アートでエクササイズ? vol.3
こんにちは!アートナビゲーターの小幡です。
新緑の鮮やかな気持ちのいい季節になりました。
自然を感じる明るい美術館に行ってみたいな……と思い、気になっていた日本初という「写実絵画専門」美術館のホキ美術館に出かけてみました。
2011年度の「第7回日本建築大賞」に選ばれたという、空中に浮いているような回廊型ギャラリーにも興味がありました。
新緑の鮮やかな気持ちのいい季節になりました。
自然を感じる明るい美術館に行ってみたいな……と思い、気になっていた日本初という「写実絵画専門」美術館のホキ美術館に出かけてみました。
2011年度の「第7回日本建築大賞」に選ばれたという、空中に浮いているような回廊型ギャラリーにも興味がありました。
ホキ美術館は2010年の11月に千葉市最大の公園、昭和の森に隣接して開館しました。
東京駅からは電車とバスを乗り継いで約70分ほど。少々接続が悪いのですが、美術館ではイタリアンランチやディナーを組み込んだグランドツアーやオリジナルツアーの企画もあります。車を利用してアウトドア用品を持参し、絵画鑑賞後に公園の広々とした芝生で遊ぶこともできます。サイクリングやその気になればキャンプ場に泊まることも可能です!

初めて対面するホキ美術館は確かに宙に浮いています!
コンテナのオブジェのようなダイナミックな外観。ムムム……この建物は「けんちく体操」だとどのように表現するのだろうか?
設計は日建設計、施工は大林組…という東京スカイツリーのペアによるこの美術館は、外観だけではなく、内部にもすばらしい技術と驚きがいっぱいでした。

当日は常設の絵画とともに、開館1周年記念展覧会「存在の美」という人物画をテーマにした美術展が開催中でした。
ここではほとんどの絵画作品はガラスケースも何もない「生」展示です。
また、結界もないので触らない限りは至近距離で作品の質感を感じることができます。
もう逃げ場はないぞ!という探偵のような目でまじまじと見ても、う~ん、やっぱりリアルです。
さらに作品は鉄製の壁にマグネットで止められているため、周囲には鑑賞の妨げになるピクチャーレールなど余計なものは一切なく、天井に埋め込まれたLED照明も存在を感じさせません。絵画と正面から向かい合えます。
自然光を取り込んだ白い展示空間では、ババーンと迫力ある画家の自画像にまず迎えられました。100号はあろうかという作品の多くは作家の身近な人を描いたもの。長い期間をかけて完成される緻密で写実的な絵画は、モデル料のこともあり、作家の家族が描かれることが多いそうです。
それにしてもここで紹介されている作家の奥様はまさに絵になる美女ばかり。描きたくなるのもよーくわかります。もしも絵画中の人物が館内を歩いていたら思わず挨拶をしてしまいそう。細部にわたる緻密な描写はついつい見入ってしまいます。油彩用の最も細い筆をさらにカットして描くという人物像の肌、髪、洋服のひだ、椅子の模様、そして背後に流れる膨大な時間……何だか頭がボーとしてきました。
独特の展示法のほかにもこの美術館ならではの事柄はたくさんあります。
収蔵作家約40人中、物故の礒江毅氏を除くすべての作家が20代から70代までの現役の作家であることもそのひとつ。そのため作家が月に一度来館して、自らの作品のギャラリートークを行うという試みのほか、作家自身が書いた作品の解説をナレーターの音声で聴けるコーナーもあります。
作家さんの中には美術館のオープン後も閉館時間の後、作品に満足いくまで手を入れていた方もいらしたそうです。ここでの絵画は進行形なのですね!
そして現役作家ならではの描き下ろしの新作を依頼する際の美術館側の言葉は
「どんな絵を描いても必ず買い取ります。100号以上で好きな絵を描いてください」
保木館長の純粋な思いから誕生したというこの美術館は、絵画も主役、作家も主役、鑑賞者も主役という幸せな空間でした。

