これを読めば合格も近い?美術の流れが分かるアートナビゲーターオススメの書籍
こんにちは。「美術検定」実行委員会事務局です。
11月11日に開催の2018年「美術検定」、本試験日まで2ヶ月を切り、受験申込の締切ももう間もなくです。
ここでは、「美術検定」の受験や美術史の勉強をしてみようかどうしようかと迷っていたり、
「美術検定」の関連書籍で勉強する前や合間に、ひと通り美術の流れが分かる書籍を知りたい、
という方にオススメの書籍を、美術検定1級に合格したアートナビゲーターの方々にご紹介いただきました。
11月11日に開催の2018年「美術検定」、本試験日まで2ヶ月を切り、受験申込の締切ももう間もなくです。
ここでは、「美術検定」の受験や美術史の勉強をしてみようかどうしようかと迷っていたり、
「美術検定」の関連書籍で勉強する前や合間に、ひと通り美術の流れが分かる書籍を知りたい、
という方にオススメの書籍を、美術検定1級に合格したアートナビゲーターの方々にご紹介いただきました。
まずは、関連書も多い西洋美術編から。
■池上英洋・著 『西洋美術史入門』 ちくまプリマー新書 税込1026円
美術史への最初の導入書となることを目的」として書かれているので、分かりやすく簡潔な内容で、語りかけるような文章が親しみやすく、文章の中にすっと入っていけます。また、美術館で絵を楽しむだけでは中々身につかない、時代背景や絵の背後にある意味の説明は、読んでいてわくわくします。新書版なので読み終えるのにそれほど時間はかからないし、興味を持ったら続編の<実践編>もあり、最初の一冊にふさわしい本です。(推薦者・小林さん)
新書版ということもあり、手軽に読めるというのはいいですね!
次は2名の方からの推薦があった書籍です。
■山田五郎・著 『知識ゼロからの西洋絵画史入門』 幻冬舎 税込1404円
筆者はテレビ番組「ぶらぶら美術館博物館」のMCとしても活躍する山田五郎。古代ギリシャからシュルレアリスムまで、カラー写真をふんだんに使ってその時々のポイントを分かりやすく解説しています。通して読めば、西洋絵画史が理解できるだけでなく、苦手な分野だけに目を通しても十分理解が進みます。(推薦者・鶴岡さん)
この一冊で、古代ギリシャからシュルレアリスムまで、西洋美術のおおまかな流れとポイントがつかめるように構成されています。「華麗なモザイク」「素朴なフレスコ」など、それぞれの時代の特徴を端的に言い表した見出しが秀逸。さらには、著者が各時代を美女に例えてコメントしていて、これがなかなか言い得て妙。覚えるとっかかりになります。著者は学生時代にオーストリアに留学し、そのときすでにシスティーナ礼拝堂を訪れている美術オタク。確かな知識と気づきが信頼できる方です。(推薦者・津田さん)
幻冬舎の『知識ゼロからの~』シリーズは、美術のジャンルでは他に大橋巨泉・著の『知識ゼロからの印象派絵画入門』などもあり、テレビでおなじみの芸能人の博識を知るという意味でも手に取りやすい書籍です。
■視覚デザイン研究所・編 『巨匠に教わる絵画の見かた』 視覚デザイン研究所 税込1998円
ルネサンスから20世紀美術までの各時代の美術の概要と、その時代を代表する画家数名を取り上げて、豊富なカラー写真とともに解説しています。画家の似顔絵のイラストと画家の名言は楽しく読めるし、読み進めるうちに大きな西洋美術の流れがつかめます。難しい20世紀美術にも比較的たくさんのページを使っているので、美術検定の勉強にも役立つと思います。(推薦者・金子さん)
視覚デザイン研究所の『巨匠に教わる~』シリーズも充実したラインナップです。どれもカラー写真やイラストが豊富なので、読むというより見て学ぶことができる書籍です。
■木村泰司・著 『世界のビジネスエリートが身につける教養 西洋美術史』 ダイヤモンド社 税込1728円
西洋美術史がすっきりと分かる本です。「世界のビジネスエリートが身につける教養」とタイトルにあるように、美術に馴染みのない一般の人でも美術史の流れと背景を理解できるよう、分かりやすく簡潔明瞭に解説しています。それでいて、各時代のポイントはきっちりと押さえられています。美術検定対策としては、こうした一本筋の通った美術史の流れを大まかに掴んだ上で、各時代の多くの作品の画像や作品名を頭にインプットするのが効果的かと思います。(推薦者・貝沼さん)
最近ビジネスの世界で注目されている、グローバルスタンダードの教養として美術史を紹介している書籍ですが、まさに西洋美術史がすっきり分かる一冊です。
こちらはちょっと番外編の書籍です。
■フィリップ・フック・著 『サザビーズで朝食を』 フィルムアート社 税込3240円
