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美術検定オフィシャルブログ~アートは一日にして成らず

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アートナビゲーター・美術館コレクションレポート「東京都現代美術館」

2019年3月29日 リニューアル・オープン!!

皆様こんにちは。アートナビゲーター・鈴木です。
約3年間にわたる休館を経て、東京都現代美術館がいよいよリニューアル・オープンを迎えます!
私は、この東京都現代美術館で、主にコレクション展示室の作品を楽しんでいただくツアーを担当するガイドスタッフとして、ボランティア活動をしています。
隣接する木場公園の緑も、生き生きと輝きだすこの季節。私にとっても、3年ぶりの美術館は新鮮な「すがた」です。
今回は、オープン直前の東京都現代美術館=愛称MOT(モット)をご紹介します。


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■過去と未来のある街

 MOTのある東京・江東区の深川、清澄白河エリアは、隅田川と運河に囲まれ、古くは松尾芭蕉、平賀源内とも縁が深く、江戸時代からの文化を引き継ぐ下町情緒の残る街ですが、最近ではコーヒー・ロースタリーやカフェ、ワイナリーそしてギャラリーが次々登場し、新しい文化の発信地として注目されています。
 また、木場という地名の由来でもある材木関係や、印刷・製本等の職人さんの仕事場と、タワーマンションが並んで建つ風景からは、多くの人やモノが行き来する土地であったという歴史が今も生きていることを感じます。
 そんなこの街の空気を反映するかのようなMOTのコレクションについて、お話を進めましょう。


■MOTコレクション

 東京都現代美術館=MOTは、現在約5400点の作品を所蔵しています。
 このコレクションは、上野の東京都美術館から移管された約3000点と、新しく収集された2400点の作品で成り立っています。
 MOTはその名の通り、国際都市東京の文化拠点としての視点をもち、国内外の多様な美術表現作品をリアルタイムで収集していることはもちろんですが、実は大正時代から戦前戦後そして現代にいたるまでの美術を知ることができる、幅広いジャンルのコレクションを持つことも大きな特徴なのです。
 東京都美術館は、1926年に美術団体の公募展会場として出発しました。やがて作品の収集も開始され、1970年代には近代~戦後にわたる多くの作品によるコレクションが形成されていきます。しかし1980年代に入り、作品が大型化していったこと、海外作品も加わるようになったことなどから、より大きな展示スペースと収蔵庫を持つ美術館が必要とされるようになりました。そうした背景のなか、1995年に誕生したのが東京都現代美術館です。


■企画展 「百年の編み手たちー流動する日本の近現代美術―」

 この度のリニューアル・オープンを記念して、3月29日(金)~6月16日(日)に美術館全体でコレクションを大規模に紹介する二つの展覧会が企画されています。

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靉嘔 《田園》 1956年

 まず企画展示室では、1910年代から現代まで、100年にわたる日本の美術作品の数々が3フロア全てを使い展示される、「百年の編み手たちー流動する日本の近現代美術―」が開催されます。
 どの時代にも、実験精神あふれ独自の表現を試みた編み手=作家たちがいます。新旧の様々な表現から、その編み手たちはどう社会と関係を結んでいたのか?そしてどう課題と向き合いそこからどんな活動、どんな作品が生まれたのか?近現代美術史のなかに点在する重要な作品を通し、その背景を探りながら日本の美術の歴史を考える・・・そんな体験となることでしょう。
 作品だけではなく、美術図書室から紹介される貴重な資料も注目です。


■コレクション展「MOTコレクション ただいま/はじめまして」

 これまでもコレクション展示室では、「MOTコレクション」として収蔵作品を常に新鮮な視点で楽しんでいただけるような展覧会を、会期ごとにさまざまな切り口で紹介してきました。リニューアル・オープンを記念する第一弾のコレクション展「MOTコレクション ただいま/はじめまして」では、休館中に新たに収蔵された400点の中から、2010年代にさまざまな世代や地域で制作された、まさに「はじめまして」のフレッシュな作品を中心に観ることができます。

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中園孔二《無題》 2012年

 展示室は、3階まで吹き抜けの明るいアトリウムからスタートします(展示は1階・3階の2フロア)。このスペースには彫刻作品やインスタレーション作品が置かれますが、その日の空模様や時間帯また見る位置によって変化する作品の表情を楽しむことができます。今回も皆さんからきっと「おおっ!」という声があがることでしょう。
 室内には、休館中に修復を終え輝きを増した宮島達男の代表作。そしてMOTの顔として親しまれているロイ・リキテンスタインの《ヘア・リボンの少女》など、「ただいま」の作品も並びます。屋外にも、「ただいま」と「はじめまして」の彫刻作品やインスタレーションが。ぜひ新たに整備された建物の周囲をお散歩しながら楽しんでください。私たちガイドスタッフも、お天気の良い日のツアーでは皆様にぜひ屋外作品をご案内しよう!と楽しみにしています。


■MOT・+?!

