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濃厚レポート〜大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ〜

こんにちは。アートナビゲーターの大森香苗です。
8月3~4日にかけて、アートナビゲーター仲間の企画で「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」を回ってまいりました。
今回はそのもようをレポートします。


大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」とは、新潟の十日町市と津南町からなる越後妻有地域で3年に一度開催される、世界最大の国際芸術祭です。豪雪地帯で知られる地域の広範囲に、約360点の現代アート作品が点在します。

【1日目 十日町・越後妻有里山現代美術館(キナーレ内)と十日町市博物館】
十日町ステージ 越後妻有交流館 キナーレはトリエンナーレのメインステージで、館内にある越後妻有里山現代美術館には12点の作品が展示されています。ほとんどの方は最初にこちらに行かれるのではないでしょうか。室内なので涼しい中で鑑賞できます。

boltansky館内に入ると大きな心臓の音とクレーンの無機質な動きが出迎えます。
現代アートは直接大きさを感じる事がいかに大切か、改めて実感する大きさでした。キナーレ内ではどこにいても心臓の音が聞こえています。

クリスチャン・ボルタンスキー《No Man’s land》(2012年制作)


この後は隣の十日町市博物館へ。トリエンナーレの会期中、縄文時代の火焔形土器(国宝)を多数展示しています。東京の国立博物館にも負けないラインナップではないでしょうか。


ikebanaさらに十日町市街部を離れて芝峠方面へ。宿泊先に向かう途中、2006年からの展示会場となった古民家「蓬平(よもぎひら)いけばなの家」へも立ち寄りました。ここには今回も複数の作家の新たな作品が展示されています。

写真は大塚理司《モスラの時代(2012年制作)》。自分が繭の中の蚕になった気分にひたれます。


《脱皮する家》に宿泊

作品の中には民家をまるごとアートにしたものもあり、中には宿泊可能な施設もあります。今回宿泊したのは2006年制作の《脱皮する家》。なんと、民家の床、廊下、階段、柱、天井、漆喰に至る全てを彫刻刀で削り、「脱皮」させてしまったという作品です。

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制作:日本大学芸術学部・彫刻コース有志

写真で伝わりますでしょうか。模様に見えますが、これ一つ一つ全て彫刻刀で削ったのです。その根気と熱意に感動します。ここに着いたら是非裸足で鑑賞してください。手足で直に感じる「脱皮」の跡は感動的です。「うわぁ♪」と声が出るに違いありません。
また、こちらはトリエンナーレの会期以外でも宿泊可能です。

夜に素敵なイベントがありました。ボランティアの農家のおばさま方がホタル鑑賞に連れて行ってくださったのです。棚田に舞うホタルの美しさと言ったら……。こういう地元の方との交流もトリエンナーレの醍醐味の一つですね。


帰りがけにおばさまから、「運が良ければ明日は雲海が見えるよー」と教わり、
翌朝は全員4時半起床で雲海を見に行きました。

land1 land2
運よく見られました。最高に素敵でした!
春だけではありません、「夏はあけぼの」です。日が昇る前に棚田一面を覆っていた雲海がゆっくりとたなびいて、朝焼けに照らされ出して……。



【2日目 松代地区・松之山地区 ちょっとだけ中里地区】

kavakov2日目は非常に濃い1日になりました。
午前中に松代地区の中心施設である農舞台とその周辺→松之山地区森の学校キョロロ上鰕池(かみえびいけ)名画座家の記憶最後の教室→中里地区うつすいえなじょだい?と大移動です。
イリヤ&エミリア・カバコフ
《棚田》(2000年制作)
実際の棚田に農作業のシルエット。



kusamaともに松代「農舞台」周辺にあり、越後妻有トリエンナーレを代表する作品です。個人的には草間彌生の作品は、雪の中で雄々しく咲き誇る姿も観たいと思いました。
草間彌生《花咲ける妻有》(2003年制作)
松代駅に直結しています。作家自身、最愛の作品だそう。大迫力のオブジェ。


残念ながら全ては語りつくせないので、最後にもっとも印象に残った《上鰕池名画座》(2012年制作)を紹介します。

トンネルを抜けたところにある小さな集落で、村人の皆さんの日常生活の写真がフェルメール、ラファエロ、ゴッホ、ミレーなど世界の名画の風景と重なります。中でもアルチンボルトとポロックは必見です。
「本物のアルチンボルトがここにあった!」
「○○に××を並べた写真がポロックに見える!」
まさか、と思いました。ぜひ見てください、大成哲雄と竹内美紀子という2人のアーティストの発想の豊かさと自由さを実感できることでしょう。ここは本当に面白かったです。

さらにミュージアムショップも野菜の直売所を兼ねていてとっても素敵です。
(お釣りが出ないので、100円玉と50円玉を複数枚ご用意ください)

*****

全体的に、暑かったり移動が大変だったりしながらも、一生の思い出になる濃厚な2日間を過ごす事ができました。
大地の芸術祭は9月17日までの開催です。
3年に一度の機会ですので、興味を持たれた皆様はぜひ!


「大地の芸術祭」追加情報

移動が大変!
広範囲に作品が広がっています。道路に案内板はあっても作品名ではなく作品番号で記載されているため、慣れない道を走りながら作品番号と観たい作品を照合させるのは至難の業。レンタサイクルもありますが、山間部で高低差も激しいため、ごく狭い地区を巡るには便利かもしれません。ちなみにメインの見どころを廻るバスツアーも複数あります。

びっくりするぐらい暑い!
とにかく暑くて日差しが強いです。日中の気温は37度!恐らく日なたはそれ以上かと……。作品の多くが野外にあるため、帽子や日傘、日焼け止め、水分+塩分補給の熱中症対策をお忘れなく。


プロフィール/旅行代理店勤務の傍ら、新聞でみかけて美術検定に挑戦。2010年、論述に草間彌生さんが出題される幸運で1級に合格。現在は大学の通信教育課程の受講生となり、博物館学芸員資格を取るために日々レポートと奮闘中。最愛の作品はパウル・クレー《パルナッソス山へ》。いつかスイスで本物を観たい。

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