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アートナビゲーター・美術館コレクションレポート「埼玉県立近代美術館」

皆様こんにちは。埼玉県さいたま市在住のアートナビゲーター、中原裕美です。今回は私の地元にある埼玉県立近代美術館をご紹介いたします。


JR京浜東北線「北浦和」駅西口に出たら、バスターミナルの先に見える北浦和公園を目指しましょう。公園の木立に誘われるように3分ほど歩くと、ぽっちゃりしたイブ(ボテロ作)がお出迎え。ここが埼玉県立近代美術館です。

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埼玉県立近代美術館の外観

この美術館は黒川紀章の設計によるもので、「利休ねずみ」というグレーの色彩、玄関アプローチのグリッドと波打つ曲面ガラスがその特徴です。これらは公園と美術館を繋ぐ「縁側」のような役割を持ち、訪れた人を美術館へと誘う作りになっています。

美術館の1階にはMOMASコレクション(収蔵品展)があります。MOMASとは、埼玉県立近代美術館の英語表記The Museum of Modern Art, Saitamaの略称です。MOMASコレクションでは、収蔵作品をベースとしながら、作家やギャラリーなどとコラボしたユニークな展示を行なっています。
モネ、ピカソ、シャガールといった印象派から現代に至る巨匠の作品、明治以降の日本の近代洋画を代表する作品、日本画、版画といった幅広いコレクションが特色です。特に、日本画の橋本雅邦や小村雪岱、洋画の斎藤豊作などの埼玉ゆかりの美術家に関しては、作品だけでなく貴重な資料も収集されています。

現在はMOMASコレクション第2期の展示となっています(2017年10月1日まで)。
「I セレクション:シャガールとか田中保とか」では、印象派のモネやルノワール、故郷を離れ異国で活躍した作家としてシャガール、ピカソ、パスキン、キスリングなどが並んでいます。また、埼玉ゆかりの画家でアメリカからパリに渡った田中保、パリの街角を描いた佐伯祐三なども展示されています。印象派からエコール・ド・パリの巨匠たちの作品をたっぷり楽しめるコーナーになっています。

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MOMASコレクション第2期「I セレクション:シャガールとか田中保とか」展示風景

「Ⅱ 遠藤利克-供犠の論理学」ではガラッと雰囲気が変わります。真っ黒な筒状の物体がゴロゴロと点在し、壁のモニターでは燃え盛る炎の映像が繰り返し流されている…。遠藤利克の「泉―9個からなる」という作品とそれに関連する写真と映像作品です。遠藤は、木の造形物を焼く、というスタイルを続けている現代彫刻家です。遠藤にとって焼くことは、文化的行為であり、聖なる儀式と同義であると考えられています。空調の効いた静かな展示室なのに、作品に対峙していると燃える物体の熱さや焦げ臭さを感じるような気さえします。ぜひ作品の迫力を味わってみてください。

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MOMASコレクション第2期「Ⅱ 遠藤利克-供儀の論理学」遠藤利克《泉-9個からなる》1989年
展示風景


「Ⅲ 根岸に学ぶ―浅井忠と弟子たち」では、浅井忠の画塾(東京・根岸)に集った弟子たちの様子やその後の活躍を紹介しています。当時の写真や出版物などの資料を見ながら、しばし明治の時代にタイムスリップしてみましょう。

なお、9月17日(日)には15時よりサンデートーク、学芸員による遠藤作品の解説があります。MOMASコレクションでは、各会期の最初の火曜日から毎日14時より美術館サポーター(ガイド・ボランティア)による解説ガイドがあります。是非こちらもご参加ください。 

ほかにも、地下階から3階までが吹き抜けになっているセンターホールには、「枢機卿」(マンズー作)、「マグダラのマリア」(クロチェッティ作)、「ダミアン神父」(船越保武作)が鎮座しています。天井から差し込む太陽光のもと、3体の聖像に囲まれると厳かな気持ちになれます。ここでは時折ミュージアム・コンサートも開かれます。

当館は別名「椅子の美術館」。近代以降のグッドデザインの椅子が館内に展示してあります(もちろん座れます!)。かっこいい「バルセロナ・チェア」やセクシーな「マリリン」に座れるチャンスも!お目当ての椅子があるかどうかは美術館HPの「今日座れる椅子」をチェックしてみてくださいね。

最後にもう一つ。美術館を出たら目の前にある噴水にも立ち寄ってください。こちらの音楽噴水では12時、14時、16時、18時に音楽に合わせた噴水ショーが見られます。噴水に設置してある巨大サックスもアート作品ですので、是非ご覧になってください。

埼玉県立近代美術館は、今年2017年11月で開館35周年を迎えます。11月には記念イベントも計画中とか。詳細は美術館HPで確認してください。


■埼玉県立近代美術館
〒330-0061 埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
開館時間 10:00~17:30(展示室への入場は17:00まで)
休館日 月曜日
MOMASコレクション(収蔵品展) 観覧料 一般200円 大高生100円 中学生以下無料
企画展「駒井哲郎展」9月12日(火)~10月9日(月・祝) 観覧料 一般1000円 大高生800円
Tel. 048-824-0111
URL. http://www.pref.spec.ed.jp/momas/


画像提供=埼玉県立近代美術館


プロフィール/埼玉県立近代美術館の美術館サポーター(ガイド・ボランティア)として活動しています。美術館が好きで始めたサポーター活動も気づけば17年目。活動の集大成として美術検定を受験し、晴れてアートナビゲーターの認定証を手にすることが出来ました。「印象派が好き」程度の知識力だった私をここまで育ててくれた埼玉近美に感謝! 1級記述問題対策としては、「この作品を小学生に分かりやすく説明するにはどうすればよいだろう」「美術館のリピーターを増やすにはどのような工夫があるだろう」など、美術館の抱える問題に対して自分なりの考えをまとめてみることが役立ちました。美術館のワークショップに参加してみるのもよいと思います。美術の知識を体系的に整理するには美術検定公式テキストがおススメです。

| 連載「アートナビゲーター・美術館コレクションレポート」 | 09:17 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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