アートフェア京都2011潜入レポート!
こんにちは、京都在住のアートナビゲーター、越中と申します。
とはいえ、まったくナビゲーターらしい活動はしておらず、休日は展覧会巡りに明け暮れる日々、ある意味ペーパーナビゲーター?みたいなものなのですが….。
ところでそんな折、こんな噂が聞こえてきました。「今年のアートフェア京都は凄いらしい」「昨年の2倍、(同形態では)国内最大規模になるそうだ」と。
これは、近頃刺激を求めて現代美術方面にも食指を伸ばしている私には、見過ごせない話だぞ、今年こそは行ってみなければ(昨年は尻込みしてスルーしたけど)!!
というわけで、今回は私のアートフェア初体験「アートフェア京都2011」レポートをお送りします。
とはいえ、まったくナビゲーターらしい活動はしておらず、休日は展覧会巡りに明け暮れる日々、ある意味ペーパーナビゲーター?みたいなものなのですが….。
ところでそんな折、こんな噂が聞こえてきました。「今年のアートフェア京都は凄いらしい」「昨年の2倍、(同形態では)国内最大規模になるそうだ」と。
これは、近頃刺激を求めて現代美術方面にも食指を伸ばしている私には、見過ごせない話だぞ、今年こそは行ってみなければ(昨年は尻込みしてスルーしたけど)!!
というわけで、今回は私のアートフェア初体験「アートフェア京都2011」レポートをお送りします。
「アートフェア京都2011」は、京都市内の中心部、烏丸三条のモントレホテル京都を会場として、5月20日(金)・21日(土)・22日(日)に開催されました。
平日は仕事もありますし、とりあえず2日目からの潜入です。
まずは会場となるモントレホテルは内装にも凝っていて、ちょっと高級感がありつつも、気後れしてしまうほどではないという、一般からの新規顧客層獲得を狙ったアートフェアとしては絶妙の選択。エレベーター前には案内の係員もいて、すんなり会場へ向かうことができました(まだギャラリーに入るときには緊張してしまう初心者の私にはありがたいことです)。

