美術検定オフィシャルブログ~アートは一日にして成らず

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現代美術はよくわからない、というお客様のサポーター

はじめまして。「美術検定」アートナビゲーターの藤田です。
現在進行形で主婦ですが、1級合格間もなくの頃に広島市現代美術館で“アートナビゲーター”と呼ばれる仕事に運良く就き、今に至っています。
今回は、「ヒロシマ賞」などでも知られる広島市現代美術館での活動を紹介します。


画期的!? 展示室常駐の鑑賞サポーター

nameplate広島市現代美術館では、“アートナビゲーター”と呼ばれるスタッフが展示室に常駐し、お客様から質問を受ければ、その場でお答えするという、なかなかユニークな体制をとっています。「ちょっと来てみたけど、やっぱり現代美術はよくわからない。」とおっしゃるお客様に重宝されているかな?と思っています。ただ、何を質問されるか分からないので、いつもハラハラドキドキしながら待機しています。もちろん、全ての質問に答えられるわけではありませんが、私達の存在を知っていただき、利用していただくために、来館者へは「アートナビゲーターに質問してみよう」という案内が展示室に入る直前に配られます。私達もその目印に「?」マークの付いた名札を下げています。

来館者からの質問の多数は「これは一体何?何か良く分からないのですが」という作品そのものについての疑問です。それについては、事前に受けた学芸員による2度の研修や作家さんと直接お話する機会を得た時に聞いた情報を基に答えています。特に作家本人から聞いた制作意図、作品にまつわるエピソードなどをお話しすると、来館者にはずいぶん喜ばれ、納得してもらえることが多々あるのです。

写真/「?」マーク付きの名札が目印のアートナビゲーター(写真協力=広島市現代美術館)


質問から気付かされること

そんななかで忘れられない質問があります。第7回ヒロシマ賞受賞記念展「蔡国強展」に県外から来られた男性から「広島で黒い花火を上げる行為を君はどう思うか?」と私自身の考えを尋ねられたのです。「確かに、被爆者の中には、黒い花火を見て不快に思われたり、当時を思い出して辛い思いをされる方もいらっしゃるかも知れません。しかし、この作家にとっての火薬は、私達人類の英知でもあり、愚かさの象徴でもあります。使い方を誤れば、善にも悪にもなる……そういった事を、彼なりのやり方で私達に訴えたかったのですから、よしとされるべきではないでしようか。ギリギリの表現で、戦争と平和、破壊と再生について問いかける……これもアートの魅力だと思います」といった答えをしました。この対話を通じ、あらためて、被爆地である広島の美術館に勤めていること、“ヒロシマの心を美術を通して世界へ訴える”ことの意味を再認識させられた、忘れられない体験となったのです。


おなじみギャラリーツアーも担当

同館のアートナビゲーターは、すでにさまざまな美術館でもおなじみの「ギャラリーツアー」のガイドも担当しています。ガイドツアーは土・日曜日、祝日に30分程度の時間で、1日2回実施しています。

ガイドツアー自体は30分という短い時間のため、「作品解説」に徹しますが、作家さんや現代美術作品により親しみを持っていただけるよう、作家さんから直接お聞きした事を、できるだけお客様にもお話しするようにしています。それでも、消化不良という来館者に対しては、ツアー終了後に個別に質問を受けたりしています。かつて、ツアー中に作家さんご本人が展示室にいらっしゃって、途中から作品解説をお願いしたこともあります。この時の来館者の喜び様と言ったら……! こんなハプニングもあるガイドツアーなのです。

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研修や活動を通じて、キュレーターの方々からだけでなく、仕事・ボランティア仲間からも、たくさんの事を学んでいます。
私の勉強は、まだまだ途上にありますが、知るは楽しみなり・・・作品の背景にある目には見えないものを読み解く面白さを味わいながら、作品と鑑賞者のかけ橋となるべく、これからも努力して行きたいと思っています。


最後に郷土愛を込めて

広島市現代美術館では、ユニークな「秋山祐徳太子+しりあがり寿 ブリキの方舟展」開催中です。

また、広島県立美術館の所蔵作品展では、広島県ゆかりの作家作品はもちろん、ナチスによって“退廃”の烙印を押された作家達の作品(国内の他館があまり所蔵していないマックス・ベックマンら)、また、質・量とも国内外最高といわれる、中央アジアの素晴らしいトルクメンジュエリーのコレクションを楽しむ事が出来ます。

gallerytour解説で作家さんや作品への関心が高くなれば、との思いをこめたガイドツアーは広島県立美術館でも実践中
(写真協力=広島県立美術館)



紅葉も始まり、広島も良い季節となりました。
ぜひ、芸術の秋を広島で満喫してください! お待ちいたしております。


プロフィール/子育てが一段落した折に、たまたま開いた『美術手帖』で「美術検定」を知り、何となく力試しで受験してアートナビゲーターとなった主婦です。それが2006年のこと。それ以後、現在も主婦業のかたわら、マイペースながら広島市現代美術館に勤務し、広島県立美術館でボランティアガイドを務めています。
「美術検定」に向けての勉強では、図版とそれに付随する作家名や制作年をはじめとする情報も頭に入れておくべきだったな、と反省しました。1・2級では美術の時事問題も出題された記憶があります。新聞の文化欄、美術雑誌等には目を通しておく方がいいでしょう。1級の記述(論述)試験対策は、実際に書く練習あるのみと実感しています。

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