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美術の知識と鑑賞〜番外編「美術検定直前!新傾向問題とは何か?(2)」

こんにちは。美術検定事務局です。
「美術検定」試験まで、あと10日!カウントダウンが始まりました。

今回は、今年から出題されることになった「新傾向問題」について、級別解説をお送りします。解説は、検定監修のお一人、奥村高明先生(聖徳大学教授)です。


もう試験直前だが、新傾向問題に不安を抱いている人も多いだろう。

どのように知識を活用して解けばよいのか、本稿ではその解法を直前解説して、その不安を少しでも和らげたいと思う。

まず、安心してほしいのは、何か新たに覚える必要はないということだ、4級を現在受けようとする知識があれば、その知識を組み合わせたり、活用したりすれば答えにたどり着ける。

[4級の新傾向問題]
4_Q10例えば『4級速習ブック&練習問題』のQ10(p112)を見てみよう。

これはQ8~10で1つの問題になっている。「弥勒菩薩半跏思惟像」「タビデ像」「モナ・リザ」「達磨図」との共通点を見つけてしりとりのようにつないでいく問題だ。ただ単純ではない。Q10で「モナ・リザ」から「達磨図」にたどり着く際に複数の共通点を検討する必要がある、その視点は選択肢にある①宗教、②背景、③性別、④構図である。①宗教といえば「モナ・リザ」がマリア像だという説がある、③性別では「モナ・リザ」が男性像という説もある、とんでもない説だと思うが完全な誤答とは言えない。でも4つ全て検討すれば最も妥当なのは、④人物の上半身だと分かる。

●参考:4級練習問題Q8
4_Q8
画像は全てクリックすると拡大します。


[3級の新傾向問題]
3_Q73級練習問題』Q7(p164)にも同様の問題がある。

興福寺北円堂」と「東大寺南大門」の時代背景、パトロン、建築様式という複数の知識を引き出させて、その組み合わせを問うている。問題の設計上、誤答よりも正答が多く掲載されているので、慎重に確実に知っていることから判断していくとよいだろう。


3_Q33級で一番特徴的なのはQ3(p160)だろう。キリストの物語を知っていれば楽に答えられるが、一対一で記憶している人には難しい。3級受験者を対象に、図像が何を意味しているかという文脈的な知識が問われている。



[2級の新傾向問題]
2_Q142級受験者ともなれば相当の知識がある。『2級練習問題』Q14(p240)はその知識を、西洋と日本にまたがって時代の流れに位置付ける問題である。正確に制作年まで覚えることは必要ないが「古代」「中世」「近世」「近代」程度は必要な知識だといえるだろう。解答のコツは、受験生自身の得意でたどり着くことだ。

ジョット」が1300年代ということが分かれば解答は②、「鳥獣人物戯画」が1200年代と知っていればやはり②、複雑そうに見えるが自分なりの糸口を見つければ簡単だ。それを多く持っている人ほど確実に解ける。


2_Q8また、Q8(p232)は「風神雷神図屏風」を比べる問題だが、ここで問われるのは単に作者名や文脈を知っていることだけでなく、その構図や作品の特徴をとらえておくことである。画面からはみ出させているのは誰か、上下に位置がずれているのは誰か、その2点で判断できる。



*****


これまで「美術検定」でよく見られたのは、1つが正解で、他は明らかな誤答というものである。誤答を探し消去法で解く。でもそれは美術の思考力ではない。テストやクイズが得意な人が有利なだけだ。世の中にはこの手の検定は多く、グレードが上がるほど重箱の隅をつつくようになる。身に付けた知識は生活の役に立たず陳腐化する。でも、それは「美術検定」が目指す方向ではない。新傾向問題は、自分の知識から「最も妥当な」を考えることによって問題を解くようになっている。それは正解のない日常で人々が最もよく使っている問題解決の手法である。「美術検定」が目指すのは知識の詰め込みではない、思考力を高め、美術の知識や美術実践、先達の生き方などから人々の人生を豊かにしようとしている。大風呂敷かもしれないが、「人々の役に立ちたい」、それが新傾向の問題に込められたメッセージだと思う。


奥村高明(おくむら・たかあき)
聖徳大学 児童学部 児童学科教授 芸術学博士(筑波大学)
小中学校教諭、宮崎県立美術館学芸員、文部科学省教科調査官を経て2011年4月より現職に着任。
近著は『子どもの絵の見方―子どもの世界を鑑賞するまなざし』(東洋館出版社)、翻訳監修に『美術館活用術 鑑賞教育の手引き ロンドン・テートギャラリー編』(美術出版社)など。

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