講演会を立ち上げる―そうだ!藤枝晃雄氏だ!
こんにちは。アートナビゲーターの大木です。
アートナビゲーターの交流会に参加すると、参加者の皆さんの活動はともかく美術に対する広い関心と深い情熱がうかがえて、たいへん楽しくもあり刺激にもなります。
自分も含めて、皆さんの美術に対する知識を深め見識を高めるために、勉強会すなわち講演会の企画を考えていました。第一、本当に好きな美術の講演なんて、何よりも楽しく、学生に戻った気分になれるじゃないですか!
第1回の講演会として考えましたのは、生誕100年を迎えるジャクソン・ポロックの芸術についてです。真にアメリカを代表するばかりでなく、ある意味、現代美術の出発点でもあったポロックの日本では初めてとなる回顧展が名古屋で、そして現在は東京に巡回しています。この機会にポロックの芸術について、ともに学びたいと思いました。
アートナビゲーターの交流会に参加すると、参加者の皆さんの活動はともかく美術に対する広い関心と深い情熱がうかがえて、たいへん楽しくもあり刺激にもなります。
自分も含めて、皆さんの美術に対する知識を深め見識を高めるために、勉強会すなわち講演会の企画を考えていました。第一、本当に好きな美術の講演なんて、何よりも楽しく、学生に戻った気分になれるじゃないですか!
第1回の講演会として考えましたのは、生誕100年を迎えるジャクソン・ポロックの芸術についてです。真にアメリカを代表するばかりでなく、ある意味、現代美術の出発点でもあったポロックの日本では初めてとなる回顧展が名古屋で、そして現在は東京に巡回しています。この機会にポロックの芸術について、ともに学びたいと思いました。
今回は、講演会をどのように準備し、開催するか、ポロック講演会開催までの道のりを例に、その留意点にも触れたいと思います。自分でも講演会などを企画したいと考えていらっしゃる皆さんのご参考になれば幸いです。
講演会の開催にあったての重要事項を挙げますと、
1)講演会場と日時
2)講演者の決定と依頼
3)参加対象と広報
4)記録
5)懇親会
6)スタッフ
7)収支(1~6まで)
がありますが、それぞれについて今回の講演会を当てはめながらご報告いたします。
1)講演会場と日時
まずは会場が決まらなければ始まりません。ここで最も大きな問題は会場費です。ホテル等は非常に高く、公立の会場は比較的安価ですが競争が厳しい事と、小規模の部屋の場合では2ヶ月前の申し込みで抽選、というような時間的な制限がついてきます。
もし勤務先や所属する団体などが、広めの会議室もしくは小規模の講堂のような施設を所有していれば、そこに当たるのが最良です。基本的に営利目的で作られた施設ではないので安価です(会の内容ではなくて、施設そのものが営利目的ではないという意味です)。
貸出予定を相談の上、開催できそうな日時を予備も含めて仮押さえができると、講演者の都合を伺う時にも便利です。今回も候補日を二日用意いたしました。
2)講演者の決定と依頼
ポロックといえば藤枝晃雄。藤枝晃雄といえばポロック。私の頭の中に深く刻み込まれていました。『ジャクソン・ポロック』(美術出版刊、1979年)は、代表的な著書でありますし、その分析的で辛口の評論-難しい!-には敬意を抱いておりました。しかしながら藤枝先生とは面識はありません。講演者が知人や顔見知りであれば講演依頼も容易ではありますが、そうでない場合、個人情報保護法の問題があり所属先に問い合わせても住所等は教えてくれません。今回も、同氏が武蔵野美術大学の名誉教授であられるので、講演依頼の手紙を同氏に転送してくださるように大学に電話でお願いしました。
手紙には、日時と場所は当然ながら、誰が集まるどのような会か、目的、人数などを記し、謝礼の事も明記いたしました。謝礼は、大きな学術会議(学会)などでは依頼状にも金額が明記されますが、私の経験では単発の講演会などでは依頼の折に金額はおろか謝礼の事も記載されない事の方が多いくらいです(こういう点が日本的な奥ゆかしさですね)。また、依頼状には返信用の封筒もしくは葉書を入れますが、依頼主のメールアドレス、電話番号などの連絡先を書き添えますと、そちらに返信されることも多くあります。
藤枝先生からは、一週間もしないうちに「喜んでお引き受けいたします」とのお返事を頂戴し、住所、電話番号、携帯電話、メールアドレス2種、すべて丁寧に書かれた便箋が入っておりました!感激の一瞬です。
3)参加対象と広報
