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美術検定オフィシャルブログ~アートは一日にして成らず

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アートナビゲーター・美術館コレクションレポート「武蔵野市立吉祥寺美術館」

アートナビゲーターの三瓶望美です。中央沿線住民として、美術検定応援館でもある武蔵野市立吉祥寺美術館をレポートさせて頂きます。


住みたい街ランキング上位常連の東京・吉祥寺。駅から3分ほどの商業施設、コピス吉祥寺A館7階に武蔵野市立吉祥寺美術館はあります。街の賑わいから離れ、エレベータ―に乗って美術館に到着すると、照明を控えた静かな空間にいきなり放り出された、不思議な感覚を覚えます。

2002年開館の若くて小さな美術館。ですが、その存在は実にユニークです。
「企画展示室」では、市民ギャラリーとしての貸し出しから所蔵作品お披露目展、個性的な作品展(個人的には2016年4~5月に開催した「萩尾望都SF原画展」と2018年4~5月開催の「福田利之展|吉祥寺の森」がお気に入りでした)を行っています。他に、ワークショップや講演会も積極的に開催しています。

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二人の版画家のための小部屋も印象的です。「浜口陽三記念室」と「萩原英雄記念室」では、版画家・浜口陽三と萩原英雄の両氏の版画作品や道具を常時展示しています。それぞれの部屋に置かれたイスに腰掛けると、まるで作品達に見つめられているようです。浜口氏のメゾチント技法による黒の闇と緻密な点描の幻想的な作品(会期によっては妻の南圭子氏の作品も展示されます)、萩原氏の木版画を中心とした多彩で内省的な表現との対峙は、鑑賞者自身を静かに見つめる貴重な時間を育んでくれます。

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左)浜口陽三記念室、右)萩原英雄記念室

両氏は武蔵野在住作家ではなく、美術館設立の準備段階でご縁ができて、記念室設立に至ったとのこと。総数2500点になるコレクションの根幹は、武蔵野市にゆかりのある作家の作品群です。武蔵野市では、1989年から10年ほど武蔵野市ゆかりの芸術家を顕彰する展覧会を主宰しており、この展覧会を軸に、さらに市民からの寄贈等で所蔵作品の収集を重ねたそうです。
中でも二人の日本画家、野田九浦(のだきゅうほ)、小畠鼎子(こばたけていこ)の作品は、他の美術館にはない充実した内容を誇ります。狩野探幽の研究で知られ、人物画を得意とした九浦は、晩年を吉祥寺で過ごし、1972年には作品と遺品が武蔵野市に寄贈されています。九浦が過ごした家は、吉祥寺東コミュニティセンター九浦の家として市民に解放されています。川端龍子が設立した青龍社に所属した鼎子は、4人の子育てをしながら画業に精進した女流画家。吉祥寺の自宅で亡くなり、その死後1点と美術館開館時に46点の作品寄贈を遺族から受けました。
武蔵野、というと太宰治など著名な文士を連想される方は多いと思いますが、この土地に惹きつけられた多くの芸術家がいることを、年1回程度開催される所蔵作品に関する企画展などで知って頂けるはずです。

さらに驚くべきは入館料です。常設展(二つの記念室)だけならたったの100円、企画展でも300円です。こんなに安くていいの?と申し訳ない気持ちになるのは、私だけではないはずです。
ミュージアムショップでは、吉祥寺らしくセンスある雑貨が並びます。また、受付では美術検定合格認定証提示をお忘れなく。所蔵作品のポストカードをもらえます。

併設のカフェはありません。なぜなら街中に個性的なカフェがあるから。
ショッピングやお茶するだけでなく、あと一歩、美術館まで足を運んでみませんか?
吉祥寺の異空間で過ごすひと時をぜひゆったりと味わってください。


■武蔵野市立吉祥寺美術館
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1丁目8番16号 FFビル7階
開館時間 10:00~19:30
休館日 毎月最終水曜日、年末年始(12月29日~1月3日)
常設展観覧料金 100円
企画展観覧料金 一般300円、中高生100円
※小学生以下、65歳以上、障がい者は無料
Tel: 0422-22-0385 Fax.0422-22-0386
http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/index.html


プロフィール
三瓶望美(ミカメノゾミ)。2013年美術検定1級合格。カリグラファー、署名デザイナー。
「初心者のためのカリグラフィー講座 カリグラフィーパラダイス」http://www.nozomistudio.com/calliparaを運営。

| 連載「アートナビゲーター・美術館コレクションレポート」 | 09:41 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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