「ダリ展」 キヤノン・ミュージアム・キャンパス レポート
皆様こんにちは。アートナビゲーターの中嶋ひろみです。10月11日(火)に、国立新美術館で開催の「ダリ展」関連イベントとして実施された特別プログラム、「キヤノン・ミュージアム・キャンパス」でのアートナビゲーターの活動をレポートいたします。
この「キヤノン・ミュージアム・キャンパス」は、大学生(大学院生・短期大学生・専門学校生を含む)の方々に、アートナビゲーターによる作品解説などを通じ、新たな発見や美術鑑賞の楽しさ、芸術への親しみなどを感じていただくことで、「学びの場」となることを目的としています。大学生に世界屈指の芸術作品に触れる機会を提供したいという考えのもと、「ダリ展」に特別協賛しているキヤノン株式会社が企画し、「大学生のための無料観覧日」として、国立新美術館、読売新聞社と共同で開催されました。
20世紀美術を代表する芸術家として幅広い世代に人気のあるサルバドール・ダリの大回顧展となる本展では、ガラ=サルバドール・ダリ財団(スペイン)、サルバドール・ダリ美術館(アメリカ)、国立ソフィア王妃芸術センター(スペイン)という3つの主要なダリ・コレクションに加え、日本国内から重要作品が揃い、油彩のほかドローイング、オブジェ、ジュエリー、書籍、映像など約250点の多様な作品が展示されています。今回5回目となる「キヤノン・ミュージアム・キャンパス」では、美術検定1級を取得したアートナビゲーターが、その魅力や見どころについて“ミニ授業”を行いました。大勢の学生が参加し、入場者数は2300名ほどで本イベントでは過去最高となりました。
第1章から第8章で構成された展示会場を6つの教室に分け、各教室で20分毎に、メイン作品を中心とした8分ほどの解説を23人のアートナビゲーターが交代で行いました。初期から晩年に至るまでの作品は実に多様で、様々な芸術の影響を受けつつ独自の作品世界を作り上げていったダリですが、複雑な構図の中に隠されたイメージやモチーフの持つ意味、おもしろさ、卓越した技術の素晴らしさなどを、ダリという人物と人生に絡ませて限られた時間で解説することの難しさがあったようです。しかし、それぞれのアートナビゲーターが事前に書籍や資料で勉強し、入念に準備を重ねたことで、充実した内容のミニ授業となっていました。1つの教室に20~30人以上の学生が集まることも多く、アートナビゲーターの解説に熱心に耳を傾け、興味津々でうなずいている光景が各教室で見受けられました。また解説後に積極的に質問する学生も多く、アートナビゲーターが一つ一つ丁寧に答えていました。
参加した学生の方々からは、「シュルレアリスムの画家として有名だけど、画風もいろいろで想像と違った。」「ダリのイメージにおいて見えていなかったものが見えた。」「教科書で知った画家の一人だったけど、いろんな作品があり面白かった。」などの感想が聞かれ、アートナビゲーターによるミニ授業については、「自分では見つけられないことを知ることができ、より理解を深められた。」「解説してもらい、その場で質問もでき、全部答えてくれた。」「作品の解釈が面白く、興味深かった。」「各教室でのガイドに全部参加し、すごく勉強になった。」などの声が寄せられました。
アートナビゲーターの方々からは、「たくさんの学生がミニ授業に参加してくれて、やりがいがあった。」「最初は時間オーバーしないよう気を使ったが、回を重ねるごとに時間配分に慣れていき、解説したいことを盛り込むことができた。」「緊張感もあるが、楽しかった。」「他のアートナビゲーターの解説も聴くことができ、勉強になった。」などの感想が上がりました。
『記憶の固執』をはじめ、ダリの作品は恐らく学生の方々でも一度は目にしたことがあり、その超現実的世界を描く芸術家の回顧展であることから、「ダリ展」は是非鑑賞したいという学生は多かったことと思います。今回の「大学生のための無料観覧日」は、それに見事に応えることができたのではないでしょうか。一つ一つの作品をじっくり鑑賞し、メモをとったり、友達同士で作品について談笑したり、映像に釘づけになったり、学生の皆さんの真剣な表情や目の輝きが印象的でした。「ダリ」ワールドを楽しみ、さらなる興味や理解を深めるために、アートナビゲーターはお役に立てたと自負しております。
これからも、アートナビゲーターの活動を通して、美術と人をつなぐ架け橋になっていきたいと思います。

