美術検定オフィシャルブログ~アートは一日にして成らず

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アート感想文のテクニックと記述問題攻略法・後編

こんにちは、「美術検定」事務局です。
今日は8月30日にアップしました、アートナビゲーター山本ゆうじさんのご寄稿文「アート感想文のテクニックと記述問題攻略法」後編をお送りします。


前回の続きとして、アート感想文を書く際に配慮するいくつかの点をご紹介します。

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読み手を意識する

文章を書くときに、だれが読むのか、つまり読み手を意識して書くことは重要です。よくある残念な文章の特徴のひとつは、だれに対して書いているのかはっきりしないことです。むしろ書き手が自分で読むことにしか意識が向いていないので、読みづらくなってしまうことがあります。その場合、書き手の熱意や知識が空振りしてしまうことがあります。「分かりやすく書く」ことは、実は高度な技術が要求されます。特に読み手が友人なら、(かっこいい言葉を使いたくなっても)専門用語は避けて分かりやすく説明します。ただ、美術検定の論述問題では、正確な知識を持っていることを示すために、基本的な専門用語を正しく使って書く必要があります。


簡潔にまとめる

アート感想文は、簡潔にまとめることをお勧めします。最初の段階では「書きたいポイントを絞り込む」こと、書いた後は「読み返して、不要な箇所は削る」ことを心がけると読みやすくできます。自分がいくら熱中して書いた力作でも、長文だとなかなか読んでもらえません。Twitterの140字や原稿用紙の400字という字数は1つの目安です。字数制限内に収まるように推敲して引き締まった文章を心がけるのは、それ自体が優れた文章練習法です。字数制限がないとあれもこれもとだらだら書いてしまい、焦点がぼけてしまいます。数百字では、それほど多くのことは伝えられませんが、ポイントをしっかり絞れていれば、それでいいのです。


ポジティブにまとめる

友人に見せるアート感想文は、ポジティブにまとめるほうがいいでしょう。作品や美術館によってはネガティブなことを感じることもあるでしょうし、自分のためのメモには感じたままを率直に記録することも重要です。ただ、長文のブログでじっくり説明し、同好の人々と意見を交換する場合は別として、不特定多数の人に短めの感想を気軽に読んでもらう場合は、ポジティブな点に注目することをお勧めします。アート感想文を含め、美術鑑賞法を学ぶ意義のひとつは、「自分がこれまで知らなかった、作品や芸術家の魅力に気づく」ことです。さらに、自分が初めて見る作品でも、鑑賞のツボ、味わいどころの手がかりを自分で理解することに加えて、他の人に紹介できるのが、アートナビゲーターだと考えます。その人たちが、今まで見過ごしていた点に気づけば、同じ作品の見え方が大きく変わることもあります。作品や芸術家の隠れた魅力を引き出し、多くの人にその魅力を紹介できればいいですね。

以下は、215文字で美術展の感想を書いた例です。

「空想の建築―ピラネージから野又穫へ―」(町田市立国際版画美術館)

今回は、作品観賞用に貸し出されていたルーペを使ってみました。最初は素通りしたのですが、思い返して借りてみて、すっかりはまりました。目に近づけると視野が広がり、絵の中に入り込んだような、望遠鏡でのぞきこんでいるような不思議な距離感覚を味わえます。ジョン マーティンの細密な版画では、ねっとりとした闇に細い光で照らし出される神話的情景が印象的。ピラネージの空想的古代のエッチングでは、画中の博物館、あるいは想像の別世界をのぞき込む楽しさがあります。

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何人かで美術館に行き、その後、カフェで感想を交換するのも楽しいものです。私は、アート エクスプローラーというFacebookページで、若手を中心とした、美術館に行くイベントを実施しています。ご関心のある方はお気軽にご参加ください! この記事を活用したアート感想文もお待ちしています。
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アート エクスプローラー ※画像はクリックで拡大します。


プロフィール/やまもとゆうじ
秋桜舎代表。翻訳技術支援コンサルタントとして、翻訳のほか数多くの講座講師を務め、アルクや『通訳翻訳ジャーナル』(イカロス出版刊)他、230件の記事執筆を手がける。近著は『IT時代の実務日本語スタイルブック』(ベレ出版、2012年2月)。
2009年に「美術検定」2級合格、2010年に1級を取得しアートナビゲーターへ。

この記事と合わせて、「美術史学習にITツールはこう使おう!」のインタビュー記事もぜひご覧ください。

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