受付で2,000円の入場料を支払い(右の画像がチケットです)、デポジット(会場で5,000円以上購入すると、この2,000円分が割引される)の説明を受けて、いざ会場へ。
すでに結構なお客さんが、ホテルの廊下を行き来しています(作品が写るためギャラリーブースの撮影はNGということで、写真はここまで)。
せっかくなので、ここで自分の目標を設定してみることにしました。
1 まずは当然、全ブース65部屋を制覇する。
2 なるべくギャラリーの人とも話をして、特に近所のギャラリーには立ち寄りやすくなるように馴染んでおく。
3 デポジットを利用して、書籍やグッズではなく、何か一点は作品を購入する。
目標も決まり、早速端から観ていきます。ホテルの客室の特性上、入り口付近が狭く、やや人とすれ違えば窮屈な感じもしますが、これも熱気があってまた良し、と感じられる程度の混み具合。あまり学生などのお客さんが増えすぎると、人があふれて本来の目的である商談も困難になるという理由で、若干高めに設定された入場料の効果が上手く出ているということでしょうか。
それぞれのギャラリーは、一部屋の割り当てで、思い思いの展示をしており、特に各々バスルームの使い方がおもしろかったです。水を貯められることを利用したインスタレーション、暗室化しての光のインスタレーション、中にはバスルールだけを独立させて「絵付うちわ展」にしているところもあり、客室会場ならではの楽しみといったところ。
展示内容では、一人の作家さんの個展もあれば、複数の作家さんの新作を展示しているところや、有名作家さんの旧作を展示したギャラリーもありました。
ただ、やはりそれぞれのギャラリーがこれから押し出して行きたい、若手~中堅の作家さんが多数を占めているようで、作品が持っている熱量も半端なものではありません。ただでさえ65室というボリュームに圧倒され気味だった私は、全て回り終えた頃にはすっかりへろへろでした。
トークショー等も興味があったのですが、今回は泣く泣く断念です。
個人的に気になった作家さんは、
本物の植物を使った銅版画で素材の存在感を追求していた川田英二さん(アイン ソフ ディスパッチ)、
色々な植物の種子を毎日一種類ずつ採集して切手仕立ての作品にしている太田三郎さん(江寿コンテンポラリーアート)、
日常的な器物をファミコンのドットキャラのような形式に変換して陶器として再度立体化(当日「16bit焼」と命名しておられました)した増田敏也さん(yokart)、
バスルーム中に増殖するツタのような「腕」のモチーフによるインスタレーションを作っていた上原浩子さん(TEZUKAYAMA GALLERY)、
写真?ペイント?CG?質感からジャンルを絞れない不思議な絵の佐藤雅晴さん(imura art gallery)と山田純嗣さん(SHINOBAZU GALLERY)、
たまの曲と異常にマッチしていて目が離せなくなってしまう近藤聡乃さんのアニメーション(ミヅママートギャラリー)、
古書のページに線香の焼き目で詩的なイメージを描く西川祥子さん(ラトゥリエ)、
肌着をアートでもっと楽しくしようとハダギハビタント(肌着の妖精らしい)の一点ものぬいぐるみを大量に展示していた企業参加のグンゼ(株)/BODY WILD…。
挙げていくと正直きりがありません(笑)。
他にも良さそうな作品はたくさんあったのですが、とにかく物量が多いこともあって、中々お気に入りを定めることができず、この日は目標1だけかろうじて達成し、2と3は翌日に持ち越しました。
次の日は、目的を購入に絞っていることもあり、自分の手に届きそうな価格帯の作品があるところを中心に回ってみました。
前日に目星を付けた客室をいくつか回った末、デポジット制を一番上手く活用しているのでは?と感じたギャラリーゴトウ(5千円~2万円くらいの若手作家作品の数を揃えて展示して、かなり売れていました)で、直野分(ただし のわき)さんという学生さんの彩色エッチング1点をついに購入。
後はゆっくり目標2を達成してから帰ろうかと立ち寄ったMORI YU GALLERYで、昨日疲れているときには引っかからなかったアリエマキさんの、明るくて湿度の高い不気味感がある作品にはまってしまい、ドローイングを1点購入。
達成感と満足感、そして、危険な楽しみを覚えてしまったのでは?という一抹の不安を抱えながら、会場を後にしました。
*****
コレクター不在といわれた京都の現代アートシーンに新しい市場を、と始められたアートフェア京都ですが、一定の目的を達成したということで、来年以降は組織も改変し、より大規模な国際的アートフェアへの発展を目指すということです。来年以降の展開にさらなる期待をしたいところ。
もし、現代アートに興味はあるけど、アートフェアなんて美術検定のテキストでしか見たことがないというような方がおられましたら、機会があれば、是非一度足を運ばれてみてください。今までとは違うアートとの付き合い方が見えてくるかもしれません。ただしそのときは、お財布にちょっと危険なオマケも、もれなく付いてきますけれど。
プロフィール/人事異動で某美術館の事務所に配属され、これはひとつこの機会に勉強しておこうと、こっそり受験。しかし2年で再び異動することに。悔しいので続けて受験したところ2009年の試験で1級合格。なんとなくナビゲーターというよりは、展覧会巡りにコレクションまで、自分一人で深みにはまっている今日この頃…。
平日は仕事もありますし、とりあえず2日目からの潜入です。


まずは会場となるモントレホテルは内装にも凝っていて、ちょっと高級感がありつつも、気後れしてしまうほどではないという、一般からの新規顧客層獲得を狙ったアートフェアとしては絶妙の選択。エレベーター前には案内の係員もいて、すんなり会場へ向かうことができました(まだギャラリーに入るときには緊張してしまう初心者の私にはありがたいことです)。

