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美術検定オフィシャルブログ~アートは一日にして成らず

「美術検定」のオフィシャルブログです。

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道立近代美術館のボランティア活動とは?

こんにちは。
札幌在住アートナビゲーターの高橋です。
久々の投稿ですが、今日は、私がアートナビゲーターの資格を取得する前、1998年から携わっている社団法人 北海道美術館協力会のボランティア活動をご紹介します。

同協力会は通称アルテピア、北海道立近代美術館の開館(1977年)と同時に結成されました。年間1万円の会費を払い、会員となり、北海道の美術館に協力していこうという団体で、現在会員は1230名、そのうち、210人がボランティアとして道立近代美術館を拠点に活動しています。
ボランティアは7部に分かれて活動しますが、具体的にどんな活動をしているか、各部ごとにご紹介しましょう。


shop アルテピア設立と同時に活動の始まったのが売店部。
道立近代美術館の玄関を入って左右2か所の売店を経営しています。仕入れから、商品企画、ディスプレイそして販売……と美術館の顔にふさわしいショップ作りに40名の部員が奔走します。昨年の東日本大震災の際にはチャリティーバザーも開きました。


guide せっかく美術館で活動するなら作品の解説を……創立当時の会員の中からの要望で、生まれたのが解説部です。
学芸員からの厳しい審査を受けて、「これくしょんぎゃらりい(常設展)」の解説を1日3回行います。アルス(質問コーナー)で観覧者に対応したり、隣接する道立三岸好太郎美術館での解説も担当します。


pr3番目に生まれたのが広報部です。
広報誌の制作編集をして、会員へお届けします。道立近代美術館で開催されるポスターを市内各所に配布するお手伝いも広報部の仕事。美術館の中には私たちボランティアの活動を紹介するPRコーナー(写真)もあり、こちらの管理は広報部が行います。


mtg事業部はアルテピア会員向けのつどい(親睦会・写真)や国内・海外旅行を企画・開催します。
美術館協力会ならではの美術鑑賞三昧の旅行はとても人気で、毎回あっという間に定員が埋まってしまいます。2012年度は国内旅行が瀬戸内海の直島を中心にした3泊4日の日程で5月に、海外旅行はドイツ・ミュンヘン周辺訪問で9月に予定されています。また、事業部の重要な役割には、夏休みと冬休みに近代美術館が主催する子供向けのイベントのお手伝いを200人のボランティアに分担、配置ということもあります。


shiryo 来館者には見えないところで活動しているのが資料部です。
道立近代美術館3階に部室(写真)を構え、新聞に掲載される美術関係の記事や全国各地の美術館から送られる図録の整理に当たります。揺るがない基本姿勢が要求される資料作りでは、『100人でやっても一人の仕事に見えるように』を合言葉に、地道な活動が行われ、学芸員の研究に役立っています。


アルテピアのボランティアは前期半年間の美術講座と後期半年間の各部に分かれての専門研修という1年間の研修を受けて誕生します。この研修を担当するのが、研修部です。
travel美術講座のカリキュラム作成に始まり、講師依頼、受講生募集。美術講座は一般に向けても開講され、毎年250名が受講します。そのうち40名ほどがボランティアを希望されますので、各部へ振り分け、一人前のボランティアになるまで見届けます。
ボランティアに対しても、近代美術館の展示替えのたびにオリエンテーションを行い、研修旅行の企画もします。昨年は洞爺湖の周辺にある彫刻群《ぐるっと洞爺》をバスで見学に行きました。(写真)研修部はボランティアの知的欲求を満たしてくれる部です。


最後にご紹介するのが、私の所属する特別活動部。
既存の6部にない特別な活動をするために17年前に生まれた発展途上の部で、大きく分けて2つの活動があります。
koza 一つは美術館外で美術・美術館の紹介をする『美術への誘い』という出前講座(写真)。25分程度のお話をする部員が2~3名とパソコン・プロジェクターといった機器担当部員2名によるチームを作り、区民センターや介護予防センター、病院などへ年30回程度赴きます。事前に最低2回は部員全員の前でリハーサルを行い、その場所にふさわしいか、専門用語を使っていないかの確認をしますが、参加者に美術の面白さを伝えることの難しさを日々実感しています。

もう一つは来館者に参加いただく『アート・クラブ』というワークショップです。開催のもようは是非、HPでご覧ください。参加者の楽しい笑顔が活動の励みです。少ない予算の中で、いかに楽しめるプログラムを企画するか……講師選びには部員のネットワークが頼りになることもあります。
どちらの活動も、お年寄りや子供たちなどあまり美術館に縁のない地域の方々に、美術館を訪れるきっかけを作るのが目的です。特別活動部の名前も、私は勝手に『美術館を特別なものにしないために活動する部』と解釈しています。

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私の場合、アルテピアでのボランティア活動が美術検定を受ける動機となり、その後、個人的にアートナビゲーターとして活動するチャンスも生まれてきました。嬉しいことに、昨年、わが特別活動部26名のうち、70代の男性一人が、美術検定4級に合格し、次のステップを目指しています。

アルテピアのボランティアにはアートナビゲーターという資格は特に必要ありませんが、活動に疑問を感じたり、迷った時、首都圏で活躍するアートナビゲーター仲間の体験を聞いて心のよりどころとすることもあります。
札幌にいらしたら、是非、道立近代美術館を訪れ、生きがいを持って活動するボランティアの笑顔を確かめてください。

道内の美術ファンの方、アートナビゲーター仲間を道内で増やしましょう。


プロフィール/1998年より北海道立近代美術館を拠点とする(社)北海道美術館協会にてボランティア活動に参加。腕試しとスキルアップを目指して「美術検定」(当時のアートナビゲーター検定)を受験。現在では、アートナビゲーターとして、定期的な美術サロンの開催、美術館連絡協議会主催の展覧会での解説、美術に関するシンポジウムの司会など活動の幅を広げている。

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