美術を学ぶ際に、歴史に沿って流れをつかむのが縦糸だとすると、何かしらのテーマで横糸を紡ぐような見方をしてみるのも、理解を深めるのに役立ちます。本書は、オークショニア(美術競売人)の著者が、少し意外で興味深い5つのテーマや切り口で美術のあれこれを語ったもの。モノクロですが図版も豊富。少々厚い本ですが、どこから読んでも面白く、楽しくページを進めるうちにいつの間にか美術に関する視界が広がること間違いなしかと。(推薦者・臼井さん)
「この作品はいくらだろう?」「あと5年か10年たつと、どのぐらいの価値になるだろう?」美術作品に興味がなくても、この作品がいくらでどの位の価値があるのか、鑑定団的?に興味ある人にオススメです。
次は日本美術編です。
■堀江宏樹/滝乃みわこ・著 『乙女の美術史 日本編』 角川文庫 税込691円
日本美術がなかなか頭に入らない、という方にオススメしたい本です。作品のモデルや制作者、依頼主たちの人間くさい事情を、ゴシップ記事まがいな切り口で紹介しています。そして絵画中心の美術解説本が多い中、この本では仏像のお話から始まってます。美術検定受験の方から仏像は苦手だという声もよく聞きますが、「阿修羅像」や「薬師三尊像」のエピソードを読むと親しみが湧いてくるかもしれません。(推薦者・高島さん)
表紙のイラストも印象的なこの『乙女の歴史』シリーズは、歴史女子=歴女にも支持されているそう。単行本版はじめ文庫版も揃っており、ゴシップを読むようにまさに楽しく日本美術史を網羅できる一冊です。
■田中英道・著 『日本美術全史 世界から見た日本の系譜』 講談社学術文庫 税込1944円
「西洋美術は好きだけど、日本美術はちょっと」「仏像はどれを見ても同じ」という方におすすめ。日本美術史を初めて「様式」で解いた本。例えば白鳳・天平時代は「クラシシズム」、平安が「マニエリズム」、そして鎌倉期が「バロック」というもの。これは、西洋に当てはめたのではなく、様式(スタイル)とはそれまでの作品の模倣か否定を通じて継がれてていく、という考え方から日本美術を通してみよう、という試みなのです。ぜひご一読を。(推薦者・坂井さん)
上記でもご紹介したように、西洋美術に関する書籍は数多く出版されていますので、まずは西洋美術をひと通り理解してからこの本を読むと、日本美術も同時に分かってきて一石二鳥ですね。
他に、美術の流れや美術作品だけでなく、美術鑑賞について学べる書籍もご紹介します。
■青い日記帳・著 『いちばんやさしい美術鑑賞』 ちくま新書 税込994円
人気アートブログ「青い日記帳」の著者による、美術がはじめての方にもわかりやすい鑑賞ポイントを押さえた入門書。15年間毎日ブログを続けている著者だけに、1つの作品にとどまらず、作者や時代背景など情報がてんこ盛り。特に西洋美術は美術動向の転換点にあたる7作品が取り上げられており、美術史を学ぶ副読本として深掘りできる一冊。ここ数年の展覧会にまつわる話題もふんだんに盛り込まれ、美術検定対策もぴったりです。(推薦者・東さん)
人気のアートブログ「青い日記帳」の著者が手がけた美術鑑賞の入門書。美術館での作品鑑賞で、どのように美術を学べるかも分かります。
■城一夫・著 『常識として知っておきたい「美」の概念60』 パイインターナショナル 税込2484円
美術検定受験を決めた時、まずは西洋・日本の美術年表を読み込み理解に努めました。その際、印象主義やモダニズムくらいは聞いたことがありましたが ~派や~主義については捉えどころが難しく途方に暮れてしまった事を覚えています。しかしこの本に出会い、これらを美の概念として意識し整理することによって、自分の中で理解度が深まり、その後の学習のスピードアップに繋がりました。説明と作品とを全て同じページで見る事が出来るのもとても役に立ちました。(推薦者・吉岡さん)
美術館に行くと、作品の説明が書かれたキャプションに目が行きますが、そのキャプションに頻出する言葉を理解するのにもぴったりの一冊です。
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これらを読むと、美術がどんどん分かってきて、美術の流れが押さえられ、「美術検定」合格に一歩も二歩も近づくかもしれません!ぜひこの中から気になる一冊を見つけて、楽しみながら美術史を学んだり、「美術検定」にチャレンジいただければ幸いです。
編集・文/高橋紀子(「美術検定」実行委員会事務局)
■池上英洋・著 『西洋美術史入門』 ちくまプリマー新書 税込1026円
美術史への最初の導入書となることを目的」として書かれているので、分かりやすく簡潔な内容で、語りかけるような文章が親しみやすく、文章の中にすっと入っていけます。また、美術館で絵を楽しむだけでは中々身につかない、時代背景や絵の背後にある意味の説明は、読んでいてわくわくします。新書版なので読み終えるのにそれほど時間はかからないし、興味を持ったら続編の<実践編>もあり、最初の一冊にふさわしい本です。(推薦者・小林さん)
新書版ということもあり、手軽に読めるというのはいいですね!
