美術検定オフィシャルブログ~アートは一日にして成らず

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福岡発!中学生たちがつないだ希望の灯

福岡県で中学校の美術教師をしている友野です。
アートナビゲーターとしての活動はなかなかできませんが、今回は、7月24日と8月6日に福岡市で行った、中学生と市民との交流ワークショップ
「アートでつなごう 希望の灯 ~あなたの気持ちを福岡から福島に届けませんか~」
のレポートをお送りします。


このアート・プロジェクトは、福岡市美術館が12年前から福岡市の中学生を対象に開催してきたワークショップの一環です。毎回、美術館と中学校の先生の両者で活動内容を決め、中学校の美術部の生徒たちが参加する、というものです。
今年は、福岡市立内浜中学校の吉本先生の呼びかけにより、「福島の被災地の方々のためにできること」を考え、福島と福岡を同時に灯明で心をつなぐプロジェクトとして企画されました。

kanban7月24日(日)のワークショップでは、「蜜蝋で手作りキャンドルを楽しもう」「交流ワークショップに向けての準備」の2つを実施しました。ワークショップに先立ち、生徒たちは、各地の灯明プロジェクトで現場指揮をとる徳永昭夫氏によるアドバイスを聞きました。ここで灯明デザインや個数の計算方法、点火時の安全確保までしっかりと学びました。

この後、生徒たちは手作りキャンドルの制作手順と方法を学び、自分たちでキャンドル制作を体験しました。この日に制作されたキャンドルがそのまま次回ワークショップでの「参考例」となるのです。キャンドル制作が終わると、生徒たちは、次回のワークショップへの参加を市民に呼びかけるポスターやチラシを制作しました。


8月6日(土)は、「灯明デザイン画制作」と市民との「交流ワークショップ」の実施です。
この日の夕刻には福岡市美術館と福島県大玉村で、灯明の同時点火まで行うというハードスケジュールの1日。
福岡市美術館に集合した生徒たちは、まずは学校を超えたチームに分かれ、でき上がった灯明を何の形にデザインするかというアイデアを出し合い、デザイン画の制作へと移ります。グループごとに真剣な討議を重ねた結果、幸せと心の平安を祈る「四つ葉のクローバーと鳩」をデザインすることに決定。このデザインに必要な灯明は700個ということも割り出しました。そこからデザイン画をおこしていきました。

市民との「交流ワークショップ」では、生徒たちはこの目標数に到達するよう、市民たちにもワークショップへの参加を求めました。はじめは、来館したお客さんへの声かけもためらいがちでしたが、言葉を交わしながら灯明作りを進めるにつれて、積極的に呼びかけをして、子ども達の頑張りでみごと700個を超える灯明ができました。そして、出来上がった灯明を自分たちで一つひとつ並べていきました。
workshop layout
左/市民との交流ワークショップの風景 右/灯明を配置する生徒たち

layout2一方、福島県の大玉村でも、吉本先生を中心に灯明作りのワークショップを開催。300個を目標に、被災地の人たちと一緒に制作を進めました。被災地では、家族を失った人たちがその家族を思いながら制作にあたられていたそうです。


この日、福岡では夕方に小雨がぱらついたものの、無事に福岡と福島をつなぐ希望の灯1000個の灯明が灯りました。
tomyo_fukuoka tomyo_fukushima
左/福岡市美術館で点火された灯明 右/福島県大玉村で点灯された灯明


中学生たちは、このワークショップを通じ、学校を超えた人々とのコミュニケーションも経験し、達成感も味わう体験ができたことでしょう。このような活動は、子どもたちのコミュニケーション能力の高める上でも有意義な活動、とわたしたち教師も考えています。

*****

上記のワークショップとは別に、7月には福岡県内の中学校生徒に、福島の仮設住宅の方々へ励ましのメッセージとひまわりの絵を送ることを呼びかけました。9月中旬、メッセージとひまわりの絵を集約し、福岡市内で一斉に展示した後、被災地の方々へお送りする予定です。

展覧会は、10月下旬から11月下旬に福岡市美術館、西日本新聞社、TNC会館、ソラリアプラザの各会場で予定しています。昨年、九州国立博物館で展示を行ったひまわりの種による《ゴッホの自画像》も同時展示予定です。

子ども達の思いが届き、被災地の方々がとても元気になってくれる。そんなプロジェクトにとりくんでいます。


プロフィール/福岡県在住の中学校美術教師です。美術館でのボランティアや様々なイベントに意欲的に参加をしていきたいと、美術検定1級を取得しました。
職業柄、時間的にハードな面が多く、実際に美術館でのアートナビゲーターとしての活動が限られています。しかし、アートナビゲーターの交流会を通して、たくさんの方とお会いし、皆さんの活躍を知ることができてとてもよかったと思います。
一方、美術教諭としては、美術館やアーティストと連携した授業を積極的に行っています。また、生徒の鑑賞の力を高めるための様々な取り組みを試みています。また、美術館のみならず、地域にも広げ、アートの可能性を開いていく活動を目指したいと考えています。


| 美術館&アートプロジェクトレポート | 09:30 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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