今回は私達の勉強会という趣旨ですので、アートナビゲーターを対象に広報は「美術検定」事務局に依頼しました。今はメーリング・リストがあって便利になりましたが、このようなクローズドな会でも往復葉書などを用いる場合もあります。
4)記録
講演者の講演の内容を録音・録画する場合があります。今回は、事務局の協力で講演の録音とスナップ撮影が行われました。講演内容のレポートがアートナビゲーターの池田さんからブログにアップされましたね。これも貴重な記録の1つです。
5)懇親会
講演者に対する御礼の意味があり、二通りのやり方があります。ひとつは企画者とスタッフ、講演者との少数の食事会。もうひとつは、講演参加者が自由に参加できる懇親会。今回は-今後も同様にやるつもりですが―交流会も兼ねておりますので当然後者の方法です。藤枝先生には事前に連絡をとり、交流会の参加にもご快諾を得ておりました。飲食の準備は規模と予算にもよりますが、ケータリングを依頼するか、自分達で用意するか、という問題です。今回は人数も限られていますので、自分達で準備しました。
さて、当日の交流会は藤枝先生の乾杯で始まりました。会場は、講演会会場のすぐ隣の準備室のような所でいささか狭かったのですが、この狭さが逆に参加者相互の親密さを増すことになり、大いに盛り上がりました。参加者がそれぞれの話相手を見つけたり、グループが自然にできたり、会話が途切れることなく続いていました。新しくアートナビゲーターになられた方々の自己紹介はそれぞれユニークであり、また歓迎する声も高らかにあがり、楽しい一時となりました。

当日は富山や兵庫など遠方からもアートナビゲーターが駆けつけ、
懇親会では会話が弾み賑やかな会となりました。
6)スタッフ
スタッフは、当日の設営、受付、懇親会の準備とサービスに担当が必要です。今回、お手伝いを名乗り出てくださった方々のおかげで、何の問題もなく運営されました。
7)収支
運営上は最も重要な事項ではあります。一般的に支出は上記のとおり、会場費、謝礼、懇親会費の3つ(連絡・郵便費が加わることもあります)。収入は参加費のみです。今回は、もとより営利目的ではありませんので幾分赤字となりましたが、遠方より参加する方々もいらっしゃるので参加費は押さえたいと思いました。
今後は講演会の開催について、スポンサー・シップによる外部からの資金協力を求めていきたいと考えています。方法は三つほど思案中です。ひとつは私達の活動趣旨に賛意を示してくださる施設などからの寄付。二つめは、講演会を協賛という形で、協賛金をいただく代わりに会の始めにスポンサーからの広告、情報提供の場を提供する。三つめは、開催にあたり簡単なテキストを作り、テキストに広告のページを設けて広告費を集める方法です。三つめは部数の問題から厳しいかと思いますが、全く非現実的というわけではありません。
今後はこのような経済活動(?)も視野にいれながら、当たって砕けろ、と講演会の企画をしていこうと思っております。
*****
プロフィール/何か美術にかかわる活動ができるかもしれない、何かを始めるにあたっての「肩書き」になれば、と軽い気持ちで「美術検定」を受験。2007年度に1級合格。その後、トークセッションへの参加や私的な講演活動を続け、今回は講演会そのものを企画、運営。
講演会の開催にあったての重要事項を挙げますと、
1)講演会場と日時
2)講演者の決定と依頼
3)参加対象と広報
4)記録
5)懇親会
6)スタッフ
7)収支(1~6まで)
がありますが、それぞれについて今回の講演会を当てはめながらご報告いたします。
1)講演会場と日時
まずは会場が決まらなければ始まりません。ここで最も大きな問題は会場費です。ホテル等は非常に高く、公立の会場は比較的安価ですが競争が厳しい事と、小規模の部屋の場合では2ヶ月前の申し込みで抽選、というような時間的な制限がついてきます。
もし勤務先や所属する団体などが、広めの会議室もしくは小規模の講堂のような施設を所有していれば、そこに当たるのが最良です。基本的に営利目的で作られた施設ではないので安価です(会の内容ではなくて、施設そのものが営利目的ではないという意味です)。
貸出予定を相談の上、開催できそうな日時を予備も含めて仮押さえができると、講演者の都合を伺う時にも便利です。今回も候補日を二日用意いたしました。
2)講演者の決定と依頼
