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美術検定オフィシャルブログ~アートは一日にして成らず

「美術検定」のオフィシャルブログです。

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浮世絵をみにいこう!

 こんにちは。アートナビゲーターの深津優希です。このブログではいつもCINEMAウォッチと題してアートが題材となった映画をご紹介していますが、今回は「浮世絵をみにいこう!」というテーマで美術館と映画をご紹介できればと思います。11月11日の美術検定試験の対策としてもご活用ください!


■すみだ北斎美術館 「北斎の橋 すみだの橋」

 先日有名美術ブログ「青い日記帳」のブロガーであるTak(たけ)さんから、ブロガー内覧会にお招きいただき、2018年11月4日まで開催中の「北斎の橋 すみだの橋」展をみてきました。両国のすみだ北斎美術館とその常設展については、以前に当ブログでもMARMOTさんが「子連れで楽しむ美術館 vol.12」で紹介されていますので、そちらもご参照くださいね。私はというと開館前から気になりつつもなかなか行けず、今回が初めてだったので、とても楽しみにうかがいました。当日は閉館後の静かな展示室で、学芸員の竹村さんの解説を聞きながらゆったりと鑑賞できました。

 《諸国名橋奇覧》(1834年頃)が企画展の見どころのひとつです。名所絵として描かれた橋のある風景、小さな姿で登場する人物たちをみているうちに、旅をしているような気分になります。ちょうど安野光雅の『旅の絵本』(福音館書店発行)を眺めるときと同じような、静かなワクワクが私の中に沸き起こりました。名所といっても知らない場所も多々ありましたが、みていて素直に楽しい!

 北斎といえばハウツー本も有名です。『北斎漫画』で色々な橋の描き分けをみせてくれ、『「略画早指南」初編 とうさんすいのはし』(1812年)ではコンパスと定規でいかに橋や人を描くかが示されています。ちょっとやってみたくなりますね。

 テクニックといえば、摺りの技法にも注目しましょう。葛飾北斎の《馬尽 駒形堂 御厩川岸 駒止石》(1822年)、描かれたのが午年で、馬に因んだ名を持つ名所が描かれています。水面に注目すると、波型が色だけでなく紙の凹凸で表現されていることがわかります。これは、浮世絵版画の技法のひとつ、「空摺り」です。私はグリーティングカードなどにみられる美しいエンボス加工が大好きなのですが、江戸時代のエンボス加工だ~と思って味わってきました。明るい照明の下で撮影すると見えなくなってしまうけれど、江戸時代のほの暗い灯りでみれば違ったことでしょう。ぜひ、実物を直接ご覧ください。

 北斎は年を取って腰が曲がっても杖をついてどこまでも見に行っているイメージでしたが、実は、必ずしも実際に見て描いているわけではないとのこと。ほかの絵師の版画など、資料を見て描いているそうです。えー!と思うと同時に、そりゃそうだよな、と納得。

 西洋美術に影響を与えたと言われる浮世絵。たとえば大胆な構図、平面的な色使い、輪郭線など、印象派の画家たち(だけではないですが)を驚かせた特徴を意識しながらみてまわるのも、美術検定対策としては面白いのではないでしょうか。

■映画「北斎漫画」と「大英博物館プレゼンツ 北斎」

 新藤兼人監督による映画「北斎漫画」は、葛飾北斎の浮世絵師としての生涯を描いたドラマです。破天荒な北斎役を緒形拳が楽しげに演じるほか、娘・お栄を田中裕子、曲亭馬琴を西田敏行、魔性の女・お直を樋口可南子が演じています。老け顔メイクやコミカルな演技などコントのようなところもあり、プッと笑いながら気軽に観ましたが、米粒にスズメの絵を描いたり、竹ぼうきのような大きな筆で大達磨を描いたりするシーンは、北斎やるな…と思わせ、印象深いです。しかし、お直の白い裸体をタコが這うシーンのインパクトが何より大きかったかもしれません。

 「大英博物館プレゼンツ 北斎」は2017年に大英博物館で開催された展覧会“Hokusai: Beyond the Great Wave”に密着し、その舞台裏や北斎の作品を高画質の映像で体験できる映画です。北斎に関する映画としては初の長編ドキュメンタリーとのこと。前出の「北斎漫画」が人間としての北斎にお近づきになれる一本だとしたら、こちらは芸術家としての北斎を知るのに良い一本と言いましょうか。まだ何館かで上映予定です。ウェブサイトや予告編をチェックしてみてくださいね。

■太田記念美術館

 浮世絵が面白くなってきましたね。ほかにも浮世絵をみられる美術館はたくさんあると思いますが、わたしの住んでいる東京で身近な存在なのは太田記念美術館。10月28日までは「没後160年記念 歌川広重」、11月2日からは「花魁ファッション」という企画展が開催されています。原宿駅から徒歩5分ですから、ショッピングついでに気軽に立ち寄れます。

 ご紹介した美術館の企画展のいくつかは会期終了が迫っていますので、ぜひお早めに足をお運びください。美術検定を受けるのだけど日本美術が苦手なのよね、なんて方も、きっと楽しく勉強できると思いますよ。


◆美術館サイト
すみだ北斎美術館 http://hokusai-museum.jp/modules/Exhibition/
太田記念浮世絵美術館 http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/

◆映画オフィシャルサイト
「北斎漫画」 https://www.youtube.com/watch?v=ZrXJ667gvHc (予告)
「大英博物館プレゼンツ 北斎」 http://hokusai-movie.jp/


プロフィール
美術館ガイド、ワークショップ企画、美術講座講師、執筆などを通して、アートと観る人をつなぐ活動をしています。このブログでは、アートが題材となった映画をご紹介しています。

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