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美術検定オフィシャルブログ~アートは一日にして成らず

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子連れで楽しむ美術館 vol.14

こんにちは。アートナビゲーターのMARMOTです。
先月、石川県金沢市の金沢21世紀美術館に小学校3年生の娘とともに行って来ました。
今回は「子連れで楽しむ美術館」第14弾として、その時のことをレポートしてみたいと思います。


美術館に行ったことがない人でも、金沢21世紀美術館を知っている人は多いと思います。特に北陸新幹線の開業前後から、テレビの旅番組などで盛んに紹介されてきました。ガイドブックにも多くのページを使って取り上げられています。日本の美術館で、ここまでの話題性を持つところは他にないかもしれません。これに加え、有名な文化財指定庭園の兼六園金沢城公園に近く、観光シャトルバスを降りれば目の前というアクセスの良さ。ゴールデンウイークということもあり、赤ちゃんからお年寄りまで、ありとあらゆる年代の来館者で、本当に混雑しておりました。

もう一つ、実際に行ってみて驚いたのが、1階と地下1階だけで高層階がないこと、でした。都心の美術館は大体、3階か4階建てで天井も高く、場所によっては威圧感に近い印象を与えるところもありますが、「まちに開かれた公園のような美術館」という建築のコンセプトどおり、オラファー・エリアソン「カラー・アクティヴィティ・ハウス」フロリアン・クラール「アリーナのためのクランクフェルト・ナンバー3」など、円形の建物を囲む芝生に設置された現代アーティストによる作品を来館者がゆっくりと楽しんでいたのが印象的でした。

バリアフリーについてですが、授乳室がキッズスタジオ内にあります。おむつ替えの設備は、館内2か所に設置されています。地下入口から1階へ上がるものを除いて、この美術館にはエレベーターはありません。その理由は…先ほど触れたとおり、2階から上がないからです!混雑していなければ、ベビーカーを借りることもできます。(その他バリアフリー情報は美術館HPのこちらのページに掲載されています→https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=10

館内は、展覧会ゾーン(有料)と交流ゾーン(無料)に分かれています。インスタグラムの定番スポット、レアンドロ・エルリッヒ「スイミング・プール」は、水面部分が交流ゾーン、水中部分が展覧会ゾーンにあるので、下から見たい場合はチケットの購入が必要です。その他、現代美術の企画展が随時開かれています。

交流ゾーンではちょうど、キッズイベント「ARTS PLANET 2018 〜こども∞ディスカバリー!」(既に終了しています)が行われていました。そのうち、舞台衣装などを手掛ける川口知美さんの「アトリエ のっ!ポン!チョ!」というワークショップに参加してきました。渡されたのは、幼児がかぶると裾を引きずるほど大きな大きなポンチョ。この上に、フロッタージュの技法を使って、いろいろな模様を描きとるというものです。素材は外にあるものでもよいとのことで、さっそくワークショップの部屋から直接外の芝生に出てみました。真っ黒のポンチョを手に最初は何が何だかわかっていなかった娘でしたが、歩道の凸凹にポンチョを広げてガリガリこすってみたところ、予想外にきれいな模様が描けたのが楽しかったようです。この美術館ならではの、ここでしかできない体験でした。

作品の前に立って静かに対峙するという意味での鑑賞は、今回はほとんどしなかったのですが、今まで持っていた美術館のイメージががらりと変わりました。
気軽に行けて、アートという意識なしに気軽にアートに触れられる、金沢の人がうらやましいですね。


プロフィール/海外の大型美術館を特集したNHKの番組をきっかけに美術に興味を持ちました。趣味を何らかの形で生かすきっかけになればと、2008年に「美術検定」1級を取得しました。翌年に出産。お絵かきの好きな小学生に成長した娘と、いろいろなアートの楽しみ方を探求する毎日です。

| 連載「子連れで楽しむ美術館」 | 10:11 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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