次は2名の方からの推薦があった書籍です。
■山田五郎・著 『知識ゼロからの西洋絵画史入門』 幻冬舎 税込1404円
筆者はテレビ番組「ぶらぶら美術館博物館」のMCとしても活躍する山田五郎。古代ギリシャからシュルレアリスムまで、カラー写真をふんだんに使ってその時々のポイントを分かりやすく解説しています。通して読めば、西洋絵画史が理解できるだけでなく、苦手な分野だけに目を通しても十分理解が進みます。(推薦者・鶴岡さん)
この一冊で、古代ギリシャからシュルレアリスムまで、西洋美術のおおまかな流れとポイントがつかめるように構成されています。「華麗なモザイク」「素朴なフレスコ」など、それぞれの時代の特徴を端的に言い表した見出しが秀逸。さらには、著者が各時代を美女に例えてコメントしていて、これがなかなか言い得て妙。覚えるとっかかりになります。著者は学生時代にオーストリアに留学し、そのときすでにシスティーナ礼拝堂を訪れている美術オタク。確かな知識と気づきが信頼できる方です。(推薦者・津田さん)
幻冬舎の『知識ゼロからの~』シリーズは、美術のジャンルでは他に大橋巨泉・著の『知識ゼロからの印象派絵画入門』などもあり、テレビでおなじみの芸能人の博識を知るという意味でも手に取りやすい書籍です。
■視覚デザイン研究所・編 『巨匠に教わる絵画の見かた』 視覚デザイン研究所 税込1998円
ルネサンスから20世紀美術までの各時代の美術の概要と、その時代を代表する画家数名を取り上げて、豊富なカラー写真とともに解説しています。画家の似顔絵のイラストと画家の名言は楽しく読めるし、読み進めるうちに大きな西洋美術の流れがつかめます。難しい20世紀美術にも比較的たくさんのページを使っているので、美術検定の勉強にも役立つと思います。(推薦者・金子さん)
視覚デザイン研究所の『巨匠に教わる~』シリーズも充実したラインナップです。どれもカラー写真やイラストが豊富なので、読むというより見て学ぶことができる書籍です。
■木村泰司・著 『世界のビジネスエリートが身につける教養 西洋美術史』 ダイヤモンド社 税込1728円
西洋美術史がすっきりと分かる本です。「世界のビジネスエリートが身につける教養」とタイトルにあるように、美術に馴染みのない一般の人でも美術史の流れと背景を理解できるよう、分かりやすく簡潔明瞭に解説しています。それでいて、各時代のポイントはきっちりと押さえられています。美術検定対策としては、こうした一本筋の通った美術史の流れを大まかに掴んだ上で、各時代の多くの作品の画像や作品名を頭にインプットするのが効果的かと思います。(推薦者・貝沼さん)
最近ビジネスの世界で注目されている、グローバルスタンダードの教養として美術史を紹介している書籍ですが、まさに西洋美術史がすっきり分かる一冊です。
こちらはちょっと番外編の書籍です。
■フィリップ・フック・著 『サザビーズで朝食を』 フィルムアート社 税込3240円
美術を学ぶ際に、歴史に沿って流れをつかむのが縦糸だとすると、何かしらのテーマで横糸を紡ぐような見方をしてみるのも、理解を深めるのに役立ちます。本書は、オークショニア(美術競売人)の著者が、少し意外で興味深い5つのテーマや切り口で美術のあれこれを語ったもの。モノクロですが図版も豊富。少々厚い本ですが、どこから読んでも面白く、楽しくページを進めるうちにいつの間にか美術に関する視界が広がること間違いなしかと。(推薦者・臼井さん)
「この作品はいくらだろう?」「あと5年か10年たつと、どのぐらいの価値になるだろう?」美術作品に興味がなくても、この作品がいくらでどの位の価値があるのか、鑑定団的?に興味ある人にオススメです。
次は日本美術編です。
