アートナビゲーターが企画&ガイド!「馬込文士村アート散歩」
こんにちは。アートナビゲーター兼アート・エバンジェリストの春山です。
2年程前に、本ブログの記事「アートナビゲーターがアート・エバンジェリストとして”伝える”活動開始」の中で、「アートサプリウォーク【下落合編】」と称した「新緑の落合アトリエ巡り」についてレポートさせていただきました。今回は、美術館と企業に多大なる支援を頂戴し、「花嵐吹く 馬込文士村アート散歩」を実施致しましたので、その概要をレポートします。
2年程前に、本ブログの記事「アートナビゲーターがアート・エバンジェリストとして”伝える”活動開始」の中で、「アートサプリウォーク【下落合編】」と称した「新緑の落合アトリエ巡り」についてレポートさせていただきました。今回は、美術館と企業に多大なる支援を頂戴し、「花嵐吹く 馬込文士村アート散歩」を実施致しましたので、その概要をレポートします。
今回このイベントを開催することになった契機は、大正から昭和時代にかけて活躍した日本画家・川端龍子の作品を収蔵している大田区立龍子記念館を訪れた際に、学芸員の方が「最近、日本酒の“獺祭(だっさい)”が人気で、川端龍子の『獺祭』はいつ見ることが出来ますか?の問い合わせが増えているので、“獺祭”つながりで何か旭酒造さんとコラボが出来たら面白いなと思っています」と仰っていたことでした。
そこで、こちらで何かできないだろうかと思い、「アート・エバンジェリスト協会」の事務局を兼ねている美術ACADEMY&SCHOOLに相談したところ、美術ACADEMY&SCHOOLが“獺祭”の蔵元「旭酒造」とコネクションがあるということでつないでくれることになり、さっそく本イベントを企画することになりました。
企画提案したのは、昨今ブームである俳句とアート街巡りを絡め、春の季語「花」と「獺祭」をテーマに、「花嵐の西馬込巡り」として馬込文士村を歩いてみようというコースです。具体的には、まず最初に大田区立郷土博物館を訪問し、展示模型を使って馬込文士村を紹介しました。その後、美智子皇后の書の師である熊谷恒子の記念館の前を通り、桜並木に沿って龍子記念館に向かいます。そして、龍子記念館では『獺祭』を展示中の展示会場とアトリエを含む旧宅を参加者貸切で見学し、その旧宅内で日本酒“獺祭”を試飲した後、池上本門寺で龍子の遺作『龍の天井画』を見て解散、という内容でした。
こうした企画に「旭酒造」が快諾下さり、話はとんとん拍子に進み、最終的には、通常は外から見るだけで入場不可の龍子旧宅の持仏堂内で、「つくばい」で冷やした“獺祭”をご馳走になれたのです。「旭酒造」の営業担当の方が、ヴィンテージ・ワインさながら“獺祭”を一番美味しく飲める量と温度にまで心配りをされて提供下さいました。
ちなみに龍子の生前に安置されていた持仏堂の仏像は、運慶の作品ではないのですが、2017年秋に東京国立博物館で開催された「運慶展」に出展されていた程の名品です。また、その持仏堂内の襖は、伝俵屋宗達『桜芥子図襖』でした。勿論、温度管理・湿度管理・紫外線管理等の問題がありますので本物ではないのですが、昨年より東京芸術大学のクローン技術により見事に再現された襖が設置されています。