受付で2,000円の入場料を支払い(右の画像がチケットです)、デポジット(会場で5,000円以上購入すると、この2,000円分が割引される)の説明を受けて、いざ会場へ。
すでに結構なお客さんが、ホテルの廊下を行き来しています(作品が写るためギャラリーブースの撮影はNGということで、写真はここまで)。
せっかくなので、ここで自分の目標を設定してみることにしました。
1 まずは当然、全ブース65部屋を制覇する。
2 なるべくギャラリーの人とも話をして、特に近所のギャラリーには立ち寄りやすくなるように馴染んでおく。
3 デポジットを利用して、書籍やグッズではなく、何か一点は作品を購入する。

それぞれのギャラリーは、一部屋の割り当てで、思い思いの展示をしており、特に各々バスルームの使い方がおもしろかったです。水を貯められることを利用したインスタレーション、暗室化しての光のインスタレーション、中にはバスルールだけを独立させて「絵付うちわ展」にしているところもあり、客室会場ならではの楽しみといったところ。
展示内容では、一人の作家さんの個展もあれば、複数の作家さんの新作を展示しているところや、有名作家さんの旧作を展示したギャラリーもありました。
ただ、やはりそれぞれのギャラリーがこれから押し出して行きたい、若手~中堅の作家さんが多数を占めているようで、作品が持っている熱量も半端なものではありません。ただでさえ65室というボリュームに圧倒され気味だった私は、全て回り終えた頃にはすっかりへろへろでした。
トークショー等も興味があったのですが、今回は泣く泣く断念です。
個人的に気になった作家さんは、
本物の植物を使った銅版画で素材の存在感を追求していた川田英二さん(アイン ソフ ディスパッチ)、
色々な植物の種子を毎日一種類ずつ採集して切手仕立ての作品にしている太田三郎さん(江寿コンテンポラリーアート)、
日常的な器物をファミコンのドットキャラのような形式に変換して陶器として再度立体化(当日「16bit焼」と命名しておられました)した増田敏也さん(yokart)、
バスルーム中に増殖するツタのような「腕」のモチーフによるインスタレーションを作っていた上原浩子さん(TEZUKAYAMA GALLERY)、
写真?ペイント?CG?質感からジャンルを絞れない不思議な絵の佐藤雅晴さん(imura art gallery)と山田純嗣さん(SHINOBAZU GALLERY)、
たまの曲と異常にマッチしていて目が離せなくなってしまう近藤聡乃さんのアニメーション(ミヅママートギャラリー)、
古書のページに線香の焼き目で詩的なイメージを描く西川祥子さん(ラトゥリエ)、
肌着をアートでもっと楽しくしようとハダギハビタント(肌着の妖精らしい)の一点ものぬいぐるみを大量に展示していた企業参加のグンゼ(株)/BODY WILD…。
挙げていくと正直きりがありません(笑)。
他にも良さそうな作品はたくさんあったのですが、とにかく物量が多いこともあって、中々お気に入りを定めることができず、この日は目標1だけかろうじて達成し、2と3は翌日に持ち越しました。
次の日は、目的を購入に絞っていることもあり、自分の手に届きそうな価格帯の作品があるところを中心に回ってみました。
前日に目星を付けた客室をいくつか回った末、デポジット制を一番上手く活用しているのでは?と感じたギャラリーゴトウ(5千円~2万円くらいの若手作家作品の数を揃えて展示して、かなり売れていました)で、直野分(ただし のわき)さんという学生さんの彩色エッチング1点をついに購入。
後はゆっくり目標2を達成してから帰ろうかと立ち寄ったMORI YU GALLERYで、昨日疲れているときには引っかからなかったアリエマキさんの、明るくて湿度の高い不気味感がある作品にはまってしまい、ドローイングを1点購入。
達成感と満足感、そして、危険な楽しみを覚えてしまったのでは?という一抹の不安を抱えながら、会場を後にしました。
*****
コレクター不在といわれた京都の現代アートシーンに新しい市場を、と始められたアートフェア京都ですが、一定の目的を達成したということで、来年以降は組織も改変し、より大規模な国際的アートフェアへの発展を目指すということです。来年以降の展開にさらなる期待をしたいところ。


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