■堀江宏樹/滝乃みわこ・著 『乙女の美術史 日本編』 角川文庫 税込691円
日本美術がなかなか頭に入らない、という方にオススメしたい本です。作品のモデルや制作者、依頼主たちの人間くさい事情を、ゴシップ記事まがいな切り口で紹介しています。そして絵画中心の美術解説本が多い中、この本では仏像のお話から始まってます。美術検定受験の方から仏像は苦手だという声もよく聞きますが、「阿修羅像」や「薬師三尊像」のエピソードを読むと親しみが湧いてくるかもしれません。(推薦者・高島さん)
表紙のイラストも印象的なこの『乙女の歴史』シリーズは、歴史女子=歴女にも支持されているそう。単行本版はじめ文庫版も揃っており、ゴシップを読むようにまさに楽しく日本美術史を網羅できる一冊です。
■田中英道・著 『日本美術全史 世界から見た日本の系譜』 講談社学術文庫 税込1944円
「西洋美術は好きだけど、日本美術はちょっと」「仏像はどれを見ても同じ」という方におすすめ。日本美術史を初めて「様式」で解いた本。例えば白鳳・天平時代は「クラシシズム」、平安が「マニエリズム」、そして鎌倉期が「バロック」というもの。これは、西洋に当てはめたのではなく、様式(スタイル)とはそれまでの作品の模倣か否定を通じて継がれてていく、という考え方から日本美術を通してみよう、という試みなのです。ぜひご一読を。(推薦者・坂井さん)
上記でもご紹介したように、西洋美術に関する書籍は数多く出版されていますので、まずは西洋美術をひと通り理解してからこの本を読むと、日本美術も同時に分かってきて一石二鳥ですね。
他に、美術の流れや美術作品だけでなく、美術鑑賞について学べる書籍もご紹介します。
■青い日記帳・著 『いちばんやさしい美術鑑賞』 ちくま新書 税込994円
人気アートブログ「青い日記帳」の著者による、美術がはじめての方にもわかりやすい鑑賞ポイントを押さえた入門書。15年間毎日ブログを続けている著者だけに、1つの作品にとどまらず、作者や時代背景など情報がてんこ盛り。特に西洋美術は美術動向の転換点にあたる7作品が取り上げられており、美術史を学ぶ副読本として深掘りできる一冊。ここ数年の展覧会にまつわる話題もふんだんに盛り込まれ、美術検定対策もぴったりです。(推薦者・東さん)
人気のアートブログ「青い日記帳」の著者が手がけた美術鑑賞の入門書。美術館での作品鑑賞で、どのように美術を学べるかも分かります。
■城一夫・著 『常識として知っておきたい「美」の概念60』 パイインターナショナル 税込2484円
美術検定受験を決めた時、まずは西洋・日本の美術年表を読み込み理解に努めました。その際、印象主義やモダニズムくらいは聞いたことがありましたが ~派や~主義については捉えどころが難しく途方に暮れてしまった事を覚えています。しかしこの本に出会い、これらを美の概念として意識し整理することによって、自分の中で理解度が深まり、その後の学習のスピードアップに繋がりました。説明と作品とを全て同じページで見る事が出来るのもとても役に立ちました。(推薦者・吉岡さん)
美術館に行くと、作品の説明が書かれたキャプションに目が行きますが、そのキャプションに頻出する言葉を理解するのにもぴったりの一冊です。
+++
これらを読むと、美術がどんどん分かってきて、美術の流れが押さえられ、「美術検定」合格に一歩も二歩も近づくかもしれません!ぜひこの中から気になる一冊を見つけて、楽しみながら美術史を学んだり、「美術検定」にチャレンジいただければ幸いです。
編集・文/高橋紀子(「美術検定」実行委員会事務局)
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