アートでエクササイズ? vol.9
こんにちは!この春はいつもにも増して心惹かれる美術展が目白押し。
あれもこれもの欲張りなアート欲を満たしてくれるところをのんびりと歩きたい…東京駅周辺に出かけることにしました。
あれもこれもの欲張りなアート欲を満たしてくれるところをのんびりと歩きたい…東京駅周辺に出かけることにしました。

東京駅丸の内駅舎はいつ見ても絵になる建物です。辰野金吾によって大正3年に完成し、赤茶色のレンガの壁がえも言われぬ風合いを醸しだしています。この壁を最大限に生かして1988年にオープンしたのが東京ステーションギャラリーです。常に面白い切り口で幅広いジャンルの展覧会を開催しています。私の出かけたときには、静物画家ジョルジョ・モランディの個展「ジョルジョ・モランディ―終わりなき変奏」の最中。つつましく落ち着いた画面とレンガの壁、照明はよく似合っていて、いつまでもここに居たくなるような心地良さでした。次回は川端康成のコレクション展、美術収集家としての川端の美意識をひも解くなんて、それだけで期待が高まります。しかも、2016年度からは美術検定応援館となり、美術検定合格者は割引入場できるようになりました!

大満足で次のお目当てのJPタワー、通称KITTEビルへ。ここの2、3階にはインターメディアテクという入館料無料の素敵なミュージアムがあります。日本郵便と東京大学総合研究博物館の協働運営によるもので、東大の学術標本や研究資料が中心…というと失礼ながら何やら硬そうでかび臭そう…でも実際は19世紀の博物館の雰囲気を再現した、すごくシックな空間なのです。ファッショングラビアにでもなりそうなスタイリッシュな展示やディスプレイは、見飽きることがありません。整然と並んだ貝、鉱物、鳥、キリンやダチョウ、絶滅巨鳥エピオルニスの骨格標本などなど。造形美ってこれなんだ!と自然界のセンスの良さに脱帽することまちがいなしです。

オリジナルグッズを扱うショップでは、ユーグレナ入りのクッキーやアミノ酸入りゼリーなど、身体や脳に効きそうな食品もあります。何度来ても新鮮な驚きがあってお気に入りのスポットです。また地下1階にある「東京シティアイ」では、東京中の様々な美術館のチラシがそろっているので、次回の予定を立てるときにも便利です。
少し歩いて、今度は三菱一号館美術館に向かいます。こちらの館長である高橋明也氏による著書「美術館の舞台裏 魅せる展覧会を作るには」は、まさに美術館のリアルがたくさん詰まった興味の尽きない本です。

今回の魅せる展覧会は「PARIS オートクチュール 世界に一つだけの服」、19世紀後半にパリで誕生した高級注文服、世界最高峰の職人の手仕事による70点余りのドレスや小物、デザイン画や写真が紹介されています。部屋ごとに展開する美しいシルエットのドレス、繊細で正確なビーズ刺繍の織り成す柄には芳醇なドラマが感じられます。魅せられすぎて、しばし現実に戻るのが難しいほどかも…綺麗なものは危険ですね。ボーとした頭は、併設のCafé1894で徐々に覚ますのがおススメです。クラシックで天井の高いカフェは常に人気ですが、待ってでも入る価値があります。展覧会タイアップのメニューで余韻を楽しみましょう。
一息ついて、今度は日比谷通りを歩いて出光美術館をめざします。皇居のお堀に面した帝劇ビルの9階。東洋の古美術を中心とした展覧会を開催し、充実した陶磁器のコレクションでも知られています。今年は開館50周年を迎え、4月からは「美の祝典」と銘打つ記念企画で、10年ぶりの《伴大納言絵巻》など国宝、重文の名品が続々と公開されることになっています。

東京駅周辺では美術館のハシゴができるように相互で割引があったり、新たに女子割が試みられたり、3月には昨年に引き続き学生無料期間が設けられたりと、工夫次第でお得に様々なアートにふれることが出来ます。チケットブック「東京・ミュージアム・ぐるっとパス2016」も大いに活用しましょう。
東京駅からカウントを始めた私の歩数計もトータルで10431歩、といい感じのスコアでした。都市美と共に、アート堪能の春の一日でした。

「美術検定」に向けては、テキストの図版に吹き出しを付けて覚えたいことをメモ書きしたり、カラフルな美術年表を手作りして手帳に挟んで持ち歩いたり、実際の作品や美術書の図版、写真をたくさん見るといったビジュアル勉強法(?)を実践していました。
| 連載「アートでエクササイズ?」 | 12:31 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