川端龍子旧邸「持仏堂」で“獺祭”を試飲しつつ、伝俵屋宗達『桜芥子図襖』複製画を鑑賞した
あいにくイベント当日は、桜の花は葉桜どころか木々の新緑が進んで、ツツジまで開花しているような状況でしたが、美術館と企業の粋な計らいもあり、美術作品の前でお酒をいただけるという、長く生きているとこんな奇跡のようなことも起こるのかと思えるような至福の一日でした。
今回、イベントを告知するにあたり、お酒の“獺祭”を試飲することではなく、あくまでも作品を鑑賞することに主眼を置き、フライヤーでは“獺祭”を試飲できることには触れず「素敵なサプライズ」と意図的にぼかしました。そうしたことで、企画した私が一番驚く程のインパクトとなり、もちろん美術館と企業による多大なる支援もありましたが、非常に高いレベルのイベントに仕上がったと自負しています。当日参加された方々にも満足いただけたようで、当日の様子はアート・エバンジェリストのアートWebマガジン「alore」ででレポートされています。ぜひご高覧下さい。
アートナビゲーターや美術検定を受験している方々は、多岐にわたりアートの魅力を“伝える”活動をされているかと思いますが、事前準備や人脈等に苦労されていることもあるかもしれません。このイベントに至るまでの本レポートが、皆様の活動の参考になるところがいささかでもありましたなら、嬉しく思います。
なお今後は、食事も楽しめる「落合⇒昼食⇒池袋モンパルナスツアー」を秋頃に、また来春に谷中で、「都美从展」に出展中の箕輪千絵子さんや「繪処アラン・ウエスト」のアランさんとの交流イベント等を計画中です。皆様も機会がありましたらぜひご参加下さい。
プロフィール
2008年に美術検定1級合格、2009年東京都美術館で開催された「美術館名品展」でアートナビゲーターとして初めてボランティア参加。その後、美術アカデミー&スクールが主催するART LABOで研鑚を積みつつ、2015年に初代アート・エバンジェリスト認証取得。
週末は冬でも汗だくで専ら美術館巡りをしています。ガイド歴はDIC川村美術館、川端龍子記念館等、特色のある美術館が好みです。またAE-Salon Webマガジン「alore(アローア)」で、映画を中心としたアートを伝える記事をロンド形式で連載中!
そこで、こちらで何かできないだろうかと思い、「アート・エバンジェリスト協会」の事務局を兼ねている美術ACADEMY&SCHOOLに相談したところ、美術ACADEMY&SCHOOLが“獺祭”の蔵元「旭酒造」とコネクションがあるということでつないでくれることになり、さっそく本イベントを企画することになりました。
企画提案したのは、昨今ブームである俳句とアート街巡りを絡め、春の季語「花」と「獺祭」をテーマに、「花嵐の西馬込巡り」として馬込文士村を歩いてみようというコースです。具体的には、まず最初に大田区立郷土博物館を訪問し、展示模型を使って馬込文士村を紹介しました。その後、美智子皇后の書の師である熊谷恒子の記念館の前を通り、桜並木に沿って龍子記念館に向かいます。そして、龍子記念館では『獺祭』を展示中の展示会場とアトリエを含む旧宅を参加者貸切で見学し、その旧宅内で日本酒“獺祭”を試飲した後、池上本門寺で龍子の遺作『龍の天井画』を見て解散、という内容でした。
こうした企画に「旭酒造」が快諾下さり、話はとんとん拍子に進み、最終的には、通常は外から見るだけで入場不可の龍子旧宅の持仏堂内で、「つくばい」で冷やした“獺祭”をご馳走になれたのです。「旭酒造」の営業担当の方が、ヴィンテージ・ワインさながら“獺祭”を一番美味しく飲める量と温度にまで心配りをされて提供下さいました。
ちなみに龍子の生前に安置されていた持仏堂の仏像は、運慶の作品ではないのですが、2017年秋に東京国立博物館で開催された「運慶展」に出展されていた程の名品です。また、その持仏堂内の襖は、伝俵屋宗達『桜芥子図襖』でした。勿論、温度管理・湿度管理・紫外線管理等の問題がありますので本物ではないのですが、昨年より東京芸術大学のクローン技術により見事に再現された襖が設置されています。


川端龍子旧邸「持仏堂」で“獺祭”を試飲しつつ、伝俵屋宗達『桜芥子図襖』複製画を鑑賞した
あいにくイベント当日は、桜の花は葉桜どころか木々の新緑が進んで、ツツジまで開花しているような状況でしたが、美術館と企業の粋な計らいもあり、美術作品の前でお酒をいただけるという、長く生きているとこんな奇跡のようなことも起こるのかと思えるような至福の一日でした。
今回、イベントを告知するにあたり、お酒の“獺祭”を試飲することではなく、あくまでも作品を鑑賞することに主眼を置き、フライヤーでは“獺祭”を試飲できることには触れず「素敵なサプライズ」と意図的にぼかしました。そうしたことで、企画した私が一番驚く程のインパクトとなり、もちろん美術館と企業による多大なる支援もありましたが、非常に高いレベルのイベントに仕上がったと自負しています。当日参加された方々にも満足いただけたようで、当日の様子はアート・エバンジェリストのアートWebマガジン「alore」ででレポートされています。ぜひご高覧下さい。
アートナビゲーターや美術検定を受験している方々は、多岐にわたりアートの魅力を“伝える”活動をされているかと思いますが、事前準備や人脈等に苦労されていることもあるかもしれません。このイベントに至るまでの本レポートが、皆様の活動の参考になるところがいささかでもありましたなら、嬉しく思います。
なお今後は、食事も楽しめる「落合⇒昼食⇒池袋モンパルナスツアー」を秋頃に、また来春に谷中で、「都美从展」に出展中の箕輪千絵子さんや「繪処アラン・ウエスト」のアランさんとの交流イベント等を計画中です。皆様も機会がありましたらぜひご参加下さい。

2008年に美術検定1級合格、2009年東京都美術館で開催された「美術館名品展」でアートナビゲーターとして初めてボランティア参加。その後、美術アカデミー&スクールが主催するART LABOで研鑚を積みつつ、2015年に初代アート・エバンジェリスト認証取得。
週末は冬でも汗だくで専ら美術館巡りをしています。ガイド歴はDIC川村美術館、川端龍子記念館等、特色のある美術館が好みです。またAE-Salon Webマガジン「alore(アローア)」で、映画を中心としたアートを伝える記事をロンド形式で連載中!
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