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「とびらプロジェクトフォーラム」レポート

こんにちは。アートナビゲーターの鈴木由紀です。
今回は、2月19日(日)に開催された東京都美術館&東京藝術大学による「とびらプロジェクト」フォーラムをレポートします。


約2年間の大規模改修を経て、来る4月1日リニューアルオープンする東京都美術館。それに伴い「とびらプロジェクト」というものが始まり、活動メンバーとしてアート・コミュニケータ「とびラー」が募集されることになりました。今回のフォーラムでは、その概要説明が行われました。その後にはプロジェクトのコーディネーターであり「とびラー」向けの講座で講師を務める日比野克彦氏ら4名のトーク、最後はディスカッションがありました。

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フォーラムの会場には多くの聴講者の姿が見られました。

冒頭では、まず「新生・東京都美術館」の紹介がありました。
同館の従来事業である公募展・企画展事業に加え、「アート・コミュニケーション事業」を新しく始めること。これはスクールプログラムやファミリープログラムなどの活動を通して、地域や学校など、美術館の外と連携した双方向的な事業となること、などといった新しい東京都美術館の姿が示されました。
この新事業の中核が「とびらプロジェクト」です。東京都美術館だけでなく東京藝術大学との協働で、美術館を拠点としたアート・コミュニティの形成が計画されています。このプロジェクトで活動することになるとびラーについて、「美術館の持っているエネルギーをいろいろなものや人と結びつける役割を期待したい」という美術館からの説明がありました。

後半のトークでは日比野克彦氏(東京藝術大学教授)の他、西村佳哲氏(働き方研究家)、小口弘史氏(損保ジャパン東郷青児美術館顧問)、森司氏(東京文化発信プロジェクト室)といった方々から、プロジェクトの方向性やとびラーに期待することなどが話されました。
日比野さんは「明後日朝顔プロジェクト」など自身が行っている活動を紹介し、地域住民とのコミュニケーション作りが重要であることを話されました。時には体を張ることもあり、「とびラーも体育会系な人が望ましい!」との言葉では会場から笑いが起きました。
小口さんからは、損保ジャパン東郷青児美術館での学校や区と連携した鑑賞教育活動が紹介されました。このプロジェクトでも子供との対話を通した鑑賞が行われる予定ですが、子供の目線でじっくり話を聞けることが大切であると話されました。
西村さんは「仕事と労働の違いは?」の問いかけから始まり、「仕事はお金より“意味”が大切、与えられるものでなく“始めるもの”、最も重要なのは“きく力”」などとても興味深い話をされました。研修では「きく力」のアップを目指すそうです。
森さんは「東京アートポイント計画」という、人と街をアートで結ぶプロジェクトにも係わっている視点から、とびラーにはただのギャラリートーカーではなく一人ひとりがプロジェクトの担い手という意識を持ってほしい、また美術館の中と外、広い視野で活動することが大切であると語られました。

最後のディスカッションでは、会場から「とびラーに求める資質とは」という質問がありました。それに対し「対話する粘り強さ」「多様なメンバーが集まるだろうから、互いに歩み寄り向き合うスタンス」「自分の経験を振りかざさないこと」などといったコメントがありました。また日比野さんと小口さんからは「縁」という言葉が出ましたが、まさに人と人とのつながりは縁、ここで生まれた縁は大切にしていきたい、という気持ちの表れだったように思いました。

今回のフォーラムは非常に多数の聴講申込みがあり、会場を変更したり当日2度目の説明会を設定したり、とかなりの反響だったようです。私も新しい東京都美術館のプログラムに興味が湧くと同時に、今春以降上野の街にどんなアートのムーブメントが起こってくるのかとても楽しみです。そしてご縁があれば、そのメンバーとなってワクワクしてみたいなぁ、と思っています。

⇒当フォーラムは現在サイト上で動画が見られます。詳細はこちら

⇒アート・コミュニケ―タ「とびラー」募集は3月5日(月)まで受付中です。応募条件がありますので、こちらでご確認下さい。

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プロフィール/腕試しのつもりで第1回アートナビゲーター検定(「美術検定」の前身)を受け、3級を取得。やっぱり1級まで目指そう、と2006年に1級合格。現在はボランティアとして、美術館で様々な年代の来館者との対話型トークや学校への出張鑑賞授業などの活動を行っています。

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