「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」展キヤノン・ミュージアム・キャンパス レポート
こんにちは。アートナビゲーターのふじいです。
先日7月9日に国立新美術館で開催された、「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」展の関連イベント、キヤノン・ミュージアム・キャンパスでのアートナビゲーターの活動をレポートします。
先日7月9日に国立新美術館で開催された、「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」展の関連イベント、キヤノン・ミュージアム・キャンパスでのアートナビゲーターの活動をレポートします。
キヤノン・ミュージアム・キャンパスとは「大学生のための無料観覧日」で、今回の展覧会に特別協賛しているキヤノン株式会社と、展覧会の主催者である読売新聞社、国立新美術館により企画されました。これは、学生(大学院生・大学生・短期大学生・専門学校生・高等専門学校生を含む)の方々に、美術鑑賞の楽しさや芸術への親しみを感じてもらう場を提供することを目的としたものです。観覧者を学生に限定、展示会場を教室、作品解説を授業に見立てているところが、まさにミュージアム・キャンパスですね!
そして開催日は火曜日という、美術館の通常の休館日をイベント日として設定されています。今回開催された7月9日は7月にしては肌寒い日で、入場者数は800名強でしたが、学生のみ入場できるということでゆったりと観られたのではと思います。
展示会場は5つの教室に分けられ、アートナビゲーターは二人一組(一部三人一組)となって各教室に待機し、訪れた学生にその教室のメインとなる作品を中心に展覧会の見どころをガイドしました。
この展覧会は、18世紀末から20世紀初頭にウィーンで花開いた芸術文化の軌跡をたどるというもの。啓蒙主義による社会変革から都市の発展、そして19世紀末に芸術運動として花を咲かせるという、ウィーンで起こった一連のプロセスに作品を通して追っています。展示作品は一般の展覧会の2~3倍の量と言われ、ジャンルも幅広く、絵画、建築、デザイン、ファッション、工芸など多岐に渡っています。歴史背景を踏まえ、ウィーンが芸術の都に発展する様子が映像や建築資料でも紹介され、盛りだくさんで観る方も説明する方も大変!ガイドするアートナビゲーターも気合が入っていました。
イベント当日、参加者は美術館入場の際に学生証を提示し、しおりを受け取り展示会場へ向かいました。各教室での授業は毎時0分、20分、40分スタートと1時間に3回、ガイド時間は学生自身が静かに作品鑑賞する時間がとれるよう、1回あたり6~7分を目安として行なわれました。ゆるゆると歩きながら5教室全ての授業を受けると、ちょうど1時間半ほどでした。
アートナビゲーターの皆さんはそれぞれ笑顔を絶やさず、丁寧に分かりやすく説明されていて、学生もメモを取りながら一生懸命熱心に聞き、またガイド終了後に質問などをしていました。学生の様子からも、説明に引き込まれているのがよく分かりました。
そして、ガイドの内容もそれぞれが個性的でバラエティに富んでいました。“この作家、皇帝は学生の皆さんと年齢がそれほど変わらないんですよ”、と言って親近感を持たせたり、自身のウィーン旅行中のエピソードを織り込むなど、説明に興味を持たせる小ネタも聴きどころです。アートナビゲーターは、ガイドに参加される学生の人数や反応を見ながら、次の回では内容を微調整したり、またその教室の作品のみならず、時代の流れをうまく把握できるように前後の作品を盛り込んで説明し、次の教室への興味を促すなど、学生がさらに展覧会を楽しめるよう臨機応変に対応していました。
参加された学生数名に、ガイドの感想を伺いました。お話し下さったのは10~20代の若い学生の他、社会人やシニアと思われる学生の方々で、専攻されている分野も、美術、デザイン、ファッション、建築、写真など様々でした。今回イベントに参加したきっかけは、普段から展覧会情報をチェックしていて知った方、友人知人から教えてもらったといった口コミの他、学校の先生に勧められて(先生、勧めて下さりありがとうございました!)、という方も多くいらっしゃいました。展覧会の印象としては、元々興味がある作品や作家の理解が深まっただけでなく、全体を通して生活や歴史、文化が分かったとおっしゃっていました。皆さん展覧会のポイントをつかんでいますね!アートナビゲーターによる授業は、分かりやすかった、自分では気が付かないことも教えてもらって分かるようになった、理解に役立った、ポイントが把握できた、とのこと。感想を伺っていると、皆さん楽しそうに次から次へといろいろお話しされ、授業で学んだことを話したくてしょうがない様子が見受けられました。聞いている私も楽しさのお裾分けを頂き、大変嬉しくなりました。お時間を頂いた若い学生さん、シニアでもyoung at heartの学生さん、ありがとうございました!
今回ガイドしたアートナビゲーターにも感想を伺いました。本イベントでのガイドは初めての方、すでにこれまでのキヤノン・ミュージアム・キャンパスで何度もガイドされている方といらっしゃいましたが、皆さんそれぞれ事前の展覧会視察から授業前のガイド資料作成と、直前まで入念に準備されて臨んでいらっしゃいました。“少し失敗があっても次にがんばろうと思うし、終わった後の充実感、満足感、達成感があるからいつも続けています”と、複数回ガイドされているアートナビゲーターの方々から伺いました。また、他のアートナビゲーターのガイドを聴くこと、観ることもとても勉強になりました。これはアートナビゲーターにとっても授業なんですね。