午前午後と「ダリ展」の見どころをご紹介下さったアートナビゲーターの皆さん、ありがとうございました!
(写真提供=©Canon INC.)
※「ダリ展」は国立新美術館で2016年12月12日(月)まで開催中です。お見逃しなく!
プロフィール/2014年に美術検定1級に合格しました。川崎市市民ミュージアムで、美術館展示部門のガイドやワークショップのボランティア活動をしています。
20世紀美術を代表する芸術家として幅広い世代に人気のあるサルバドール・ダリの大回顧展となる本展では、ガラ=サルバドール・ダリ財団(スペイン)、サルバドール・ダリ美術館(アメリカ)、国立ソフィア王妃芸術センター(スペイン)という3つの主要なダリ・コレクションに加え、日本国内から重要作品が揃い、油彩のほかドローイング、オブジェ、ジュエリー、書籍、映像など約250点の多様な作品が展示されています。今回5回目となる「キヤノン・ミュージアム・キャンパス」では、美術検定1級を取得したアートナビゲーターが、その魅力や見どころについて“ミニ授業”を行いました。大勢の学生が参加し、入場者数は2300名ほどで本イベントでは過去最高となりました。
第1章から第8章で構成された展示会場を6つの教室に分け、各教室で20分毎に、メイン作品を中心とした8分ほどの解説を23人のアートナビゲーターが交代で行いました。初期から晩年に至るまでの作品は実に多様で、様々な芸術の影響を受けつつ独自の作品世界を作り上げていったダリですが、複雑な構図の中に隠されたイメージやモチーフの持つ意味、おもしろさ、卓越した技術の素晴らしさなどを、ダリという人物と人生に絡ませて限られた時間で解説することの難しさがあったようです。しかし、それぞれのアートナビゲーターが事前に書籍や資料で勉強し、入念に準備を重ねたことで、充実した内容のミニ授業となっていました。1つの教室に20~30人以上の学生が集まることも多く、アートナビゲーターの解説に熱心に耳を傾け、興味津々でうなずいている光景が各教室で見受けられました。また解説後に積極的に質問する学生も多く、アートナビゲーターが一つ一つ丁寧に答えていました。
参加した学生の方々からは、「シュルレアリスムの画家として有名だけど、画風もいろいろで想像と違った。」「ダリのイメージにおいて見えていなかったものが見えた。」「教科書で知った画家の一人だったけど、いろんな作品があり面白かった。」などの感想が聞かれ、アートナビゲーターによるミニ授業については、「自分では見つけられないことを知ることができ、より理解を深められた。」「解説してもらい、その場で質問もでき、全部答えてくれた。」「作品の解釈が面白く、興味深かった。」「各教室でのガイドに全部参加し、すごく勉強になった。」などの声が寄せられました。
アートナビゲーターの方々からは、「たくさんの学生がミニ授業に参加してくれて、やりがいがあった。」「最初は時間オーバーしないよう気を使ったが、回を重ねるごとに時間配分に慣れていき、解説したいことを盛り込むことができた。」「緊張感もあるが、楽しかった。」「他のアートナビゲーターの解説も聴くことができ、勉強になった。」などの感想が上がりました。
『記憶の固執』をはじめ、ダリの作品は恐らく学生の方々でも一度は目にしたことがあり、その超現実的世界を描く芸術家の回顧展であることから、「ダリ展」は是非鑑賞したいという学生は多かったことと思います。今回の「大学生のための無料観覧日」は、それに見事に応えることができたのではないでしょうか。一つ一つの作品をじっくり鑑賞し、メモをとったり、友達同士で作品について談笑したり、映像に釘づけになったり、学生の皆さんの真剣な表情や目の輝きが印象的でした。「ダリ」ワールドを楽しみ、さらなる興味や理解を深めるために、アートナビゲーターはお役に立てたと自負しております。
これからも、アートナビゲーターの活動を通して、美術と人をつなぐ架け橋になっていきたいと思います。


午前午後と「ダリ展」の見どころをご紹介下さったアートナビゲーターの皆さん、ありがとうございました!
(写真提供=©Canon INC.)
※「ダリ展」は国立新美術館で2016年12月12日(月)まで開催中です。お見逃しなく!

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