美術検定オフィシャルブログ~アートは一日にして成らず

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「美術検定」受験体験記

こんにちは。「美術検定」実行委員会事務局です。
今回は、社長業というご多忙な日々の傍ら、見事「美術検定」1級に合格された横山さんに、受験体験をお尋ねしました。
受験勉強と仕事の両立のヒントとともに、家族で楽しく美術館に行くためのアイデアまで教えてもらいました。


――横山さんは美術関係のお仕事をなさっているのですか?

横山「いいえ。ただ自分で絵を描いたりするのが好きで。美術館で作品を見るのも好きなのですが、家族を持つとそのチャンスも減る一方なのです。子どもには美術館はつまらない場所でしょう。
そんな状況で、自分の趣味を全うする‘大義名分’になると思って「美術検定」を受験しました」

――それで1級まで取得されたのですね。
1級合格後は、ご家族の反応が変わりましたか?


横山「“検定”という響きがよくて、子どもたちも「お父さん、すごいね」と言って美術館にもついてきてくれます(笑)。
最近では、私が美術館に行きたいがために、奥さんと子どもに、美術館を組み込んだツアー計画のプランナーにもなってもらうようにしました。例えば「○月○日は1日横浜に行くから、遊びに行く計画を立てて」というような。そこにもれなく美術館に行くことが条件に入っているのです。子どもたちも張り切ってプランを作ってくれます」

――それはすごい策略! 家族を味方につけていらっしゃるのですね。
ところで横山さんは2008年に3級、それから毎年、2級、1級と受験されていますが、企業の社長というお忙しいお仕事をされながら、どうやって受験勉強をされたのでしょうか?


横山「仕事柄出張が多い=移動時間が長い。そこで、3級受験の時は『公式テキスト』を移動中に読破しました。とにかく移動中や出張先での空き時間で読む。
それから自分でノートを1冊まとめたんです。『公式テキスト』は文字だらけで読んでいると眠くなるんですよ。じゃあ、その内容を自分なりにチャートやイラスト入りでまとめてみようと。これがかなり役立ったと思います」

――やはり自分で手を動かしてまとめる、という作業は大切ですか?

横山「もう記憶力のピークは過ぎています(笑)。自分にわかりやすいようにまとめ直す作業をすると、すんなり頭に入ってきました。おまけに、今まで美術史もきちんと知らなかったし、日本美術も全然興味なかったのですが、歴史を追いながらまとめていくので、日本の美術も面白くなりましたし、美術館に行く楽しみも増えましたね。今までは作品を好き、嫌いで見ていましたが、作品の見方も広がりました」

――2級、1級はどんな勉強をされたのですか?

横山「2級はやはり移動中に『美術実践キーワード88(現・美術館を知るキーワード)』を読みました。これがまた眠くなる(笑)。
もともと作品を見るのが好きなだけなので、ここまで知識が必要なのか?とも思いましたが、これも合格のため、と睡眠学習で頑張りました(笑)。
ただ、子どもと美術館に行く際、美術館の対応はすごく気になるようになりました。もっと自由に作品を見させてくれたらいいのに、とか、海外の美術館のように観客が自由にふるまえるような場所にして欲しいとか」

――そうですね。美術館によっていろいろな対応がありますものね。『美術実践キーワード88』を読み、美術館に足を運んでいると、書籍の内容も批判的に読めてくるかもしれません。
ところで、1級はどう勉強なさいましたか? こちらは記述問題もありますけれど。


横山「何もしなかった、が回答かも(笑)。『1・2級 傾向と対策』も買ったのですが、やはり眠くなってしまって。結局、美術史的な内容については、原点である自作ノートのふりかえりをした程度です。

あとは美術館に行くことでしょうか。作品はもちろん見ますが、家族と一緒に行くと、子どもにも楽しんで欲しいと思うじゃないですか。そのためにどうしたらいいかな、って考えるんです。muse0729
ガラスケースに入っているボロボロの作品を見ても、子どもは楽しくないわけですよ。それより、屏風や襖が実際にあって、そこに絢爛豪華な絵が描かれているのを見れば、それが本物でなくても、それだけで興味が増すと思うのです。美術館に展示されている作品は、実際に作品があった場から引き離されているものがほとんどですし、子どもたちは屏風なんて知らないでしょう。それがもともとどんなものか、とわかるだけでも「おお~っ」という反応になると思います。
記述問題で私が選択した問題は、まさにそのことを問うものでした」


――記述問題に関しては、ご自身の体験から生まれた回答をされたのですね。やはり美術館に行って展示を見たり、そこで行われているサービスを知り、それについて考えることが受験対策にもつながるということですね?

横山「結果的にそうだったと思います。特に子どもと一緒に美術館に行くと、いろいろなことに気づかされます。作品の完成当時の色合いを本物と一緒に並べて置いてくれたら、子どもたちはもっと興味を持つだろうに、とかね。そういったことが大切なのかもしれません」

――文章を書くことについては、特別な練習はされましたか?

横山「特にしていません。仕事していれば、人に伝えるための文章は常に書きますし、起承転結はどんな文章にも必要です。最後はどう落とそうか、とか考えますよね。仕事と同じようにとらえれば問題ないかと思います」

――‘人に伝える’という意識が大切なようですね?

横山「文章を書くのはプレゼンと同じで、人に伝えることです。それを意識してわかりやすく書くのは大切ですね」

――ほかにこれは使ってよかったと思われた書籍等がありましたら教えてください。

横山「2009年に出た『BT美術手帖6月号』です。この号に「一夜漬け日本美術史」という記事があって、これは眠らずに読めました(笑)。これで一気に日本美術が楽しくなりました」

――ありがとうございます。最後に「美術検定」を受験されてよかったことと、受験される皆さまへのエールをお願いします。

横山「受験理由はたいしたものではないのですが、‘目標’が出来るとモチベーションがアップするのはとてもいいですね。仕事をしているとこういった‘目標’が持ち辛くなりますから。
さらに、「美術検定」がコミュニケーション・ツールとして役に立っています。社内では1級に合格して初めて発表したのですが、それ以来、会社のメンバーが「○○の展覧会行きましたよ~」と気軽に声をかけてくれるようになったんです。日常会話にアートが出てくるなんて滅多にないでしょう? これはスゴい効果(笑)。
また、海外の人たちと仕事をする機会が多いのですが、文化や習慣の背景を理解すると、彼らの考え方も理解できるようになります。これは検定のために勉強して本当によかったことです。
アートは仕事の上でも強力なコミュニケーション・ツールになります」

――本日はありがとうございました。
(聞き手/染谷ヒロコ=本ブログ編集)

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プロフィール/横山治康(よこやま・はるやす)
ミードウェストベーコ株式会社代表取締役社長。2008年に「美術検定」3級、09年に2級、10年に1級合格。美術館巡りは休みを利用して家族とともに行く。出張先でも時間が許せば美術館で作品との出会いを楽しんでいるそう。

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