今回ガイド担当されたアートナビゲーターの皆様、本当にお疲れ様でした! (写真提供=キヤノン株式会社)
アートと人をつなぐアートナビゲーター、これからの活動もぜひご期待下さい!
※「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」展は国立新美術館(東京・六本木)で8月5日(月)まで開催、その後8月27日(火)より国立国際美術館(大阪)へ巡回します。お見逃しなく!
展覧会公式サイト:https://artexhibition.jp/wienmodern2019/
プロフィール
2016年に美術検定1級合格、アートナビゲーターになりました。
普段はギャラリー、美術館を訪れたり、休みの日には国内外のアート巡りの旅を楽しんでいます。現代アートが好きで、特にサウンドインスタレーションがお気に入りです。
そして開催日は火曜日という、美術館の通常の休館日をイベント日として設定されています。今回開催された7月9日は7月にしては肌寒い日で、入場者数は800名強でしたが、学生のみ入場できるということでゆったりと観られたのではと思います。
展示会場は5つの教室に分けられ、アートナビゲーターは二人一組(一部三人一組)となって各教室に待機し、訪れた学生にその教室のメインとなる作品を中心に展覧会の見どころをガイドしました。
この展覧会は、18世紀末から20世紀初頭にウィーンで花開いた芸術文化の軌跡をたどるというもの。啓蒙主義による社会変革から都市の発展、そして19世紀末に芸術運動として花を咲かせるという、ウィーンで起こった一連のプロセスに作品を通して追っています。展示作品は一般の展覧会の2~3倍の量と言われ、ジャンルも幅広く、絵画、建築、デザイン、ファッション、工芸など多岐に渡っています。歴史背景を踏まえ、ウィーンが芸術の都に発展する様子が映像や建築資料でも紹介され、盛りだくさんで観る方も説明する方も大変!ガイドするアートナビゲーターも気合が入っていました。
イベント当日、参加者は美術館入場の際に学生証を提示し、しおりを受け取り展示会場へ向かいました。各教室での授業は毎時0分、20分、40分スタートと1時間に3回、ガイド時間は学生自身が静かに作品鑑賞する時間がとれるよう、1回あたり6~7分を目安として行なわれました。ゆるゆると歩きながら5教室全ての授業を受けると、ちょうど1時間半ほどでした。
アートナビゲーターの皆さんはそれぞれ笑顔を絶やさず、丁寧に分かりやすく説明されていて、学生もメモを取りながら一生懸命熱心に聞き、またガイド終了後に質問などをしていました。学生の様子からも、説明に引き込まれているのがよく分かりました。
そして、ガイドの内容もそれぞれが個性的でバラエティに富んでいました。“この作家、皇帝は学生の皆さんと年齢がそれほど変わらないんですよ”、と言って親近感を持たせたり、自身のウィーン旅行中のエピソードを織り込むなど、説明に興味を持たせる小ネタも聴きどころです。アートナビゲーターは、ガイドに参加される学生の人数や反応を見ながら、次の回では内容を微調整したり、またその教室の作品のみならず、時代の流れをうまく把握できるように前後の作品を盛り込んで説明し、次の教室への興味を促すなど、学生がさらに展覧会を楽しめるよう臨機応変に対応していました。
参加された学生数名に、ガイドの感想を伺いました。お話し下さったのは10~20代の若い学生の他、社会人やシニアと思われる学生の方々で、専攻されている分野も、美術、デザイン、ファッション、建築、写真など様々でした。今回イベントに参加したきっかけは、普段から展覧会情報をチェックしていて知った方、友人知人から教えてもらったといった口コミの他、学校の先生に勧められて(先生、勧めて下さりありがとうございました!)、という方も多くいらっしゃいました。展覧会の印象としては、元々興味がある作品や作家の理解が深まっただけでなく、全体を通して生活や歴史、文化が分かったとおっしゃっていました。皆さん展覧会のポイントをつかんでいますね!アートナビゲーターによる授業は、分かりやすかった、自分では気が付かないことも教えてもらって分かるようになった、理解に役立った、ポイントが把握できた、とのこと。感想を伺っていると、皆さん楽しそうに次から次へといろいろお話しされ、授業で学んだことを話したくてしょうがない様子が見受けられました。聞いている私も楽しさのお裾分けを頂き、大変嬉しくなりました。お時間を頂いた若い学生さん、シニアでもyoung at heartの学生さん、ありがとうございました!
今回ガイドしたアートナビゲーターにも感想を伺いました。本イベントでのガイドは初めての方、すでにこれまでのキヤノン・ミュージアム・キャンパスで何度もガイドされている方といらっしゃいましたが、皆さんそれぞれ事前の展覧会視察から授業前のガイド資料作成と、直前まで入念に準備されて臨んでいらっしゃいました。“少し失敗があっても次にがんばろうと思うし、終わった後の充実感、満足感、達成感があるからいつも続けています”と、複数回ガイドされているアートナビゲーターの方々から伺いました。また、他のアートナビゲーターのガイドを聴くこと、観ることもとても勉強になりました。これはアートナビゲーターにとっても授業なんですね。


今回ガイド担当されたアートナビゲーターの皆様、本当にお疲れ様でした! (写真提供=キヤノン株式会社)
アートと人をつなぐアートナビゲーター、これからの活動もぜひご期待下さい!
※「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」展は国立新美術館(東京・六本木)で8月5日(月)まで開催、その後8月27日(火)より国立国際美術館(大阪)へ巡回します。お見逃しなく!
展覧会公式サイト:https://artexhibition.jp/wienmodern2019/

2016年に美術検定1級合格、アートナビゲーターになりました。
普段はギャラリー、美術館を訪れたり、休みの日には国内外のアート巡りの旅を楽しんでいます。現代アートが好きで、特にサウンドインスタレーションがお気に入りです。
| 美術検定関連イベント告知&レポート | 09:25 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