めてサテライトとなっています。

オープニングでは各国大使も参列
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今年は昨年に続き、6回目の開催となる末広町の3331 Art Fair 2019、4回目となる汐留のパークホテル東京でのART in PARK HOTEL TOKYO 2019(AiPHT)が同時開催となっています。アートフェア東京の会期中は会場を結ぶ無料バスが運行されます。週末は雨もあがりあたたかくなりそうです。春の陽気を感じながら、アートフェア東京および関連企画を楽しみにでかけてみませんか!
■アートフェア東京2019
【開催日程】※全日入場は終了30分前まで
3月 8日(金)11:00-20:00
3月 9日(土)11:00-20:00
3月10日(日)11:00-17:00
【会場】
東京国際フォーラム 展示ホール(東京都千代田区丸の内3-5-1)
【チケット情報】
●1-DAYパスポート 5,000円(当日税込)
過去レポート
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2005年の横浜トリエンナーレで初ボランティア、それ以来、会社員のかたわら都内を中心にガイドやワークショップのお手伝いをしております。最近はレゴブロックを使った対話型鑑賞ワークショップを行っています。
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