 リニューアル・オープン記念一年限定のロゴにもご注目ください。
 「もっともっと」皆様に親しまれる美術館へ!という気持ちを込めて、愛称MOTにTの文字がもうひとつ+(プラス)されています。
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 その「もっともっと」についてもご紹介しましょう。
 2016年5月に休館してからのリニューアル時に、開館以来21年を経た館内内装の全面的更新、照明のLED化がすすめられ、より開放感あふれる空間になりました。また館内を隅々まで安心して楽しんでいただけるようサイン、什器を一新。エレベーターの増設、出入口のスロープ改善、多目的トイレの拡充など、バリアフリー機能も充実しています。

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より開放的になったエントランス

 美術図書室には、映像資料が閲覧できる「メディアブース」、お子様も楽しめる美術書を集めた「こどもとしょしつ」が設けられ、インテリアもぐっとシックに新しい空間になりました。

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落ち着いた雰囲気の美術図書室 (Photo: Kenta Hasegawa)

 もちろん館内で一息ついていただく施設も新しく、ご家族で楽しめるメニューが揃ったレストラン「100本のスプーン」と、“店内だけでなくテイクアウトして中庭でもどうぞ。”のカフェ&ラウンジ「二階のサンドイッチ」、2つの店舗がオープンします。
 ミュージアムショップは、おなじみの「NADiff contemporary」が再オープンです。


■リニューアル・オープン記念イベント

★3月29日(金)は入場無料。20時まで開館時間を延長します。
★3月29日(金)10時~、31日(日)11時30分~は、「元加賀小学校和太鼓クラブ」による和太鼓の演奏が行われます。
★3月29日(金)~6月16日(日)の記念展会期中、館内スタンプラリーを開催。美術館のいくつかのエリアをめぐり、すべてのスタンプを集めるとオリジナルステッカー(数量限定)をプレゼント。


■お待ちしています!

 「MOTコレクション」展示室では、わたしたちガイドスタッフが作品解説をしながら、皆さんと一緒に楽しく鑑賞するツアーを行っています。コレクション展「MOTコレクション ただいま/はじめまして」でのツアーは、4月6日(土)からスタートします。ツアーは毎日14時~1時間程度で、参加ご希望の方はコレクション展入口集合となります。ツアーは途中参加も可能です。皆様ぜひご参加ください!
 その他、詳細および最新情報は美術館のウェブサイトをご覧ください。


■東京都現代美術館
〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1
開館時間 10:00~18:00(展示室入場は閉館の30分前まで) 
     ※3月29日は20:00まで開館
休館日  月曜日(4月29日、5月6日は開館)、5月7日
企画展観覧料
一般1300円 大学生・専門学校生・65歳以上900円 中高生600円 小学生以下無料 
※企画展のチケットでコレクション展もご覧いただけます。
コレクション展観覧料
一般500円 大学生・専門学校生400円 高校生・65歳以上250円 中学生以下無料
※第三水曜日(シルバーデー)は65歳以上の方は無料
※親子ふれあいデー(毎月第三土曜日と続く日曜日)は18歳未満の子を同伴する都内在住の方2名まで入場料金が半額
※3月29日は無料!
TEL ハローダイヤル 03-5777-8600 (年中無休8:00~22:00)
HP   http://www.mot-art-museum.jp


プロフィール
アートナビゲーター試験という名称だった2005年に1級を取得。現在は東京都現代美術館を中心に活動中。現代アートを知るには、アートに偏ることなく現代社会の出来事、動きに関心を持つことが欠かせない、と実感しています。それはどの時代の芸術も同じでしょう。もし苦手な分野があったら、まずその時代の空気のようなものがつかめると、ぐっと理解が深まるかもしれませんね。

| 連載「アートナビゲーター・美術館コレクションレポート」 | 12:50 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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