さて、ここで大きく深呼吸。緻密な作品をみるときは何だかこちらも息をつめてしまって、心地よい呼吸困難?におちいるような気がします。
えーと、一応歩数計もチェック。すべてのギャラリーをめぐると500mという長さに対して、2400歩というのは美術館内の歩数としては多いように思います。しかし足の負担を軽くするというゴム素材のフカフカした床のおかげでしょうか、長さを感じさせませんでした。
千葉の名産品ピーナッツも売っているおちゃめなミュージアムショップで気に入ったポストカードを何枚か選び、気分よく美術館を後にしました。
美術館と作家の志に頭が下がる思いがした一日でした。
ちなみにこの日のトータルの歩数計は10748歩、距離にして約6km。消費カロリーは245Kcalでした。バターピーナツで約60粒分です……!
*****
プロフィール/もともとイラストレーターをしていたので、美術は大好き。美術館にもよく足を運んでいました。そこで見つけた美術検定のチラシのイラストに惹かれて受験。2008年に1級取得。現在は損保ジャパン東郷青児美術館でガイドスタッフとして活動しています。
「美術検定」に向けては、テキストの図版に吹き出しを付けて覚えたいことをメモ書きしたり、カラフルな美術年表を手作りして手帳に挟んで持ち歩いたり、実際の作品や美術書の図版、写真をたくさん見るといったビジュアル勉強法(?)を実践していました。
東京駅からは電車とバスを乗り継いで約70分ほど。少々接続が悪いのですが、美術館ではイタリアンランチやディナーを組み込んだグランドツアーやオリジナルツアーの企画もあります。車を利用してアウトドア用品を持参し、絵画鑑賞後に公園の広々とした芝生で遊ぶこともできます。サイクリングやその気になればキャンプ場に泊まることも可能です!

初めて対面するホキ美術館は確かに宙に浮いています!
コンテナのオブジェのようなダイナミックな外観。ムムム……この建物は「けんちく体操」だとどのように表現するのだろうか?
設計は日建設計、施工は大林組…という東京スカイツリーのペアによるこの美術館は、外観だけではなく、内部にもすばらしい技術と驚きがいっぱいでした。


ここではほとんどの絵画作品はガラスケースも何もない「生」展示です。
また、結界もないので触らない限りは至近距離で作品の質感を感じることができます。
もう逃げ場はないぞ!という探偵のような目でまじまじと見ても、う~ん、やっぱりリアルです。
さらに作品は鉄製の壁にマグネットで止められているため、周囲には鑑賞の妨げになるピクチャーレールなど余計なものは一切なく、天井に埋め込まれたLED照明も存在を感じさせません。絵画と正面から向かい合えます。

それにしてもここで紹介されている作家の奥様はまさに絵になる美女ばかり。描きたくなるのもよーくわかります。もしも絵画中の人物が館内を歩いていたら思わず挨拶をしてしまいそう。細部にわたる緻密な描写はついつい見入ってしまいます。油彩用の最も細い筆をさらにカットして描くという人物像の肌、髪、洋服のひだ、椅子の模様、そして背後に流れる膨大な時間……何だか頭がボーとしてきました。

収蔵作家約40人中、物故の礒江毅氏を除くすべての作家が20代から70代までの現役の作家であることもそのひとつ。そのため作家が月に一度来館して、自らの作品のギャラリートークを行うという試みのほか、作家自身が書いた作品の解説をナレーターの音声で聴けるコーナーもあります。
作家さんの中には美術館のオープン後も閉館時間の後、作品に満足いくまで手を入れていた方もいらしたそうです。ここでの絵画は進行形なのですね!
そして現役作家ならではの描き下ろしの新作を依頼する際の美術館側の言葉は
「どんな絵を描いても必ず買い取ります。100号以上で好きな絵を描いてください」
保木館長の純粋な思いから誕生したというこの美術館は、絵画も主役、作家も主役、鑑賞者も主役という幸せな空間でした。

さて、ここで大きく深呼吸。緻密な作品をみるときは何だかこちらも息をつめてしまって、心地よい呼吸困難?におちいるような気がします。
えーと、一応歩数計もチェック。すべてのギャラリーをめぐると500mという長さに対して、2400歩というのは美術館内の歩数としては多いように思います。しかし足の負担を軽くするというゴム素材のフカフカした床のおかげでしょうか、長さを感じさせませんでした。

美術館と作家の志に頭が下がる思いがした一日でした。
ちなみにこの日のトータルの歩数計は10748歩、距離にして約6km。消費カロリーは245Kcalでした。バターピーナツで約60粒分です……!
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「美術検定」に向けては、テキストの図版に吹き出しを付けて覚えたいことをメモ書きしたり、カラフルな美術年表を手作りして手帳に挟んで持ち歩いたり、実際の作品や美術書の図版、写真をたくさん見るといったビジュアル勉強法(?)を実践していました。
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