美術検定オフィシャルブログ~アートは一日にして成らず

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鑑賞と造形から美術にアプローチ:「こどもびじゅつたんけいたい」

こんにちは、「美術検定」事務局です。
今回はアートナビゲーターの氏川こずえさんが代表を務める
「NPO はじめまして、美術館。」の活動の一環、
造形アート教室「こどもびじゅつたんけんたい」をレポートします。


この造形アート教室で先生を務めるのは、
アートナビゲーターで臨床美術士の資格も持つ大西宏美さん。
美術検定1級を取得後、臨床美術の勉強を始めた大西さんは、
鑑賞と造形の両面で美術にアプローチしたいという思いから、
「NPO はじめまして、美術館。」のメンバーとして活動に加わりました。

大西さんが参加されるまでのNPOの活動は、美術鑑賞を主軸に置いていましたが、
少しずつ造形ワークショップも取り入れる中に、作品を楽しみながら作ることで五感を刺激し、
脳を活性化する臨床美術に共感していきました。
臨床美術が、アートセラピーのような制作されたものから心理状態を読み解くものではなく、
制作のプロセスを重視しているところも、これまで実施されてきた造形ワークショップに共通するものでした。
こうして新しく誕生した造形アート教室「こどもびじゅつたんけんたい」は、
主に幼稚園生を対象に、2013年4月より幼稚園で月1回程度開講されています。

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「こどもびじゅつたんけんたい」で先生を務める大西宏美さん

***

ある冬晴れの寒い日の午後、大船駅に程近い玉縄幼稚園で
「こどもびじゅつたんけんたい」が行なわれました。
通常は、幼稚園の授業終了後14時半から始まります。
この日は、その前に幼稚園で特別のイベントがあったこともあってか、
子どもたちはひときわ元気に教室に入ってきました。

この日の授業は「指の版画」。
クリアフォルダーを版に仕立て、その上にホイップ状の白い粘土を指で広げ、
“春”をイメージした絵具をのせていきます。
その後、先をとがらせた割りばしで版をひっかき、その上に紙をのせてプレスすれば版画の出来上がりです。
最初、子どもたちは版に粘土や絵具をのせたりするのにおっかなびっくりな様子でしたが、
一度楽しくなるとやめられない!というように、自由に指を動かしていました。
版画が出来上がったら、あらかじめ先生が用意していた黒画用紙のフレームに、
版画を貼りつけて鉛筆でサインを入れました。
不思議と、フレームをつけると作品としての完成度が増し、
子どもたちも自然と満足げな顔になりました。

最後には、子どもたちの保護者の方々も見守る中、
全員の作品をボードに貼ってみんなで鑑賞会です。

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子どもたちの作品を丁寧に言葉に置き換える大西さん

「この割りばしペンで引っかいた跡、風が吹いているみたいだね」
「ここのボタンみたいなところが、春の花みたいにみえるね」
先生である大西さんは、子どもたちに時折質問をしながら、
作品のよいところを丁寧に言葉にしていきました。
子どもたちが、自分の作品の時だけでなく、お友達の作品の時にも
先生の言葉にしっかり耳を傾けている姿が印象的でした。

***

アートナビゲーターの大西さんは、「こどもびじゅつたんけんたい」の中でも
最後のこの鑑賞会がポイントだとお話し下さいました。

「美術検定の勉強を通し、美術の多様性を学ぶことができました。
その多様性を理解して美術を鑑賞するということは、
“他者を受け入れる”ことでもあり、
制作のプロセスを重視する臨床美術にも共通することです。
授業の中では、子どもたちの制作過程をしっかり見つめ、
鑑賞会では子どもたちが作った作品そのものを受け入れ、
作品の中からいいところを見つけ出す作業をしています。」

鑑賞と造形が一体となって、制作された美術作品を通し、
子どもたちの内面を育む造形アート教室「こどもびじゅつたんけんたい」。
この教室に参加した子どもたちが、今後どのように美術とふれあい、
社会の中で成長していくかが楽しみです。

⇒「NPO はじめまして、美術館。」の活動は、下記の美術検定ブログでも紹介しています。
  http://bijutsukentei.blog40.fc2.com/blog-entry-35.html

※「臨床美術」及び「臨床美術士」は、日本における(株)芸術造形研究所の登録商標です。


文=高橋紀子(「美術検定」事務局)

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