美術検定オフィシャルブログ~アートは一日にして成らず

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3.11以後のアート&ボランティア

今回は、東日本大震災の際に八戸で被災された、元美術館学芸員でアートナビゲーター・山貝さんの視点を紹介します。


アートは何の役に立つのか?
作家や鑑賞者、参加者が抱く気持ちよさ、楽しさ、集まる人々自体の魅力、批評性、問いかけ、時にはそれを売ったお金…など、何が正しくどの要素が役にたつのか、社会においてどの程度の優先事項なのか、すべての謎はわからないままでも、アートにたずさわる私たちは、なんとか活動を続けてゆかなければいけません。


私たちは美術館や博物館、展覧会やイベントに出かけ、アートを見たり聞いたり体験したりします。
文句を言ったり、へーと思ったり、感動したり。
そしてその気持ちを持って帰路につき、一緒に行った連れと感想を言い合ったり、あの作品は去年見たあれに似ていたなと思い出したり、いまいちおもしろくなかったし思っていたのと違ったけど会場構成だけはよかったな…などと勝手に思えることの、なんとすばらしいことでしょう。
このようなアートの楽しみ方は平時にしかできない、まさに「心の肯定性」の貯金です。


アートだからこそ集結させることができる、心の肯定性をはじめとしたプラスのオーラと人々、そして取り巻く動きは、被災地でのボランティア活動と似ています。
1995年の阪神・淡路大震災での活動で経験を積み成熟した日本のボランティアの力は、今回の東日本大震災で、すばやく確実に力強く被災地・被災者に届いています。
なにかやらなければと自ら思い「自分にできることを、できる範囲で、(なるべく)すぐにやる」という動きは、アートに向かう時の気持ちとふるまいにとても近いものです。
だれに頼まれているわけでもなく、自身の問題としてなにかやらなければ!と行動できる信念が、最終的には他者を助け社会に還元され、「自分以外のだれか」に対する有用な動きになります。
「自助」の本当の着地点はここです。


現在ボランティアといえば被災地での活動につきますが、この震災を乗り越え復興の道筋がつき、なんとか平時を取り戻し、ボランティアのみなさんが「なんか最近やることないから、アートイベントのボランティアでもやろうかな」と言えるよう、前向きにシンプルに、今できることをおのおの考え、実行してゆきましょう。


山貝征典(2011年4月より清泉女学院大学人間学部助教・元十和田市現代美術館学芸員)


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