美術検定オフィシャルブログ~アートは一日にして成らず

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アート感想文のテクニックと記述問題攻略法・前編

こんにちは。「美術検定」事務局です。
今回から2回にわたり、アートナビゲーターの山本ゆうじさんのご寄稿文をご紹介します。
「美術検定」1級の記述問題の対策にも役立ちますので、受験のみなさん、必読です!



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「すばらしい美術展でした」「きれいな絵でした」―それだけではもったいない。美術検定で学んだことを生かして、「アート感想文」を書いてみませんか? ここでのアート感想文とは、140~400字以内で簡潔に書く文章で、Twitter、Facebook、ブログなどでの投稿を想定しています。

今回から2回連続で、「実務日本語」の技法を応用して、作家や作品の魅力を自分の言葉で語り、人に伝えるための、読書感想文ならぬアート感想文を書くためのヒントを紹介します。感想文は、作品をより深く味わう手がかりとなります。感想文を書くことで鑑賞力を高められれば、美術館での鑑賞の時間が豊かになるはずです。さらに、ここで紹介することは、美術検定の記述問題にも役立ちます。


作品を鑑賞しメモを取る

まず、美術館内で、作品を見て感じたことがあれば、出品作品リストなどにメモを取るといいでしょう。美術作品をじっくり味わうという点からは、熱心な鑑賞者がメモ取りをしやすい環境があればいいのですが、満員電車なみの企画展ではそうもいきません。他の来館者や美術館の迷惑にならないように十分に配慮します。特に日本の美術館では、ペンの持ち込みが禁止されている場合もあるので、事前に確認が必要です。スマートフォンでOneNoteEvernoteなどのアプリを使う方法もあります。混んでいる場合は、作品の前に長時間立ち止まらず、いったん離れてからメモを取ります。

作品の鑑賞にはさまざまな観点があります。たとえば、芸術家、時代背景、構図、色彩、描線、発想、画題、技法などの切り口です。美術検定1級を目指す方は、美術館の建築や、美術展の方向性、テーマの着眼点、展示物の選定、展示方法の工夫、同時開催キャンペーンのプロモーション方法などにも目を配りたくなるでしょう。正確な来歴などは、後ほどウェブや図録でゆっくり確認できるので、その場でメモするのはキーワードに留めます。


キーワードと「マッピング」でアイデアを整理する

cafe美術展鑑賞後に、カフェなどに腰を落ち着けて、感動が新鮮なうちに簡単に整理してみましょう。友人と感想を交換するのも楽しいものです。その美術展の「最高のお気に入りの1点」について、いくつかの印象的なキーワードを絞り込んでみてください。

文章の構想をまとめるのに「マッピング」という方法があります。「ひとりブレインストーミング」といってもいいでしょう。これは、心に浮かんだキーワードを、どんどん書き出し、線で結びつけて関連を見つけていく作業です。この段階で重要なのは、「思いつくままアイデアを出す」ことです。出てきたアイデアを整理するのは、あくまでも次の段階です。この方法は、美術検定の論述でも、書くことの方向性を短時間でまとめるのに役立ちます。さらに本格的な文章を目指す方は「マインドマップ」に挑戦してください。下図はパソコンで作成したマインドマップの例ですが、スマートフォンや手書きでもできます。


mindmap
※画像をクリックすると拡大します


名文ではなく良文を目指す

主なキーワードとその周辺のアイデアが出たら、実際に文を書き始めます。アート感想文は、批評ではないので、力の入った名文を書く必要はありません。ポイントが的確に伝わる「良文」を目指すといいでしょう。

書く際は、「すばらしい」「きれい」などのありきたりな語を禁句にしてください。そうすれば、より具体的に書かざるを得なくなり、語彙や表現が広がります。自分の言葉が足りないと気づけば、もっと深く知りたいという意欲につながります。美術に関する知識と語彙が増えれば、さらに具体的なことが書けるようになるはずです。批評家の言葉をそのまま繰り返しても自分の感想にはなりません。あなたにしか書けない、自分なりの「新たな気づき」こそが価値あるもののはずです。

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なお固有名詞の入力には、Google日本語入力をお勧めします。《ベリー公のいとも豪華なる時祷書》などの作品名や、靉光などの芸術家名がすぐに入力できて重宝します。

次回は、アート感想文を書く際に配慮するいくつかの点をご紹介します。


プロフィール/やまもとゆうじ
秋桜舎代表。翻訳技術支援コンサルタントとして、翻訳のほか数多くの講座講師を務め、アルクや『通訳翻訳ジャーナル』(イカロス出版刊)他、230件の記事執筆を手がける。近著は『IT時代の実務日本語スタイルブック』(ベレ出版、2012年2月)。
2009年に「美術検定」2級合格、2010年に1級を取得しアートナビゲーターへ。

この記事と合わせて、「美術史学習にITツールはこう使おう!」のインタビュー記事もぜひご覧ください。




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