ポロックといえば藤枝晃雄。藤枝晃雄といえばポロック。私の頭の中に深く刻み込まれていました。『ジャクソン・ポロック』(美術出版刊、1979年)は、代表的な著書でありますし、その分析的で辛口の評論-難しい!-には敬意を抱いておりました。しかしながら藤枝先生とは面識はありません。講演者が知人や顔見知りであれば講演依頼も容易ではありますが、そうでない場合、個人情報保護法の問題があり所属先に問い合わせても住所等は教えてくれません。今回も、同氏が武蔵野美術大学の名誉教授であられるので、講演依頼の手紙を同氏に転送してくださるように大学に電話でお願いしました。
手紙には、日時と場所は当然ながら、誰が集まるどのような会か、目的、人数などを記し、謝礼の事も明記いたしました。謝礼は、大きな学術会議(学会)などでは依頼状にも金額が明記されますが、私の経験では単発の講演会などでは依頼の折に金額はおろか謝礼の事も記載されない事の方が多いくらいです(こういう点が日本的な奥ゆかしさですね)。また、依頼状には返信用の封筒もしくは葉書を入れますが、依頼主のメールアドレス、電話番号などの連絡先を書き添えますと、そちらに返信されることも多くあります。
藤枝先生からは、一週間もしないうちに「喜んでお引き受けいたします」とのお返事を頂戴し、住所、電話番号、携帯電話、メールアドレス2種、すべて丁寧に書かれた便箋が入っておりました!感激の一瞬です。
3)参加対象と広報
今回は私達の勉強会という趣旨ですので、アートナビゲーターを対象に広報は「美術検定」事務局に依頼しました。今はメーリング・リストがあって便利になりましたが、このようなクローズドな会でも往復葉書などを用いる場合もあります。
4)記録
講演者の講演の内容を録音・録画する場合があります。今回は、事務局の協力で講演の録音とスナップ撮影が行われました。講演内容のレポートがアートナビゲーターの池田さんからブログにアップされましたね。これも貴重な記録の1つです。
5)懇親会
講演者に対する御礼の意味があり、二通りのやり方があります。ひとつは企画者とスタッフ、講演者との少数の食事会。もうひとつは、講演参加者が自由に参加できる懇親会。今回は-今後も同様にやるつもりですが―交流会も兼ねておりますので当然後者の方法です。藤枝先生には事前に連絡をとり、交流会の参加にもご快諾を得ておりました。飲食の準備は規模と予算にもよりますが、ケータリングを依頼するか、自分達で用意するか、という問題です。今回は人数も限られていますので、自分達で準備しました。
さて、当日の交流会は藤枝先生の乾杯で始まりました。会場は、講演会会場のすぐ隣の準備室のような所でいささか狭かったのですが、この狭さが逆に参加者相互の親密さを増すことになり、大いに盛り上がりました。参加者がそれぞれの話相手を見つけたり、グループが自然にできたり、会話が途切れることなく続いていました。新しくアートナビゲーターになられた方々の自己紹介はそれぞれユニークであり、また歓迎する声も高らかにあがり、楽しい一時となりました。

当日は富山や兵庫など遠方からもアートナビゲーターが駆けつけ、
懇親会では会話が弾み賑やかな会となりました。
6)スタッフ
スタッフは、当日の設営、受付、懇親会の準備とサービスに担当が必要です。今回、お手伝いを名乗り出てくださった方々のおかげで、何の問題もなく運営されました。
7)収支
運営上は最も重要な事項ではあります。一般的に支出は上記のとおり、会場費、謝礼、懇親会費の3つ(連絡・郵便費が加わることもあります)。収入は参加費のみです。今回は、もとより営利目的ではありませんので幾分赤字となりましたが、遠方より参加する方々もいらっしゃるので参加費は押さえたいと思いました。
今後は講演会の開催について、スポンサー・シップによる外部からの資金協力を求めていきたいと考えています。方法は三つほど思案中です。ひとつは私達の活動趣旨に賛意を示してくださる施設などからの寄付。二つめは、講演会を協賛という形で、協賛金をいただく代わりに会の始めにスポンサーからの広告、情報提供の場を提供する。三つめは、開催にあたり簡単なテキストを作り、テキストに広告のページを設けて広告費を集める方法です。三つめは部数の問題から厳しいかと思いますが、全く非現実的というわけではありません。
今後はこのような経済活動(?)も視野にいれながら、当たって砕けろ、と講演会の企画をしていこうと思っております。
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