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美術検定オフィシャルブログ~アートは一日にして成らず

「美術検定」のオフィシャルブログです。

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子連れで楽しむ美術館 vol.15

こんにちは。子連れアートナビゲーターのMARMOTです。
せっかくの長い夏休み、東京から遠く離れた美術館に行ってみたい。「子連れで楽しむ美術館」第15弾は、大塚国際美術館です。


大塚国際美術館のある場所は徳島県鳴門市。渦潮で有名な鳴門公園内にあり、対岸に淡路島を望む風光明媚なところです。ポカリスエットなどでお馴染みの大塚製薬を擁する大塚グループによって、1998年に設立されました。
徳島阿波踊り空港から路線バスで30分余り。窓からきれいな海を眺めているうちに到着です。関西各地からはバスツアーも出ています。

地下3階から地上2階まで上がって行くのが鑑賞順路となっていますが、館内がとんでもなく広いので、全作品をじっくり鑑賞するには1日では足りないかもしれません。作品リストによると、作品点数は1074点でした!
そのため、順路は気にせず、事前にフロアガイドで見たい作品を調べてから向かうことをお勧めします。ルーヴル美術館などの大きな美術館を訪れる時と同じ方法ですね。
西洋美術の名作ばかりなので、「美術検定」の勉強にももってこいです。各種ガイドツアーに参加するのもおすすめです。

全ての階におむつ替えスペースの備わった多機能化粧室があり、授乳室は地下3階にあります。ベビーカーの貸し出しもあります。各展示室もベビーカーで回るのに十分なスペースがあります。

さて、なぜ門外不出クラスの西洋絵画が日本で見られるのか、それは、絵画を陶板に焼き付けた複製だからです。陶板は鳴門海峡の砂が原料で、なんと2000年たっても色あせないそうです。その陶板絵画を使って、空間ごと原寸大で再現し展示していることが、この美術館の最大の特徴です。なあんだ複製か、と思った方もいるかもしれません。しかし、システィーナ礼拝堂を再現したシスティーナ・ホールでは、「まるごと再現」の効果で、かなり前ですが本物を見た時の感覚を思い出しました。環境展示は、他にもモネの「水連」連作など、本当に多数ありました。
私にとっては、晩年のゴヤが自宅の食堂の壁に描いた「黒い絵シリーズ」と、祭壇画の扉が一定時間ごとに開閉するボスの《快楽の園》が特に印象的でした。たくさんの磔刑図を初めて見た娘からは、「どうしてこんな格好(磔)をしているの?」「同じ場面を描いているのに、作品によって傷跡があるのとないのとがあるよ?」と質問攻めになりました。

ここでいったん退館し、ベストタイムに合わせて渦潮を見に行くことに(再入館が可能です)。その後地下3階の「カフェ・フィンセント」で遅めのランチにしました。
鑑賞で歩き疲れたら、地下2階にある「カフェ・ド・ジヴェルニー」や、別館1階の「レストラン・ガーデン」の鳴門グルメでリフレッシュしましょう。鯛、わかめ、すだち、鳴門金時と、おいしいものがたくさんありますよ。

元気を取り戻した後は、今年で3回目となる「アートコスプレ フェス」(2019年11月24日まで開催)で名画コスプレに挑戦することにしました。《モナ・リザ》をはじめ、有名な11作品の衣装に身を包み、作品の登場人物になれるのです。
追加料金はなく、衣装の数は子供用も含めて28着。服の上から羽織り、後ろをファスナーやマジックテープで止めるだけとお手軽です。それなのに、再現度は高く、生地もしっかりしており、帽子や笛、扇子といった小道具まで揃っているのには驚嘆しました。
ちなみに、館内の全てで写真撮影ができます(ストロボ、フラッシュ、三脚等は使えません)。Instagram、Twitter、FacebookなどのSNSにも投稿OKです(ハッシュタグ:#アートコスプレフェスを見てくださいね)。写真を撮るなどしているうちに、どうしても名画コスプレをコンプリートしたくなり、気がつくと鑑賞そっちのけで着替えに熱中。作品鑑賞はもちろんアートの楽しみ方の王道ですが、コスプレもなかなか楽しかったです。名画と同じポーズを取れる機会なんて、そうそうありませんから。

娘の感想です。「大人がたくさんいて作品を見るだけだと思っていたけど、子供も楽しめるようにコスプレとかがあってとっても楽しかった。簡単に着替えができたりアクセサリーがつけられて、男性にも変身できて楽しかった!」

子連れでアート旅に行きたいとお考えの方、新たなアートの楽しみ方を発見したい方、おすすめです。


プロフィール/海外の大型美術館を特集したNHKの番組をきっかけに美術に興味を持ちました。趣味を何らかの形で生かすきっかけになればと、2008年に「美術検定」1級を取得しました。翌年に出産。お絵かきの好きな小学生に成長した娘と、いろいろなアートの楽しみ方を探求する毎日です。

| 連載「子連れで楽しむ美術館」 | 10:00 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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