美術検定オフィシャルブログ~アートは一日にして成らず

「美術検定」のオフィシャルブログです。

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アートナビゲーターの研究・研鑽の場「ART LABO」

こんにちは。アートナビゲーターの高谷守(たかたに まもる)です。当ブログに寄稿するのは、およそ4年ぶりのことになります。
このブログでは、美術検定1級に合格したアートナビゲーターが、美術館でのボランティア活動等で活躍している様子が数多く報告されています。しかし、美術館などでアートを伝えるアートナビゲーターの活動の他に、「美術検定」合格後も更にアートについて自分なりの学びと楽しみを追求する活動もあります。今回はその活動の一例として、現在私が参加しているアート関連の会員制社会人勉強会「ART LABO」についてレポートさせていただきます。


「ART LABO」は、美術検定対策講座などを開講する美術アカデミー&スクール内の社会人サークル「ART TRANSIT」による、アートナビゲーターの研究・研鑽の場として、2013年にスタートしました。
毎月1回、原則として第一土曜日の午前中、東京・四谷にある研修会議室に10名ほどのメンバーが集まり、毎年1つ選定した通年テーマを掘り下げていく勉強会を行っています。
これまでに取り上げたテーマを【表1】にあげてみました。

【表1】「ART LABO」の通年テーマ
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初年度は手始めに、その年の展覧会でブームとなったイタリア・ルネッサンスに関して、各自が選んだ項目についての研究結果を、月決めの交替で発表しました。
2年目は、毎年多くの展覧会に通うメンバーの経験を活かして、鑑賞した展覧会を自分たちなりの視点で評価するための「展覧会テイスティングシート」を検討し、運用開始まで漕ぎ着けました。この「展覧会テイスティングシート」は現在でも継続して作成され、「ART LABO」のブログで公開されています(注)。
3年目の2015年からは運営を変えて、元・神奈川県立近代美術館学芸員で現在はフリーランスでキュレーターをされている山内舞子さんをファシリテーターに迎え、視野を広げより深くアートを追究する活動の場へと進化を遂げます。
その年のテーマには、美術検定1級に合格してもなお分かっているようでよくは分からない思いのある「現代美術」を取り上げました。この年からは、座学でのレクチャーや研究発表だけでなく、隔月で外部の美術館・ギャラリーや作家のアトリエを訪れるフィールドワークが加わり、活動の幅がグンと広がりました。
続く2016年のテーマは「工芸」。西洋美術中心の捉え方では、絵画や彫刻の周辺領域に押しやられがちな工芸ですが、現代の日本において、古美術から現代アートまで工芸がさまざまに注目されてきている状況がつぶさに理解できたことは、とても大きな収穫となりました。
そして今年2017年は、「アジア・アフリカの近現代美術」という未踏の領域に踏み込んでいます。どこで何を学べるのかさえ覚束ないこの分野について、ファシリテーターの山内さんの精力的なリサーチによって、西洋文明の視点に基づくプリミティブなイメージを超えたアジア・アフリカの近現代美術に対するアプローチが始まっています。

「ART LABO」では2014年以降、毎月の活動とは別に1年間の締め括りとして、メンバーがその年に体験した展覧会などを対象として「展覧会アワード」の選定を行っています。「ベストミュージアム」、「印象に残った作品」、「ベストキュレーション」、「図録・チラシ」の各賞に加え、総合的な評価として「展覧会グランプリ」を話し合いによって選出しています。ご参考までに過去3年間の「展覧会グランプリ」授賞展を【表2】にあげておきます。

【表2】「展覧会アワード」における「展覧会グランプリ」授賞展
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「ART LABO」が多彩な活動を展開できるのも、メンバー全員の「美術検定」の受験を通じて習得した美術史、美術館内外の諸活動、作品鑑賞のあり方、アートをめぐる最新動向などに関する幅広い知識と理解が、共通の素地となっているためです。参加当初には美術検定2級までの合格者であった方々がその後1級に合格され、現在の構成メンバー全員がアートナビゲーターとなっているのも、「ART LABO」の場を通じて楽しみながらも深い研鑚を積んでいるためではないかと、私は秘かに自負しています。

このような「ART LABO」の活動を詳しくご紹介する記事が、ブログとして公開されています。みなさんもぜひ一度のぞいてみてください。またご興味のあります方は、途中入会も可能ですので(会員案内はこちらをご参照ください)、ご一緒に活動できますことを楽しみにしています。


(注)実際に展覧会を鑑賞した後に作成された「展覧会テイスティングシート」については、私自身ずいぶん長い間寄稿をサボっていますが、息長く続けている他のメンバーの鋭い視点にハッとさせれられることが少なくありませんので、是非一度のぞいてみてください。なお、閲覧に際しては参照用パスワードが必要となりますが、アートの社会人サークル「ART TRANSIT」の無料メール会員に登録することで交付されます。


プロフィール/
小学校時代から図工・美術が苦手科目だったのですが、歴史好きもあって古今東西の美術史に足を突っ込み始めました。腕試しとて2009年に美術検定2級を受験、2010年には1級に合格。現在は休日を中心に様々な展覧会に通い、時間をかけてじっくりと考えながら鑑賞するひと時に充実を感じています。見逃せないと思う展覧会があれば、泊まりがけの遠征も辞さず足を運んで終日入り浸るのもそのためです。美術検定を受験して一番良かったと思うことは、自分の好みや得意な分野以外の作品についてもその価値を認め、偏狭な美術マニアやアートオタクとは違った、アートに対する公正でしなやかな姿勢を持ったアートナビゲーターの方々と出会えたこと。アートへのバランスのとれた広い視野を養えることが、「美術検定」受験の最大のメリットだと思います。

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