美術検定オフィシャルブログ~アートは一日にして成らず

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CINEMAウォッチ「ハーブ&ドロシー」

こんにちは。アートナビゲーターの深津優希です。
今日は松長さんに続いて、映画の紹介をしたいと思います。


今回選んだのは、「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」(佐々木芽生監督、2008年)です。舞台はニューヨーク、現代美術コレクターの夫婦のお話です。「現代美術のコレクター」ときいてどんな人を想像しますか?お金持ちで、おしゃれで、華やかに暮らしていそう? ところがそんな想像とは違い、ハーブは郵便局員、ドロシーは図書館司書という公務員の夫婦で、住んでいるのは1LDKのアパート。これはキラキラのお金持ちの世界のお話ではなく、ごくごく普通の市民のお話なのです。


「美術を楽しむ場所は、美術館だけじゃない!」

以前、美術展覧会入場者数の世界ランキングで日本の展覧会が上位を占めたという記事を読んだことがあります。美術館に行列ができることも多いですよね。でも、美術のある場所は、美術館だけではありません。ハーブ&ドロシーは、美術のうまれる場所であるアーティストのスタジオや、作品が展示販売されるギャラリーへ足しげく通い、好みに合う、お給料で買える、電車やバスで運べる、そしてアパートに入る大きさのものを求め続けました。

いきなりアトリエ訪問はハードルが高いですが、ギャラリーなら気軽に入れます。ちょっといいお洋服や靴を買うよりずっと少ない投資で、お気に入りの作品を購入できることもあります。私も小さな作品をいくつか持ち帰ったことがありますが、自宅に飾る楽しみは格別です。そうなると「ごく普通の市民」である私の部屋も、美術を楽しむ場所になるわけです。「美術を楽しむ場所」が増えると楽しいですよね。(大坂さんによる「コレクションの楽しみ」も併せてご覧下さい! )


「著名アーティストの作品をみつける、インタビュー映像を楽しむ」

部屋のレイアウトや額の色など色々考えて、自分の好みどおりに展示するのはとても楽しいことです。しかし、映画に出てくるハーブ&ドロシーのアパートは至る所に作品がある状態なので、それを宝探しするように見るのもおすすめです。美術関係者のインタビューも多数収録されていて、現代美術について知る入口にもなります。


「アートと動物に囲まれて暮らす夫婦の魅力」

一方、アート云々を抜きにして見ても、普通でちょっと変わった夫婦の物語を描いた素敵な映画です。周囲が彼らの魅力の虜になっているのがほほえましく、また、アートだらけの部屋に猫、亀、魚と暮らしている様子はとても愉快です。佐々木芽生監督はハーブ&ドロシーのかわいらしさに魅せられて、なんと続編を撮ってしまいました。3月30日の公開を前に、1作目の上映会が各地で行われています。未見の方はこの機会に上映会やDVDでご覧になってはいかがでしょうか。


プロフィール/美術館で対話による鑑賞のガイドをしたり、ワークショップの企画をしたり、色々なアプローチでアートを楽しんでいます。美術検定の勉強がはかどらないときに、映画の中でアートに触れてみてはいかがですか?

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